《 お婿さんを探して 》

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 むかしむかし、ある所にお金持ちの一家がいました。

 父さんと、母さんと、一人娘の良子の三人暮らしです。

 ある日、母さんがいいました。
「ねえ、おとうさん。そろそろ良子にも、お婿さんを見つけてあげたいですね」

 父さんは答えます。
「そうだな、良子は世界一いい娘だから世界一の婿を見つけてやろう。
ところで世界一強いと言えば、やっぱりお日様だろうな」

 父さんと母さんは、お日様のところへ行って頼んでみました。
「世界一強いお日様。良子をお嫁にもらってください」

 太陽は笑って返事をします。
「なに、わたしが世界一強いだと、それは嬉しいな、
だが雲はわたしより強いぞ。わたしを見えなくしてしまうからな」

 そこで、父さんと母さんは雲のところへ行ってみました。
「世界一強い雲さん。良子をお嫁にもらってください」
「それは嬉しいな、だが風は俺より強いぞ。俺を簡単に吹き飛ばしてしまうからな」

 そこで風のところへ行ってみました。
「世界一強い風さん、良子をお嫁にもらってください」
「それは嬉しいな、だが高層ビルはわしより強い。いくら吹いても倒れないんじゃ」

 そこで、高層ビルのところへ行ってみました。
「世界一強い高層ビルさん。良子をお嫁にもらってください」

 大きなビルは言いました。
「それは嬉しいな、だけど俺よりも強い女がいるぞ。それは巨大娘だ。
なにしろ巨大娘は身長3000mもある。
頑丈なビルの俺を、指先で簡単に捻り潰してしまうんだからな」

 父さんと母さんは言いました。
「なんと、世界で一番強いのは女性だったのか、
女の人と良子は結婚できんな」

 父さんと母さんは無理をするのをやめました。

 世界一でなくてもいい、普通のお婿さんを探しました。

 良子は、めでたく普通の若い男性のお嫁さんになり幸せに暮らしました。

(おしまい)



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