《 ついていない男 》
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その日、会社の宴会があった。
みんなでビンゴゲームをやったら、俺だけ賞品なしだった。
ビンゴカード縦横斜めと12の列があるのに、一列も揃わなかった。
この時、いやな予感がしたんだ。
普通にビンゴをやって、こんなに綺麗に負けることなどありえない。
もしかして、俺はすごく運が悪いんじゃないかってね。
まぁ、そんな事はすぐに忘れたよ。
次の日は日曜日だった。
俺は自分の家の新しい駐車場を作るため、地面をセメントで固めた。
こういう事は普通、業者に頼むのだが、俺は器用なので自分でやってる。
さて、セメントが固まるまで、しばらく休むか。
俺は昼飯を食べてから、再び駐車場を見に行った。
うわー! やりやがったぁ!!
お、俺が苦労して固めたセメントがああ!
ちょっと、目を放してる間に、ネコの野郎が歩きやがったぁ!
何してくれるんだよ、もっと他の場所、歩けよなー。
やっぱり業者さんに頼んだらよかったかな。
しかし、わずかな時間で猫が来るとは・・・
いやな予感がする、 俺は運が悪いのじゃないかな??
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しかし、俺は自分に迫っている運命に気がついてなかった。
その5分後に、突然現れた巨大女が
俺の町を踏み潰してしまったのだ。
巨大女は町の上を、わざと歩くのが好きだった。
人の造った多くの小さな建物を踏み潰す快感・・・。
おそらく、それは巨大女にしか分からない楽しみなのだろう。
大地は大きく、そして深くえぐられ、圧縮された。
もはや、そこが以前、町であったことは誰にも分からない。
これで、俺は仕事に行く必要も、駐車場を作る必要も無くなった。
何を言ってるのか分からないと思うが。
なんでこんな事になったのか理解できない。 頭がどうにかなりそうだ。
ただひとつ真実だと分かっていることは、
「俺は運が悪い」という事だけだった。
(終わり)