《 親分の想い 》
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そのころ、猫親分はタヌキの長老と会っていた。
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(タヌキの長老)
「ほぉ、あんたが猫親分さんか。うちの者が迷惑をかけたようじゃな。
本当に申し訳ない。 だがな・・・若い者が悪さをするのも理由がある。
この山を見なさい。人間の開発のため山や森がすっかり荒らされた。
山にもう食料が無いのじゃ。
だから仕方なく、タヌキ族の若者は人里に行き、悪さをするようになったのじゃ。
みんな、ただ生きるのに必死なんじゃ。
あぁ、愚痴を聞かせてしまって申し訳ない。 怒りはおさまらないだろう。
わしは老い先短い老狸だ。 煮るなと焼くなと好きなようにしてくだされ。
猫親分はその話を聞き、黙ってそこを離れた。
タヌキを許した訳ではないが、この老タヌキを傷つける事はできなかった。
<そして、ここは猫組本部>
猫親分 「ニャン吉、帰ったぞ」
ニャン吉 「お帰りなさい、親分、猫組のみんながお帰りをお待ちしていました。」
猫親分 「旅のかいはあった。 もうタヌキに対する恨みは捨てたぞ」
ニャン吉 「本当ですか? それはよかった」
猫親分 「親分たる者、悪をなした相手でも許す度量が必要だ」
ニャン吉 「さすがは親分、お心が広い」
猫親分 「ははは、それにしてもお腹がすいたな、昼飯にしてくれ」
ニャン吉 「それが・・・その、台所に食べ物が全然ないのです・・・」
猫親分 「えっ? タヌキに食い荒らされたけど、その後、たくさん買っておいたじゃないか!?」
ニャン吉 「い、いやそれが・・・親分がいない間に、組のみんなで全部食べてしまって・・・
目の前に美味しい魚があったら、ネコは食ってしまうのです! はにゃ〜ん!」
猫親分 「俺の分を残しておこうと思わなかったのか!?」
ニャン吉 「親分たる者、悪をなした相手でも許す度量が必要だと思います」
猫親分 「とほほほ、今日はご飯ぬきか」
<親分の災難は、まだまだ続くのであった>
(猫親分奮戦記 終わり)
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