もうすぐ町の記念日です。
市長さんは巨大ミクちゃんに、町から何かプレゼントをしようと考えました。
喜ぶ物は何だろう? 市長は一生懸命考えます。
やがて彼女がいつもネギを持っているのを思い出します。その姿が、あまりに自然なため「初音ミクはネギが好きなのだ」と考えました。
記念日には町中のネギを彼女にプレゼントするのです。きっと喜ぶでしょう。
さて、この役所では市民の大切な税金を無駄遣いしないために、行政として手間のかかる書類や文章などを使わずに、簡単なメールか携帯電話だけで連絡していました。
さっそく市長は、部下の市役所職員に携帯電話で指示をします。
「すぐに町中のネギを集めてきなさい」
職員達は何を言われたのか分かりません。
八百屋で売っているネギを市長が必要とするとは考えませんでした。
ちょうど夏祭りの季節です。
この町では、市役所が神社の夏祭りを全面的に応援していました。
神社に奉仕する神職を禰宜(ねぎ)と呼びます。
職員は、市長が神主と「祭りの打ち合わせ」をするつもりなのだと考えました。
「分かりました。すぐに禰宜を集めます」
職員は神社に連絡をして、市役所に来てもらうように依頼します。
交通整理や神輿をかつぐ人員など、夏祭りには市役所の応援が必要です。
神主さん(ねぎ)は喜んで、市役所の応接室に集まりました。
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さて、ネギを買うには予算が必要です。 市長は議会にこの件を告げ、予算の承認をもらおうとしました。 しかし、市議からは不評です。
巨大ミクが何故ネギを持っているのか理由は誰も知らなかったのですが、未来世界からきた歌姫である彼女は、ネギを振ってリズムをとっているみたいです。ならば人間サイズの小さなネギをもらってもしょうがないとの意見でした。
そういう訳で、ミクちゃんに町中のネギをプレゼントする計画は、市議会で否決されました。市長はがっかりです。
そんな時、部下の職員から携帯にTELが入ります。
「禰宜(ねぎ)が集まりました、どうしましょう?」
市長は返事をします。
「ネギを捨てるのは、もったいない。そうだ、裏山に市役所の菜園があったな、そこに首だけ出して、埋めておきなさい」
職員達は絶句しました。 市長は何を言うのでしょうか?
夏の暑さのため頭がどうかしたに違いありません。
しかし、市長の命令には逆らえません。お役所仕事のつらい所です。
市役所職員は、裏山の畑に穴を掘って、嫌がる神主(ねぎ)を、首だけ出して埋めてしまいました。
どったらどたりこ、どんどんどん。
(終わり)
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