《 胸の谷間に 》 (その2)

               CG画像 June Jukes

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 「あらあら、恭一様、どうなさったのです?」
 彼を摘みあげている方の女性が言う。

 巨大な彼女は指をとめ、彼をじっと見つめる。 吸い込まれそうな青い瞳、鮮やかなライトブルーの髪は印象的で一目見たら忘れられない。 それにしてもとんでもない大きさだ。彼女の顔だけで、彼の視界はいっぱいになる。

 「私達が怖いのですか」
 恐ろしい! それしか言いようがない。 恭一は彼女の小指のサイズもないのだ。 力の波動を感じる、彼女がその気になれば恭一をぶどうの実のように捻り潰せる。

 だが言葉が通じるようだ。 「恭一様」と丁寧な言葉使い。 彼女は彼の名前を知っていた。

 しかし、
巨大な彼女の行動はその優しい言い方とは正反対に、小さな恭一を指で摘んで宙吊りにするという、彼への尊敬のかけらもない扱いで、その目は明らかに虫けらを見る冷たい視線だった。

 「ふふ、女の子みたいな声あげちゃって、情けないわね〜」

 もう一人の
黒い髪の巨人が言う。 彼女の方も最初から、恭一を完全に玩具扱いしているのが見てとれた。


 何が起こっているのか理解できない、恭一は完全にパニック状態だった。

 しかし、宙吊りとはいえ、とにかく恭一は自分の置かれている状況を把握しなければならなかった。 周囲を見回す。 バラの花のような、女の子の甘い香りが周囲に充満していた。

 彼は間違いなく、巨人に囚われていた。
 それも、身長50mもありそうな
巨大な女の子だ! 彼女達の前には10階建てのビルでさえ小さく見える。

 その日、通学途中だった彼は、街で突然の地震のため地面に叩きつけられた。 いや、地震ではなかった。 突如現れた二人の女巨人が彼の前に足を降ろしたのだ。 その衝撃で恭一は地面に打ち倒された。

 すぐに一人の巨人が彼を指で摘みあげた。 簡単な事だった、小さな恭一は逃げる機会も与えられなかった。

 二人は笑いながら、そこに膝をついた。 アスファルトのめり込む音がする。 地面がどうなっているか、恭一の位置からは彼女達の大きな胸で見えないが、道路はずたずたになっているだろう。

 彼は焦る。 この扱いから二人の巨人が恭一に優しくしてくれるつもりはないと、はっきりと分かる。

 こんな巨人がいる筈はない・・・彼女達は宇宙から来たのか? 

 ライトブルーの髪の女の子が言う。
「自己紹介をしなくてはいけませんわ、私はバエル、そしてこちらは夕子さん、よろしくお願いしますわ、恭一様」

 恭一はようやく落ち着いてバエルを見る。 彼女は明るいピンクのビキニを着ている。輝いて見える。その目は冷ややかに彼を見つめていた。 彼女はまだ彼のことを恭一様と丁寧に呼んでいる。

 夕子と呼ばれた黒い髪の女の子は、黒い縁取りのレースの下着を身に着けている。 こんな姿をするからには、よほど自分の体に自信があるのだろう。 誇らしい笑顔だった。

 そして、何よりも
凄まじいその胸!!

 視線を下に向けると、彼女達の胸が真下にあった。 ブラからこぼれんばかりのパワー、二人の乳房は、猛烈に盛り上がり、一戸建ての家より遥かに大きく見える。

 これほど巨大なのに、二人の胸は重力に引かれることもない、誇らしく彼女達の胸の上でその存在を強調している。 若さゆえに、肌の下で健康的な筋肉が発達しているのだろう。

 圧倒的なのは胸だけではない。 彼の位置からは少し把握しにくかったが、まだ少し幼さの残る顔とは裏腹に、彼女達の身体は完全に大人だった。

 健康的に輝く肌、キュキュッとくびれたウエスト、適度に大きいヒップ。脚もすらり長い。全身が引き締まっていて、身体にたるみもない。二人ともスタイル抜群の、モデルにでもなれそうな美人だった。

 恭一の足下では彼女達二人の巨大な胸が、ずりゅ、ずりゅ、と脈動している。 片方の乳房だけでも直径は8m以上あるのだろうか? その重さは彼の何百倍あるのか想像もできない。

 恭一は、そのあまりの凄まじい光景に、目をそらす事ができなくなってしまう。


 いやな予感がする、彼女達巨人の胸の
谷間に飲みこまれたら、恭一の命がないのは間違いなかった。

 そして恭一の予感はすぐに現実のものとなろうとしていた。 バエルの声が響く。

「一応、何が起こっているのか説明してあげますわ、恭一様。 何も知らずに私たちの胸に磨り潰されて死ぬのでは、恭一様があまりに可哀想ですから」

 な、な、な、今、何を言った?? 「磨り潰されて死ぬ」って、恭一の頭をバットでどつかれたような衝撃をうける。 彼は恐怖のあまり声を出すことさえできなかった。


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