エルは、屋根の無いレストランを叩く!一撃で2階部分の床の半分が崩れ落ち、1階部分を押し潰す。
「まるで、人形の家みたい…。」
エルはつぶやいた。彼女は思いにふけった。彼女の破壊願望がうずく、巨人の力で思いっきり暴れてみたい。ぼんやりと考えてみる、エルが本気になれば、人口200万人のこの帝愛市も数十分で廃墟になるだろう。誰も彼女を止めることはできない。
破壊、破壊・・・なんて素晴らしい響きの言葉!
思うままに巨人の力を振るえたら、さぞかし素晴らしいだろうに。
だが、婦人警官という職務のある彼女が、いくら楽しみのためとはいえ、そんなコトはできない。強盗どもをいたぶるだけで我慢するしかない。
あぁ、なんで婦人警官になんかなったのかな、私・・・。正義のために巨人の力を使うと心に決めた、あの日の誓いは正しかったのだろうか?
彼女の思いとは別に事態は進行した。半分崩れたレストランの中の小さな動きをエルの目が捕らえる。男が瓦礫の中から走り出した。
建物が完全に崩される前に逃げようとしたのだ、よほどパニックっていたのだろう、巨人エルの足の前に飛び出していた。
エルは、はるか上空から小さな虫をじっと見つめる。この虫けらは自分が逃げられるつもりらしい。男はあのヤスとかいう強盗だった。銀行内で「身体検査をする」と言いながらエルのふくよかな胸を触り、そして揉んだ男だ。許すわけにはいかない。
ヤスは立ち止まり見上げた。彼は自分の正面にいる巨大な婦警を、しばらくの間じっと見て、それから大きくのけぞった。
「うわああああぁぁ!!」
ヤスは慌てて悲鳴を上げた。頭の中が真っ白になっている。70メートルの身長の巨人婦警が彼を見下ろしていた。
「犯人を逮捕します!」 エルは手を伸ばし簡単に彼を男まえた。彼の小さい体は、彼女の握りこぶしの中に胸から足まで完全に掴まれた。
ヤスはうめいた。彼の顔は巨大な婦警の指の圧力にすぐ赤くなった。
両手で巨大な指を打って闘った。小さい男はもがいて暴れた。しかし、巨人婦警にそんな抵抗は全く無意味だ。
エルの無茶苦茶な宣告の声が響く。
「これよりエル裁判を開廷します。被告人ヤスを強盗の現行犯により、捻り潰しの刑に処します、なお刑の執行はただちに行いま〜す」
巨大な婦警は楽しそうだった。
「ちょ、ちょ、ちょっと、待ってええええ!!!こ、殺さないでくれええー!お、お願い、婦警さん、いや、あのエル様、う、美しいレディ…。お、俺を降ろして。俺はあんたに何もしていない」
「何言ってるの、あんた、私の胸に触ったじゃない。痴漢は重罪よ」
エルは少しずつ手に力を加える。
「く、苦しい、息・・・できない、つ、潰さないで」 ヤスが慈悲を求める。
「それは良かったわぁ…」 エルは冷静な声で言う。
「あなたは、もう呼吸する必要がないの、だって私が今からあなたを握り潰すんだ・か・ら!」 そしてエルは、右手でゆっくりと彼を絞り上げた。すぐさまヤスの顔は赤から紫色に変わった。
ヤスの口は、浜に引き上げられた魚のようにぽっかりと開く。もう言葉も喋れない。肺に空気がなかった。エルがさらに絞り上げたので彼の目の前は暗くなる。彼の非力なうごめきは、彼女の指の腹をくすぐった。なんて心地よい気分・・・。
エルは男を自由にできる自分の圧倒的なパワーを楽しんでいた。ヤスの顔は苦痛に歪んだ。その小さな体が痙攣する。 |