ずうぅぅんん!!
車の前に大きな何かが下ろされた。

それは信じられないことに女性の足だった。 俺は驚いた。
これが本当に人間の足なら、その持ち主は、身長十数mもあるだろう。

運転手の多田山は悲鳴を上げ、後部座席にいる俺を置いたまま、車から飛び出した。

「あ、ちょ、ちょ、ちょっと待て!」 俺は喚いた。
しかし、もちろん多田山は、そのまま後も見ないで走り去る。

俺は焦った。 腰が抜けて動けない。
その時、俺の車がぐらりと揺れた。 どうやら巨大な女性が車を持ち上げたようだ。

「わわわわわーーー!!」 俺は恐怖の悲鳴を上げる。
車の窓越しに、巨大な胸のふくらみが見える。
どうやら、彼女は若い女性のようだ。


「父さん。」 梨実子の声がした。

「り、り、・・・、梨実子なのか?」 
それは間違いなく、俺の娘の梨実子の声だった。

「そうよ、父さん。」 梨実子は嬉しそうに俺に話しかける。

梨実子は確か友達と沖縄旅行に行っていた筈だ。
いったい、梨実子に何があったのか??

「どうしたんだ、お前、なんで・・・、そんなに大きいんだ?」
俺は驚きながらも、ほっとする。 梨実子なら俺を傷つけたりしないだろう。

巨大な梨実子は、俺の乗った車を軽々と持ち上げたままで言う。

「それがさー、よく分かんないの、 沖縄でUFOを見たら、急に魔法が使えるようになったの。
だから、父さんに見せてあげようと思って、すっとんで帰ってきたのよ。」


「なんなんだ!! それは!?」

我が娘ながら、理解できん。
しかし、確かに梨実子は、沖縄でバカンスを楽しむために準備していた服を着ていた。

それにしても・・・、梨実子の胸はものすごく大きかった。
俺は、あまりの迫力に生唾を飲み込む。

その時、俺は梨実子が、嬉しそうにくすくす笑っているのが聞こえた。
いやな予感がする。 そして、その予感はすぐに現実のモノとなった。

「ふふふ、ねー、私って、すっごく強くなったんだよ。
今から、父さんに私の力を見せてあげるね。」

そう言うと、梨実子は俺の乗った車をぶん回し始めた。

「うわぁ、何をする!」 俺は車の中で、どうしようもなく悲鳴を上げるしかなった。



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