《 巨大婦警エル 》 4

               CG画像 June Jukes
               文 みどうれい

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(前回までのあらすじ ・ 帝愛署の生ける災厄、巨大婦警エル!彼女は強盗達が籠城していた銀行内で巨大化!ビルを破壊したものの、人質の救出に成功する。 エルは、逃げる3人の強盗達を追いかける。楽しい狩りの時間であった)

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「強盗さんは、何処かしら?」

 5階建ての銀行ビルを内部から破壊したエルは、身長70mである彼女本来の姿に戻っていた。

 エルの美しい脚を囲むように、かろうじて残っていた建物の外壁を無造作に蹴り崩し、彼女は足を踏み出す。

 その時、何かがエルの足下でプチッと潰れる。


「あら、何か踏んじゃったわね・・・」


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 強盗の一人、
ゴウジは彼女を見上げていた。体が痺れて動けない。目の前にそびえ立つ巨大な婦警に見惚れていた。

 
信じられない程、大きく・・・そして美しい。 


 ゴウジはメンバーの中でも一番の武闘派だった。いくつものギャング組織の抗争に参加していた。今回の強盗計画にも、金が目的というより闘いとスリルを求めて参加していた。誰かと闘っている瞬間、彼はエクスタシーを感じていた。

 今回、さしたる抵抗もなく銀行を占拠し金を手に入れた時に、ゴウジは自分が暴れる機会がなかったので、がっかりしたくらいだった。それが銀行にエルという婦人警官が現れた時、凄まじい恐怖を感じた。

 異次元の存在だった。身長170センチの婦警の姿をしているがバケモノだ。仲間達4人で抵抗しても絶対に勝てない。そう直感していた。しかし、彼女はあまりに美しく、銃を撃てなかった。

 そして婦警は巨大化した。この展開は予想もしなかった。柱が崩され中の鉄筋がねじ曲げられ、壁がぶち破られ、天井にヒビが入る。仲間がやけくそで銃を乱射したが、女の巨体はビクともしない。すぐにコンクリートの天井が割れ落ちてくる。瓦礫に押し潰される寸前に、リーダー達と共に外へ脱出した。 もう一人の仲間であるギンは金を運ぼうとして、そこに残った。崩れゆく建物の中でギンの悲鳴が聞こえた。


 外に出たゴウジは、もう逃げられないと悟っていた。とんでもないモンスターに出会ってしまった。だがこれは彼が求めていたものなのかもしれない。何故、今まで闘いをしていたのか?自分が求めていた力ある存在。ついにゴウジはめぐり会ったのだ。

 轟音と共に銀行が崩れ去り、
巨大な婦警が立ち上がる。
ゴウジは手に持った散弾銃を撃つ。しかし、巨人の女はそれに気が付きさえしなかった。女は無造作に一歩を踏み出す。

 すぐに女の巨足が下りてきた。ゴウジの目の前が暗くなる。 彼女の凄まじい体重の下で、彼の肉体は瞬時に弾け散った。

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「やばいなー、踏んじゃったよ〜、警部が怒るだろうな〜」
 足を上げてみるまでもない。踏んだ時の感触で理解できた。エルは強盗の一人を虫のように踏み潰したらしい。

 ゴウジは強盗犯の中では一番逞しい体であったが、巨大婦警の想像を絶する体重に、まったく抵抗することもできず潰されていた。

「ゴメンなさいね〜、でも・・・わざとじゃないの、許してね」

 エルは笑う。 そう、これは事故なのだ、不運な事故。エルのような巨大な婦警がいたら、犯人はすぐ逃げないといけない、こんな所でうろうろしている男が悪いのだ。

 さすがに普段のエルは、ここまで無造作に足を踏み出すことはない。ただ今回、巨大化してビルを破壊した爽快感が彼女を酔わせていた。そう、巨人になる時は、ものっそい気持ちイイのだ。だから足元の虫けらを見ていなかったとしても・・・まぁ、それは仕方がないことだ。

 (きっと、この男は私の美しい姿に見惚れて逃げるのを忘れたのね、ふふ、照れ屋サンね。私って罪な女なのかな〜)

 勝手なコトを考えながらエルは地面を見渡す。まだ強盗が2人残っている筈だ。



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