《 恐怖のハイヒール 》

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ずうぅぅんん!!

 轟音と共に、俺の目の前に巨人女の赤いハイヒールが降ろされた。

「うわぁああああ!!」 俺は悲鳴を上げる。

 彼女の身長は100メートル以上もあるに違いなかった。

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 飛行機事故で、異次元空間の「巨人の惑星」に不時着した俺たちは、
この星に住む恐ろしい巨人女に次々と捕まってしまった。

 捕まった他の乗客達がどうなったかは、俺には分からない。
俺は野外を一人で逃げ延びたが、とうとう巨人女の一人に見つかってしまった。

 巨大な女は官能的な赤いボディスーツを着ていた。
「巨人の惑星」に住む女は、みんなこんな派手な格好をしているのだろうか?

 巨人女は、俺の真上にしゃがみこんだ。
彼女の股間を隠す赤い布の部分が、天井のように俺の頭上を覆いつくす。

 魅力的な2本の太ももは、太く長い柱となり高く天空にそびえていた。
その上にふくよかな胸が、二つの巨大な山のように突き出ていた。

 俺は目の前の巨大な赤いハイヒールを見る。
彼女の靴の上の裸足は俺の頭よりもずっと高い位置にあった。

 
彼女の足は・・・あまりにも大きかった。

 そしてそれは、俺を1秒で踏み潰すことができる巨大な怪物なのだ。




「なんて・・・ことだ。」 俺は喘ぐ。 巨体に圧倒されていた。 とても・・・抵抗できない・・・。

 しかし同時に、彼女の巨体は・・・すばらしく魅力的だった。

 俺はいったい何を考えているのだろうか?
すさまじい恐怖の中にいるにもかかわらず、巨人女の美しいボディに触りたかった。

 巨人女を見上げた。
はるか上空で巨大な顔が俺を見下ろしていた。彼女は俺をじっと見つめていた。

 彼女が俺をどうするつもりなのか想像する事ができなかった。
しかし少しだけ俺にも希望がわいて来た。

 巨人女が俺を踏み潰すつもりなら、もうとっくにやっているだろう。
もしかしたら、彼女は俺を生かしておいてくれるかもしれない。

「ワォ、あなたは、小さいわ」 巨大な女が雷のような声で唸る。
 不思議なことに巨人の惑星なのに日本語で会話ができた。


 俺はできるかぎり大きい声で叫ぶ。
「た、助けてくれーー!! 俺を踏み潰さないでくれえーー!」

 巨人女はとんでもない大きさだった。 彼女から見て俺は虫以下の存在なのだ。
彼女が俺を踏み潰したとしても、気がつきもしないサイズだ。

「あら・・・あなたは生きていたいの・・・?
あなたは私の言うことを聞いてくれるのかしら。
そうしてくれるのなら、私は、あなたを踏み潰さないであげてもいいわ・・・」


 巨人女はそう言って俺を震え上がらせた。

 ・・・巨大な・・・力のある存在・・・とても恐ろしい。

 この恐ろしい巨人からは逃げることも抵抗することもできない。
俺が生き延びるためには彼女の命令に従うしかない。

「私は、あなたの言うことを何でもいたしますううーー!!」

 恥も外聞もなく俺は巨人女を見上げて叫ぶ。

 彼女は俺の必死に願う姿が気に入ったようだった。

「あなたは、あなたの男らしさを私に見せてくれないといけないわ」


「は、はい・・・、な、何をしたらいいでしょうか・・・?」
 情けない声で俺は言う。 俺は彼女が何を言っているのかが分からなかった。


「そう・・・、じゃあ、今から、私といいことをして遊びましょうね」


 巨人女の楽しそうな声が周囲に響く。

 そう・・・本当の恐怖が始まったのは、それからだった。


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