《 海鳥の旅 》 恐怖の頭突き

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 私は海鳥です。 名前をジョナナサンといいます。




 今日は災難でした。 魚を獲っていたら、いきなり変な黒い鳥に襲われました。





 おかげで餌の魚を獲れませんでした。

 私には恋人がいます。 とても可愛い彼女なんですよ。

 いつも、彼女に餌をあげています。





 ところが、今日は魚がありません。 彼女は怒って何処かへ行ってしまいました。
たった一日エサが無かったからって、私のコトを捨てるのですか・・・。そんなヒドイ。

 あ、あ、わたしは、一人ぼっちだ。 いったいどうしたらいいのだ。

 ふと空から海を見下ろすと、人間の船が見えます。





 船首に男女が立ち両手を広げ、楽しそうにしています。

 どうやら「映画タイタニック」の恋人の真似をしているようです。

 二人の恋は永遠だとでも言いたいのでしょうか。

 愛しあう男女の姿を見ているうちに、わたしの心に怒りがこみ上げてきました。

 コノヤロー、何してやがるんだよ。

 こっちは恋人にフラれたのに、お前らは何を幸せそうにしてるんじゃ!


 
急降下! くらえ、海鳥ヘッドバッド(頭突き!)





 あぁ、分かっています。 分かっていますとも。 ただの八つ当たりです。

 人間の恋人たちは何も悪いコトをしていない。
それなのに、いきなり頭突きをするとは・・・。私は何て悪い鳥なんでしょう。

 でも、ダメだったんです。幸せそうな男女を見ていると、我慢できなかったんです。

 こうして、私の転落の日々が始まったのです。



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