《 幸せの町 》
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その町に住む人々には、ごく普通に優しさがあった。
カルガモ親子が道路を横断する時は、みんな車を止めて待ってあげた。
役所が道路を作る時も、家があれば無理に立ち退きを求めずに、
その家をよけて道をつくった。
駅には、愛しあう恋人達のために「キスをする場所」 (KISSING POINT) が作ってあった。
この町にはそういう優しさがあったので、
その後、世界中で縮小病が大流行し、
男性のほとんどが身長10センチになってからも、
巨人の女性と男性は、ずっと仲良く、幸せに暮らしたのだった。
もちろん、小さな男達は、ちょっとだけ巨大な彼女が怖かったのだが、
優しい彼女は、彼をイジめることなど、なかったのでした。
(終わり)