《 崩壊する都市 》
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(巨大な女性の視点で)
何も思い出せませんでした。
どうして私はここにいるのですか。
私はいつから、ここにいましたか?
記憶がぼんやりと途切れています。
確か、昨日まで友人たちと楽しい生活をしていたのに・・・。
それにしても、ここは何処??
小さな都市の模型。私は玩具の都市の中で、うつ伏せになって寝ていました。
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私は右手を少し動かしてみる。
轟音と土煙の中、数千人の住む都市の一区画が、
私の右手に、あっけなく潰される。
そうか、巨人になったんだ・・・私。
そう・・・私は自分の人生に退屈していた。
誰も抵抗できない無敵の力が欲しかった。
私は、自分を超えた無敵の肉体が欲しかったんだ。
ようやくそれを手に入れた・・・。
数万人の人々が寝転んだ私の巨体の下で潰されている。
特に心は痛まない。もうどうしようもないの。
女の巨人が都市で寝転がったら大勢の小人が潰される。それが真実なの。
それにしても、何が気に入らなかったの??
私は友人たちと、それなりに楽しい日々を過ごしてきたのに。
きっと自分でも気がつかない心の闇があったのね。
そう、私は誰よりも強くなりたかった。
誰よりも大きくなりたかった・・・ただそれだけ。
私は地面を改めて見る。
小さな、小さな都市で、本当に小さな人間がパニックを起こして逃げ惑っている。
そう、こんな虫たちに人としての権利などないの。
私は彼らに宣言する。
この世界は私が征服してあげることにしたから、素直に私のモノになりなさい。
私は立ち上がる。
そして、ゆっくりと歩きだす。
私の一歩、一歩で数百人、数千人の住むビルが潰される。
ごめんなさい、壊すつもりはないんだけど、歩くだけで潰れちゃうなんて。
私に無様に踏み潰されて、何の抵抗もできない。
誰も私を止める者はいない。
そう、今、私という世界最強の女神が降臨したの。
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