《 鏡の中は 》 ドラゴンは空を翔る編
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鏡の中は、誰も知らない自分だけの世界。
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猫は鏡を見つけた。 そこにはライオンの姿があった。
自分で狩をする、誇り高き野獣「百獣の王」
猫は人の家で可愛がられて、幸せに暮らしていた。
しかし、本当は自分の力で自由に生きたかったのかもしれない。
猫はいつまでも鏡を見ていた。
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トンボは飛んでいた。
その影はドラゴンのように見えた。ヨーロッパの伝説上の怪獣。
トンボを英語でdragonfly(ドラゴンが飛ぶ)という。
夏が終われば失われる、はかない命。
小さくて弱いトンボがなぜ、強いドラゴンの名で呼ばれるのか?
誰にも分からない。 ただトンボは短い夏の命の中を精一杯、飛び続けた。
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彼女は自分の胸元を鏡に写した。
鏡の中の、彼女の大きな胸の谷間には小人がいた。
小人は彼女の恋人だった。 彼女は彼を愛していた。
結婚の約束をしていた。 二人は平和な家庭を持つだろう。
しかし、彼女の心の中で何かが叫んでいた。
可愛い彼を小人にして、自分の胸の谷間に入れて玩びたいと・・・。
全く抵抗できない男を、彼女の巨人の力で無茶苦茶にしてやりたいと・・・。
決して彼には言えない、彼女だけの空想。
彼女はいつまでも鏡を見つめていた。
(終わり)