《 夕陽にそまって 》
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これは現実・・・・
それとも夢なのだろうか?
水泳の授業中 突然 奇妙な声が聞こえた
「時が来た! 巨人族の者たちよ!! 本当の姿に戻れ」
何だ? 何を言っているのだ??
そして いきなり僕は巨大化してした
普通の十倍以上の大きさに
人目を恐れ 旧校舎裏に隠れる僕
水着のパンツ一枚の姿
どうしていいのか分からない
「今より我らの時代だ! 巨人族の者たちよ!! 思うがままに生きるがいい」
再び あの声が頭に響く
何を言っている? お前かよ 僕を大きくしたのは?
はやく元の大きさに戻しておくれ!
周囲でざわめきの声がする
生徒を避難させる先生の声
遠くから響くパトカーのサイレン
恐ろしい予感
もう 僕は人から恐れられる存在になったのだろうか
元に戻りたいという願いに反して
さらに大きくなる僕
夕陽に染まって・・・
これは現実・・・・
それとも夢なのだろうか?
僕のカラダは 夕陽に真紅に染まった
ようやく理解する
自分は巨人なのだと
ならば巨人として生きていくしかない
全てを見下ろし
全てを破壊しつくして