《 クマーの旅 》

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 むかし、むかし、ある村に熊がいました。

 名前を
クマーといいます。

 クマーはイタズラが大好きで、いつも悪さばかりしていました。

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 着替えをしている
女の子がいる風呂場を覗いたり、



 閉店前の銀行を襲ったり




 村の人たちは、ほとほと困りました。

 でも、クマーはとても強いので、人の力では勝てません。

 それで、村人たちは、
巨大OL曜子さんに相談しました。

 「私にまかせて、話をつけてくるわ」 曜子さんは引き受けてくれました。

 次の日曜日に、曜子さんはクマーに会いに行きました。

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 巨大曜子さんはクマーの前にしゃがみます。

 クマーは身長2m30cm、250kgと、野生動物としては大きいのですが、
それでも曜子さんの巨体とは比べものになりません。

 巨大曜子さんはクマーの3倍の身長、そして10倍の体重があるのです。


 力の差は歴然としていました。

 曜子さんは怖い顔をして、クマーを睨みます。

 クマーはあまりの恐怖に、ぶるぶると震えてしまいます。




曜子: 「ちょっと、熊さん、話があるんだけど」

クマー: 「こ、これは、これは、曜子さん、何かご用でしょうかクマー?」


曜子: 「最近、あんた、(村で悪さしてる)って聞いたわよ」

クマー: 「な、何をおっしゃいますクマー、私は真面目な熊さんです(汗)」

曜子: 「今から、うたわしてあげようかしら?」

クマー: 「ぎょえー、助けてクマー!!」

 うたわしてあげる・・・と言われても、何のコトか分からない人もいるでしょう。
「うたわす」とは、大阪弁で「跡形も残らないくらい、ボコボコに殴ること」です。


 そして、クマーは野獣の本能で分かっていました。
巨大な彼女に殴られたら命がありません。


 
巨人女性は、地上最強の存在なのです。

 熊は人よりずっと強いのですが、彼女には勝てないのでした。

クマー: 「もう悪いことはしませんクマー、だから許してください」

 
命が惜しいのです。 必死になって謝ります。

 曜子さんはその言葉を信じ、クマーを許してあげました。

 その日からクマーは悪さをやめました。

 村人達は
巨大曜子さんに、たいへん感謝したのでした。

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 それから3年の月日が流れました。

 クマーはすっかり真面目な熊になっていました。

 春と夏には、村人の畑仕事を手伝い、
秋には、山奥から、栗、柿の実、松茸を採ってきて村人にただで配り、
収穫期には、畑を荒らす悪い猿集団と はぐれ猪(いのしし)を山に追い返します。

 山で遭難した人を、巨大曜子さんといっしょに、救助したこともありました。
そのため、村人たちはクマーが大好きになっていました。

 今では村長さんが遊びに行く時は、クマーも車に乗せてもらっているそうです。



 そしてその後、クマーと村人は、ずっと仲良く暮らしたのでした。

(クマーの旅 終わり)


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