《 不運な泥棒 》 

----------------------------------

 俺は泥棒の天才さ。

 狙った獲物は逃しやしない。

 そして、ここは、天才科学者フィッツ博士の家。

 彼女が
縮小光線砲を完成させたという噂を聞いた。
それを盗んで売れば、大儲け間違いなしだ。

 それで、俺はフィッツ博士の家に忍び込んだのさ。
彼女が発明を、研究所ではなく自分の家に保管していると直感していた。

 なぁに、女一人の家だ、俺にとっては簡単な仕事さ。
しかし、警備は厳重だったようだ、俺は捕まってしまった。



 くそー、こんな初歩的な罠にかかるとは、俺も落ちぶれたものだ。

 ふん、まぁいいさ。
この国の法律は、俺達みたいな悪党でも守ってくれる。

 刑務所に入っても、しばらくすれば釈放だ。
そしたら、また悪いことをしまくってやるさ。

 わははははは!

 おや、フィッツ博士が帰ってきたようだ。

 罠に囚われた俺は、そこから動けない。 俺は彼女を見つめる。

 なかなか
いい女じゃないか。 科学者にしておくのは、もったいないぜ。
はいはい、警察に連絡してくれよ。 俺は別にこわくない。

 縮小光線砲を盗めなかったのは、残念だったが、まぁいいさ。

 おや・・・彼女が変なモノを持ってきたぞ。 いやな予感がする。

 あの、フィッツ博士、それは何ですか?



 えっ! それが縮小光線砲・・・? 人間を小さくできる??

 あの・・・それを何に、お使いになるのでしょうか?

 え、「俺を
身長8センチの小人にする」だと!?

 そ、そんなバカなことができるかよ。

 あぁ、彼女が縮小光線を発射した! 緑の閃光が俺をつらぬく。

 うわー、俺のカラダはみるみる小さくなっていくう!。

 なんということだ、俺の目の前でフィッツ博士は、

 とんでもない
女巨人となって、そびえ立っていた。

 いや、彼女が大きいんじゃない。
俺がネズミのように無力な小人になってしまったのだ。

 彼女がこれを自分の家に置いていた理由が分かった。
こんな危ないモノを他人には渡せない。

 フィッツ博士はその巨大な手で、俺を掴み、楽々と持ち上げた。
俺は抵抗しようとしたが、俺には彼女の指一本と闘う力もなかった。

 ちょ、ちょと、博士! 何をなさるんですか?

 え、「あなたを私の
オモチャにする」 ですって。

 そんな、お願い、ヤメテ、

 あぁ、巨大な指が俺を裸にする、うわぁ、誰か助けてクレー!

 @@@@@

 3年の月日が流れた。

 俺は今も、フィッツ博士の家にいる。




 
彼女の奴隷として・・・。


 (不運な泥棒 終わり)



目次に行く ←戻る めくる→