《 お願い! 妖精王 》 サッカー選手への遠い道
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男がいた。 サッカーの選手だった。
最近、彼のチームが負け続けている。
チームの一員として、頑張らなければならない。
しかし、なかなか勝てない。うぅ、どうすればいいのだ。
男は伝説を思い出した。
異世界に何でも願いをかなえてくれる妖精王がいると・・・。
「妖精王様、サッカー選手の俺を、もっと強くしてください」
その夜、男はそう願いながら眠りについた。
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そして、ここは夢の中・・・。 男は異世界を旅していた。
長い旅路の果て、男は妖精王に会い願いを言った。
男 : 「妖精王様、私のサッカーチームが負けているのです」
妖精王 : 「・・・それがどうかしたのか?」
男 : 「誰よりもサッカーが強くなりたいのです」
妖精王 : 「地道に練習するがよい。さすればいつかは結果がでる」
男 : 「私は、今すぐサッカーが強くなりたいのです!!」
妖精王 : 「それで、この妖精王に何をせよと言うのだ?」
男 : 「誰も止められない必殺キックをください」
妖精王 : 「汝の願い、聞きとどけた」
目が覚めた男は無敵のサッカー選手になっていた。
なんて素晴らしいのだ。 さぁ、今からキックをするぜ。
必殺スーパーキック!!
ズバコーーーン!!
おぉ、すごい勢いで飛んでいく。
ありゃ、ボールがゴールに入らずに競技場を飛び越えたぞ!?
い、いったい何処へ行ったのだ。
あぁ! あんな所にボールがあった。
ビルに激突してるう!! しかもボールが大きくなってる。
も、もう一度やってみよう。
あぁ、またボールが飛びすぎて建物にぶつかったああ!
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男 : 「妖精王様、私のボール飛びすぎて、ゴールに入らないんですけど」
妖精王 : 「そうなのか」
男 : 「そのままビルに激突しました」
妖精王 : 「お前は、(誰も止められない必殺キック)を望んだのであろう。
光があれば闇もある、願いとはそういうものだ」
男 : 「キックはもういいです」
妖精王 : 「そうなのか」
男 : 「とにかく私のチームを優勝させたいのです」
妖精王 : 「汝の願い、聞きとどけた! 我が偉大なる力を見るがよい」
ゴゴゴゴゴ!!
男 : 「妖精王様! 競技場が傾いています!?」
妖精王 : 「地面を持ち上げて、お前の守るゴールを上にしてやった。
サッカーのボールは、必ず敵陣に転がってゆく。
これでチームの大勝利疑いなしじゃ。ぬはははは。」
男 : 「これでは試合ができません!」
妖精王 : 「ダメなのか? そうだ、いい事を思いついたぞ。
お前を身長20mの巨大男にしてやろう。
どんなキックでも、その巨体で止められるぞよ」
男 : 「もう普通の選手として頑張ります」
妖精王 : 「そうじゃな、人間、真面目に努力するのが一番じゃ、ぬはははは」
《終わり》