「うわああああーー!!!」
俺は腰を抜かして、そこにへたり込む。
圧倒的存在感!! あまりにも巨大過ぎた。
ウルトラウーマン・レオタードが歩き出す。
「のっはっあああ!!」 俺は軽く宙に浮く。
驚くべきことに彼女が足を上げたという、その動きだけで、身長180cmのこの俺を吹き飛ばすパワーのある強風が発生していた。
巨大な足がすぐ横にある6階建てのビルの屋上よりも高く持ち上がる。 そしてその足はすぐに地面に下ろされる。
「ごおおぉおおん」 振動が地面に走る。
地面がグラリと揺れる。アスファルトの道路がまるで生き物のように脈打っている。
呆然とする、揺れ動いたのは道路だけでない。周囲のオフィスビルの全てがびりびりと振動している。
(死んだ・・・) 俺は覚悟を決める。
すぐ目の前に「信じられない物」が存在している。
巨大な紅いブーツ!!
とても抵抗できない。 もし、後一歩でも彼女が足を踏み出せば、俺はひとたまりも無く踏み潰されるだろう。
俺は虫けらのように、ウルトラウーマン・レオタードの足に踏み潰されて死ぬのだ。
目を閉じた俺は死の瞬間を待つ、どうしようもない。 体が硬直して動かない。 巨人の彼女の前に人間がいかに無力な存在なのか思い知る。
巨大で圧倒的な存在が俺の上を通過していく気配が感じられる。 黒い影が俺を覆う、続いて大地を揺るがす強烈な震動!
すぐに影は俺の頭上から消えさる、周囲が明るくなる、轟音が俺の後に響き、3回目、4回目と足音はゆるくなる。 行ってしまったようだ。
俺は目を開ける。生きている!生きている! 彼女は俺を踏み潰さないでおいてくれた! 神への感謝の念が俺の心にこみ上げる。
だが同時に奇妙な寂しさを感じていた。 な、な、なんだ、どうしたというのだこの感情は。 振り向くとウルトラウーマン・レオタードの後姿が見える。
彼女はなんと美しいのか、彼女が行ってしまう! もう二度と会えない! 次の瞬間に俺がとった行動は自分でも理解できない事だった。
「待ってくれ!」 俺は彼女を追い、走り始めたのだった。
(続く)
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