《 私が彼と結婚した理由 》 第4話

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玲奈 「ふふふ……隆を踏み潰してあげるわ」

隆 「どしぇー助けてぇ」



ついに巨大な足が隆の上に降ろされる。
疲れて走る事も出来ない隆の身体の上を支配する。

しかし、その巨大な足は隆の上に降ろされただけで、体重がかけられてはいない。

玲奈 「どうかしら、隆、私の足に踏まれた気分は?」

隆 「やめろ、やめてくれ、何故、こんなことをするんだぁ!」

玲奈 「分からないの、私は隆のことを誰よりも愛してるからよ」

隆 「愛してるなら、こんな事するなよ」

玲奈 「ふっ」

巨大な靴に少し力がこもる。
全身がきしむような苦痛に隆は悲鳴をあげる。

力の差を思い知らされる。
巨大な彼女にとって、隆を踏み潰すコトなど簡単なのだ。

足の重さがだんだんと増加していく。
縮められた彼の力では、彼女の体重に全く抵抗できない。

隆 「ぐぁあああ……潰されるうう、すいません、助けてください」

玲奈 「私の偉大さが分かったかしら?」

隆 「お、お願いです、何でもしますから・・・力を緩めて下さい・・・」

玲奈は笑いながら足の力を緩める。

隆 「……うぐぐ、本当に潰されるかと思った」

玲奈 「ふふ、私に逆らうなんて、今の隆には不可能なの」

隆 「はい、玲奈さんにはもう決して逆らいません」


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ここは部室の外の廊下、高校教師の古川先生が周囲を見回していた。

古川先生は首をかしげる。 
(あん? さっき、隆の声が聞こえたような気がしたが?
「うわ〜!」という悲鳴みたいだったけど。 何かあったのか。
あぁ、あの部室の中から聞こえたみたいだ。 行ってみようか)

古川は、2人しかいない部室のドアを叩く。

ドンドンドンドンドンドン!!

中の玲奈と隆の動きが止まる。

玲奈 「!?」

隆 「だ、誰かが来たみたいですね……」

玲奈 「チッ、邪魔がはいった」

隆 「誰が、誰が来たのか気になるゥー」

先生 「おい!開けてくれ!私だ、古川だ。 中に誰かいるのか?」

ドンドンドンドンドン!!

隆 「いるッ、古川先生、助けてください! 僕は小さくされて」

玲奈 「声を出すなィ!」

隆 「うわあああ! 踏み潰されるうう、すみません、もう黙ります」



部室のドアは開かない。玲奈が前もって鍵をかけていたのだ。

隆 (うう、助けを呼びたいけど、騒いだら踏み潰される・・・)

ドアの外から先生の声が聞こえる。

先生 「おーい、部室の中に誰かいるのか?」

玲奈 「先生、玲奈です。 今、部屋の整理をしてまして・・・」

先生 「今、ここで(うわー)って言う男の悲鳴が聞こえたんだが」

玲奈 「おほほほ、何かの勘違いですわ。 ここには私1人しかいません」

先生 「そうか、隆の声に聞こえたんだがな。まあいい俺は行くぞ」

玲奈 「ほほほ、先生、お仕事、お疲れ様です」

 ドアの外に、先生が立ち去る足音が聞こえる。

隆 「あぁ、先生が行ってしまった・・・」(絶望)


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再び玲奈と隆は密室で2人きりになる。
玲奈は少し冷静になる。
とにかく、隆の浮気相手の女を調べなくてはいけない。

玲奈 「ちょっと、隆、あんたのスマホを見せなさい」

隆 「え、あぁ、あの、その」

玲奈 「素直にださないと踏み潰すわよ」

隆 「は、はぁいいい!!あ、あの、すみません、スマホ渡しますから、足をどけてください。マジ重いんです」

玲奈は隆の上から足を上げ、彼を自由にさせる。
隆はポケットからスマホを出す。 外に助けを呼びたいところだが無理だろう。

玲奈は隆の小さなスマホを受け取ると、超能力を使い元のサイズに戻す。
スマホの着信履歴を確認して、浮気相手を確認するつもりだった。

しかし、彼女の予測に反して、
隆の携帯の通信履歴はFX(外国為替証拠金取引)や株式取引のサイトへのアクセスだけだった。

最近は政府の規制緩和で、高校生でもネットに口座があれば
株式売買やFXが簡単にできるようになっていた。

玲奈 「なに、これ? あんた、高校生なのに、FXなんかやってるの?」

隆 「は、はい」

玲奈 「どうせ、大負けしてるんでしょ」

隆 「そ、そんな事ありません!!」

隆は話をする。 要約すると次のような内容だった。

@彼の祖父が亡くなった時、隆にかなり高額の遺産を残してくれていた。
A学費や将来の資金に使うつもりだったが、ふと気まぐれでFXに投資してみた。
Bそれが大当たりして、かなりな金額を手に入れた。
C投資が面白くて、いつもスマホばかり見ていた。 他の女の子に興味はない。

玲奈 「ふうん? いくら稼いだの、ちょっと教えなさい」

隆 「いえ、あの・・・」

玲奈 「あ、隆のネット銀行にアクセスできたわ、暗証番号は?」

ネットの普及したこの時代、高校生でも個人のネット銀行口座を持っていた。

隆は観念して暗証番号を教える。 逆らえば、また踏まれるかもしれない。
怜奈がネットで、彼の銀行口座の残高を確認する。

玲奈 「今の残高は、えっと・・・ええ、
ご、ご、五億八千万円!!!
彼女は思わず大声をだしてしまう。

玲奈 「す、すごいじゃない、アンタ!」

隆 「株式に投資している分を含めたら、もっとあります」

玲奈 「信じられない、これ、子供銀行の遊びじゃないでしょうね??」

隆 「本当だと証明してみせます。 玲奈さんのネット銀行の口座番号を教えてください」

玲奈 「いいわよ、私の口座は茅菜崎銀行ネット支店、724-8855***よ」


隆 「そ、それじゃ、玲奈さんの銀行口座に50万円振り込みます」

玲奈 「50万円〜!?」

 怜奈は言われるままに隆のスマホを操作する。

 それから彼女がスマホで自分の銀行口座を確認すると、残高が50万円も増えている!!
玲奈 「ほ、ほ、本当に、私の口座に50万円が振り込まれている!」

隆 「あははは、喜んでもらえて、嬉しいです」

玲奈 「うわー、さすがに金持ちはすごいわね」

隆 「規制があるので、一日50万円しか送金できないのです・・・」

玲奈 「あ、あん、隆がお金持ちだったなんて、惚れ直したわ」

隆 (お、玲奈の様子が代わったぞ、よしよし、なんとかうまく言って、元の大きさに戻してもらおうっと・・・)




どうやって、この危機から脱出するか、必至で考える隆であった。


続く


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