エンパイア・シリーズ コスモポリタン
ゲイター・作
笛地静恵・訳
第4章 ケリー
25***
メラニーは、身体の震えがとまらなかった。抑えることができなかった。緑の髪の人食い巨人デリラが、その恐ろしい顔を自分の方に向けたのだった。
「他に、宝石はないのか?」
「いったでしょ!それが、私が持っているすべてだって!!!!」
ちっぽけな女は、精一杯の抗議をしていた。
「それは、お気の毒なことだな」
デリラは、生意気な彼女の顔を、自分のいる場所から、少し上に位置していたティファニーの肛門の穴に無造作に突っ込んでいた。そして、口を寄せると、ちっぽけなビジネスの世界で、いかにもエグゼクティブとして生きてきたらしい女の体を、口腔いっぱいに詰めこんでいた。
叫び声を上げている生き物の体は、デリラの唇に挟まれながらも、その舌との戦いを続けていた。デリラは、舌先だけで器用に、女の身体を回転していった。頭が、喉の奥の方向に向くように口腔に挿入していった。
ちっぽけなハイヒールの足首の部分を指先に摘んでいた。ゆっくりと。ゆっくりと。ちっぽけな女の身体を、喉の奥に挿入していった。ディープスロートを楽しんでいた。
ポリステルの生地のビジネススーツが、のどちんこをざらざらと刺激する感触を楽しんでいた。成熟した女の肉体の曲線が、まるで男のペニスの雁首の凹凸のように心地よかった。
彼女は、熟女の甘味を思う存分、堪能していた。しかし、結局のところ、この女の体は、最初のボディビルダーだったのだろう男の身体と比較すれば、小さすぎた。
一度、彼女の唾液に濡れてしまうと、あまりにも簡単に、滑らかに喉の置くまで挿入されてしまうのだった。デリラは、口の中のスナック菓子が、自分から生きて動いている感覚に、唇を歪めて笑みを作っていた。
口に入れたままで、ティファニー峡谷にとらわれの身になっている、残りの敵どもの狩猟を再開していた。唇から、二本のハイヒールの足先だけが突き出ていた。
デリラは、快感を覚えていた。ちっぽけな敵の上流階級の人間どもを、ディープスロートしたり、飲みこんでやったりするのは、何て楽しい行為なのだろうか!
しかし、女友達の巨大な尻の肉の谷間で、ちっぽけなネズミ・サイズの生き物の狩りを続けていると、彼女自身の肉体が、今までに体験したことのない強さで燃え上っていくことを、感じずにはいられなかった。
この高まりを解放する必要を感じていた。下唇を前歯で噛み締めていた。この目的にあてはまる、何人かの頑健で適当な形態の肉体を持った男を、なんとしても見つける必要があった。
彼女のプッシーは、獲物を求めて痛いほどに飢えていた。四つんばいになった態勢で、肉の地面すれすれに顔を寄せていた。男どもの体を、すぐ近くで観察していた。ゆっくりと進軍していった。適当な者が見つからなかった。
尻肉の谷の世界の、境界に到達していた。そこでも、何人かのちっぽけな逃亡者を発見していた。ティファニーの赤毛の陰毛の森の奥に、這いつくばるようにして、逃げこもうとしていた。
重い鋼鉄のような陰毛を、命綱のようにして活用していたのだ。器用に性器の周囲をつたい降りていた。デリラの人間狩りの、容赦のない鋭い視線から、なんとか逃れようとしていた。根性のある連中だった。
急斜面の上で、両膝を曲げていた。両足を踏ん張っていた。自分自身の態勢を作っていた。デリラは、ティファニーの尻の谷を、峡谷の方向にまで滑り降りる準備をしていった。
豊富なプッシージュースが、潤滑剤になっていた。デリラ自身の唾液も、一役買っていた。彼女が、もっと巨大で強力だった肉体の時に残しておいたものだった。両手で、自分の身体を前方に押し出していた。足先を下にして滑り出していた。
谷の端の峡谷に傾斜していく、急な斜面を逃げる敵どもに、急速に接近していった。何名かを、すでにデリラの筋肉質で、ひきしまった尻で擦り潰していた。他の者達は、床の面に転落していった。
しかし、まだ何人かは、ティファニーの性器の複雑な襞の隙間に隠れ潜んでいた。デリラの『死の滑り台』の試練にも耐え抜いて生き残っていた。
彼女の両足が、とうとう何人かの男どもの身体の上に着地していた。デリラは、この経験にスリルを覚えていた。デリラの足の周りで、三名の男どもが、なお行き残っていた。うろちょろと逃げ回っていた。
大きな声を上げて、陽気に笑っていた。ひとりひとり、その素足の下で踏み潰していった。白いハードタイルの床の上に、血と内臓が赤い噴水のように足の下から噴き出していた。周囲に跳び散っていた。
彼女は、背後のティファニーのカントの方を振り向いていた。何人かのネズミ・サイズの男たちが、内部に隠れようとしていた。しかし、彼女の目から隠れることはできなかった。
手を伸ばすと、一人を捕まえていた。目の高さに上げていた。なお戦おうとする男を口に含んだ。彼のTシャツの文字は、「恐れ知らずの男」とあった。笑ってしまった。
飲みこもうとする前に、彼は自力で頭を唇の間から、突き出していた。巨大なピンク色をした粘膜の壁と、ティファニーのあそこの臭いを感じながら、デリラにはついに解決策が閃いていた。
「なあ、ティフ。見たところ、お前のカントは、指の愛撫を待ち構えているんじゃないか?」
提案してみた。
「あたしは、あなたが掻くのを許してくれないと思って、なんとか我慢してたのよ……。ありがとう。デリラ!」
ティファニーは、女友だちに感謝の言葉を述べていた。堪え切れなかったようだ。一本の指を裂け目に埋めていった。痒いところを掻いていった。
この世界に、恐怖の大地殻変動が襲来していた。ティファニーの巨大な指が、数千トンものプッシーの肉の内部に侵入していった。同時に、その上にいた生存者どもを、たぶんその存在を指に感じることもなく、唇の内部に深く深く埋没させていったのである。
「清掃終了というところだな」
デリラは、満足のあまりため息をついていた。同時に、あの片手は、彼女の新しい縮小された肉体を、簡単に二つに引き裂ける力があるということを認識していた。
ティファニーが、ついでに尻においたデミタスサイズのコーヒーカップを指先で、簡単に持ち上げて回収していったのだ。高層ビルを建築する時の巨大クレーンのような腕が、上空を悠然と移動していった。風を巻き起していた。
ほんの数秒間であったけれども、彼女は生れて初めて、巨大な赤毛女の存在感に恐怖を覚えていた。無意識で、ポータサイザーの銃身に指先を触れていた。
まあ。いいさ。この恐怖は、自分の身体がノーマルなサイズに巨大化すれば、すぐに解消されるものだ。そうすれば、ティファニーを思うままに舐めてやる。クリトリスも、プッシーも、肛門の穴までだ。
今では、デリラは、陰毛の森に隠れ潜んでいた、体力には自信があったであろう男どもも、全員、すり潰されて、一人の生存者が残っていないことも、一望にして確認していた。自分が口に含んでいた男をも、いつのまにか飲みこんでしまっていたことに、まったく気がついていなかった。
舌の上にも、何の味も残っていなかった。ただティファニーのあそこの臭気だけが、濃厚に感じられた。彼女は、ともあれごくりと口の中に溜まった生唾を飲みこんでいた。この場所で、適当なサイズの生きているディルドーを探すことは、無理なようだった。ティファニーの性器のわれ目を下って床に下りていた。
デリラは、自分の身長を四十五センチメートルほどに巨大化していた。ティファニーからすれば、バービー人形程度だろうか?
デリラは、ティファニーのプッシーも満たされることを望んでいるだろうと想像していた。熱をもった、複雑な襞の肉が蠢いていた。隙間から、愛液が山肌からじゅくじゅくと滲み出ていた。透明な石油のようだった。粘着性があった。大量の愛液が、裂け目を流れ下っていた。
今度は、縮小された人間どもで、そこをいっぱいにしてやろう。極小サイズにした内容物を、デリラが舐めとってやるのだ。
デリラ様のプッシーの、欲望の飢えを満たす行為を止められる人間は、もう誰もいないのだ。足元の膝にも届かないちっぽけなホテルの屋上の部分を、ティファニーの尻肉の谷から片手に掴んで引きぬいていた。
床に寝そべっているティファニーに要求していた。
「さあ、次にいこうぜ。俺様のプッシーは、お前の舌を求めて、うずいているんだ」
彼女は、手に持った物体の脆さを忘れていた。自由な方の手で、刺青を施した股間を、強く撫でさすっていた。彼女のプッシーも、自由に愛液を垂れ流しにしていた。『銀河帝国ホテル』の屋上に擦りつけていた。屋上のプールに入っていた自分の唾液が、油のような潤滑油の働きをしてくれていた。快適だった。
しかし、ホテルの建物は、このような圧力に抗するようには、設計されていなかった。デリラは、興奮剤として正しく活用していた。ホテルをティファニーのVの字に開いた太腿の間で、自分の股間に挟んでいた。左右の太腿で潰していた。真っ二つに切断していた。そのまま、巨体の下に『銀河帝国ホテル』が瓦礫の山になるまで、押し潰していった。長い歴史と伝統を誇ってきた名門ホテルは、女の股間の下で、その命を終えたのである。白い冷たいタイルの床に、横たわっていた。火照った肌に心地よかった。
ティファニーは、床の上で四つんばいになっていた。デリラが大股開きで、うつぶせ寝になった位置に、顔をあわせるようにして身体を反転させて、移動していた。もう少しだけ、身体を前方に移動していた。
まだ彼女の頭は、先ほどの激しいオーガズムの名残に、ぼんやりとしていた。それでも、言われた通りに彼女の舌を、小さなバービー人形のような、痩せた女性警官の刺青の股間に沈めていった。ホテルの瓦礫を、舌で舐めとってやっていた。
すぐにきれいな場所になった。さきほどから女友達は、愛液を自由に垂れ流しにしていた。そうだとしても、ほとんど臭いも感じられなかった。今夜の彼女は、扱いやすかった。
しかし、デリラの興奮の激しさは、また別の問題だった。デリラは我慢できない様子だった。ヒップをペニス挿入直後の男のように、前後に激しく動かしていた。
ティファニーの女らしく柔らかい舌から、もっと強い刺激を得たいと思って苛立っているようだった。ティファニーは、さかりのついた野生の雌猫を相手に、SEXしているような気分だった。
デリラは、ティファニーの優しさに物足りなくなっていた。ポータサイザーで、自分を打った。また自分自身の身体を縮小させて行った。
「もっとだ。ティフ。俺のプッシーは、もっと固い一撃を求めてるんだ!!」
彼女は懇願していた。そうしながらも、ティファニーの顔の下で身体を縮小させていった。今度は、自分自身の感覚としては、さらに三分の二の身長になっていた。30センチメートルぐらいだろうか。ティファニーの舌が、岩のような固さと強度を持って、彼女の股間を責めるように感じられていた。
26***
マックは、ここで手を離して自殺する可能性について、真剣に考えていた。両手は女の乳首の皺に、これほどの長い時間に渡って、しがみつくという苦行に、感覚がほとんどなくなっていた。
この巨大女が、彼に見せ付けてきた、口にするのも汚らわしい行為のすべてに対して、反吐を吐きかけてやりたい気分だった。それは、完全に悪魔的で黒い粘着性のある、世界に対する悪意の所産だった。冒涜だった。彼には、どうしてこれほどに一人の女が、他の人間に対して残虐な行為を続けることができるのか、どうしても理解できなかった。
ケリーを失ったショックに、すすり泣いていた。彼女こそが、この世界で自分が生きて戦ってこられた理由だった。彼女が、いつも自分を信じてついてきてくれたから、生きてこられたのだ、今では、その彼女も逝ってしまった。レスボスたちが、お互いの位置を交換するのも体感していた。
重力の方向の変化は、彼の小さすぎる肉体には、すでにたいした問題ではなくなっていた。ティファニーが、彼がへばりついている病気で変態の女巨人の股間を舐めはじめていた。
それが、どうしたというのか?自問自答していた。遅かれ速かれ、この緑の髪のモンスターは、その乳首を自分の指でつねったり、ひっぱったりして、快感を高めるようとするにきまっている。そのとき、彼の身体もまた、すり潰されて、この世から消えうせるのだ。もう少しだけ、涙を流した。ケリーを失った悲しみは、もう耐えがたいほどになっていた。
この緑の髪の嫌な女は、また自分自身を縮小していた。マックの両眼は、表情も変えなかった。赤毛の頭部が、眼前でさらに巨大に、さらに巨大に変化していった。赤毛に縁取られた頭部は、デリラの膝の間で小惑星のようなサイズになっていった。
このままピンクの皺のよった肉の上にしがみついていた場合の最悪の事態が予想できた。赤毛が乳首を舐めた瞬間に、あの口の中に入っているだろう。恐怖していた。彼は、ティファニーの赤毛の上に飛び移ろうとしていた。
彼は、すでに充分に小さくなっているから、頭髪にたかる虱や、ダニやそんなものと一緒に、もうしばらくの期間は、生存が可能かもしれなかった。ケリーの分まで生きなきゃと思っていた。
赤毛に飛び移る好機が失われていた。赤毛が顔を持ち上げていた。緑毛に再び何事か話しかけていた。超巨大な女が、緑毛に語りかけている空気の重低音の振動を、声としては一語たりとも聴き取ることができなかった。赤ちゃんをあやすような口調だった。緑毛は、彼女には、乳幼児のようなサイズにしか感じられないことだろう。
27***
「ねえ、あなたの銃のバッテリーを、使い切らないでね。宝石を大きくする分だけは、取っておいてちょうだい!」
ティファニーは、自分が舐めている間にも、デリラが自分の身体を、どんどん小さく、どんどん小さくしていくのを舌に感じていた。彼女の舌先は、縮小したプッシーのリップを左右にかき分けるのに、もうほとんど力を入れる必要もなくなっていた。
「何も言わないでくれ!俺、もうすぐいきそうなんだから!!」
デリラは、幸福の絶頂にいた。ティファニーは、小指を彼女のプッシーに挿入し、それでファックを始めた。デリラにとって、それは、とても素敵な恋人の一物に匹敵した。
彼女は、自分をもう少し小さくしようとして、拳銃の引鉄に指をかけていた。しかし、辛うじて思いとどまっていた。苦痛のあまり、失神してしまうかもしれなかった。それでは、快感を覚えていることも、できなくなってしまう。彼女は、ティファニーが、小指を友人のきついプッシーに出したり入れたりするたびに、何度も何度も叫び、何度も何度もいっていた。
28***
「よし、よし」
デリラは、宝石を入れたデミタスサイズのコーヒーカップを眺めていた。満足そうに、手を叩いていた。
現実的には、顕微鏡的なサイズの宝石を、この世界で使用可能なサイズにまでもどすためには、何度も何度もポータサイザーのバッテリーを警察で充電し、この作業のために利用するという長い過程が必要だろう。忍耐と時間がいる。
デリラは、この過程をできるかぎり短縮するために、二挺のポータサイザーの縮小光線を、一箇所に合わせて照射するという方法を思いついていた。これだと百倍X百倍とすれば、一挙に一万倍にもできるのだ。
巨大化率を上げると、バッテリーの消費量は幾何級数的に高まる。合理的な方法だった。しかし、危険があった。照準が、少しでもずれると対象物が、爆発する危険性があった。心の準備も、綿密でなければならなかった。その作業が、終ろうとしていた。
もちろん、ティファニーは、女性警官を写真の中だけで見るような境遇になりたくなかった。不安そうに内部の品物を、自分からできるだけ距離をおいた、部屋の隅の白いハードタイルの床の上に、ざらりとばらまいていた。ちっぽけな点が、すべてきれいに落ちたかを、カップの底を覗いて確認していた。
「OK.OK」
デリラの縮小された体では、ティファニーが床に四つんばいになって、白い床に降ろした敵のキューブの内部をさらに探検して、次の遊びの用意をしている無邪気な光景を眺めていると、視点の高さが、さっきまで自分がいた、お尻の割れ目の位置と、ちょうどおなじぐらいになっていることに気がついていた。
自分は、あそこにいたのだ。不思議な感覚があった。ティファニーは、実は、デリラの実験が怖いので、見ないですむように顔をそむけていたのだ。
「お腹がへったわ。何人か、クラッカーがわりに食べちゃってもいいかなあ。どうかしら?これも、一種のアニマル・クラッカーというもんかしら。命乞いする、生きている動物っていうところが、本物と違うだけなのかしら?」
赤毛は、冗談を言って楽しんでいた。期待のあまり乳首の皮膚が張りきっているのを感じていた。痛いほどに勃起している。それらが、都市の上空すべてを占領する程の大きさでのしかかっている。
わざとそうしているのだ。三十センチメートル四方のプラスティックの内部に、片方の乳房を入れていた。二つ一緒には、とても入らない。ゆっくりと垂らしていた。天井の明るい照明の光を完全に遮っている。
暗い影が、都市の上に降りていた。ティファニーの生み出した人工の夜なのだ。住民には、この光景は、どんな風に見えているのだろうか?宇宙最大の巨乳だろう。惑星が落ちてきたような感じだろうか?
キューブに入っている、都市のすべての建築物と地面を作る物資をあわせたとする。それでも、ティファニーの巨乳は片方だけでも、十倍以上の肉の質量がありそうに思えた。単純に誇らしかった。乳房を取りだしていた。
これまでに、キューブの外に取りだしたビルディングは、三つしかない。それで、これほどに楽しかったのだ。まだ百を越えそうなビルディングが、内部に残っていた。
彼女の両眼は、風景の全景を一望に見下ろしながら、右から左に探索していった。
都市のどのビルディングに、もっとも集中して人間たちが隠れているのだろうか。
大きくして食べるつもりだった。すっかり、リラックスしていた。お腹が減っていた。
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