《 巨大婦警エル 》 3

               CG画像 June Jukes
               文 みどうれい

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「へっ、へっ、へっ、いいカラダしてるじゃねーか、婦警さん」。

 ヤスと言う名の強盗が、エルのカラダに手を伸ばす。ボディチェックをするつもりらしい。

「へっ、へっ、へっ、なんだい、婦警さんよ、胸がでかスギだろ、ブラの中に武器でも隠しているんじゃないか? 調べさせてもらうぜ」

 ヤスは女の巨乳が大好きだった。特に今回は国家権力の象徴である婦警をいたぶるというシチュエーションに心が高ぶっていた。エルの魔性の瞳は男の理性を失わせていた。自分が銀行にいると忘れている。生意気な婦警を思いっきり辱めてやりたかった。

「チャンスね」 エルはつぶやく。人質を見張っていたヤスがエルに注意を向けている、今が絶好の機会だ。

 ヤスは言う。「あんたみたいな美人に警察の仕事がまともにできるとは思えねーな。どうせ、上司に自分のカラダで媚を売って点数を稼いでいるんだろ、署で警部さんと寝てるのかい、どうなんだい、警部さんのあそこは」

 男の言葉にエルはずっこける。自分があの劉国寺警部に抱かれている姿を想像する。そのあまりの脱力感に、一瞬ではあるが動けなくなる。

(アンタ・・・死刑決定ね) エルが呟く。
 それにしても私の相手が劉国寺警部とはヒドイ。できれば、もうちょっとイケメンにして・・・。

 自分の死刑執行命令に自分でサインしたとも知らず、男は続ける。
「今日、ここに来たのは、アンタの美貌で俺達をたらしこんで来いと命令されたからかい? ああん、残念だが俺にそんな手は通用しないぜ、『女と人生に希望を持つな』っていう外国の諺がある。必ず裏切られるからな、だから俺様は女なんか信じない・・・」

 何を言っているのか分からない。エルはアホらしくなってきた。 こんな男に自首を勧めた自分が愚かだった。 やはり悪人は罰せられるだけの存在なのだ。男の手がエルの巨乳を揉みしだく。

「いい加減にしなさい!このボケ」
 エルは男の手を振りほどく。ヤスは悲鳴を上げる。体が宙に浮いていた。エルの手に首を掴まれ息ができない。

 強盗の一人が散弾銃をかまえる。だが仲間がエルに捕まっているせいか、撃つのを一瞬ためらう。エルはその男にヤスを投げつける。身長170センチでも彼女は凄まじい力を持っている。エルにとって男はテディベアの人形くらいの重さも感じない。男の抵抗を無視できた。

 そのまま二人の強盗は吹っ飛び壁に叩きつけられる。これで強盗団からエルが人質を守れる位置関係になった。エルは婦人警官としての使命を果たさなければならない。

「うわっ、なんだ!!」 強盗達が驚愕する。

 
エルの体がもりもりと大きくなっていく。

 銀行の1階大フロアの天井は高く作られている場合が多い。優雅な造りは顧客に安心感を与え、銀行預金を多くしてもらえるからだろう。
 エルが巨大化を始めたこの銀行の1階フロアも、2階部分までが吹き抜けになっており、天井はかなり高い。 6m以上の高さがある。 それでエルが大きくなっても、しばらくは彼女も動く余裕があった。

 すぐにエルは身長5mくらいに巨大化する。身長170センチの時と比べて、3倍の大きさだ。単純に計算しても力は27倍。もう強盗など問題にならない。
エルは強盗達に背を向ける姿勢でその場に寝転び、そのまま爆発的に大きくなる。

 強盗達はエルに銃を乱射する。目の前の出来事が信じられなかった。しかしエルの背中は弾丸をことごとく弾いてしまう。砂粒を投げつけられているくらいにも感じない。無力な銃弾はブルーの警官服を破ることさえできない。

 強盗の位置からは、巨大化したエルの背中が壁となって、そそり立ち銀行員達が見えなくなった。強盗団は人質という切り札を失った。

 銀行受付の机や椅子がエルの体にあたり、押されていく。押し出されていく備品はやがて、巨大化するエルの体に潰される。

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 一方、両手を縛られて床に座らされていた銀行員達は、目の前で巨大化していく婦人警官に恐怖していた。悲鳴を上げている者もいる。

「もう安心よ」 エルの言葉はさらに彼らを怯えさせる。パニックを起こしていた。足は縛られていなかった。立ち上がり右往左往する。

「あん、失礼しちゃうな、私は怪獣じゃないのよ」
 彼女の体は銀行1階フロアの半分にまで広がっている。頭と足が銀行の壁に当たっている。足を折り曲げる。力が漲っている、人質を外に逃がす必要がある。巨大な手を伸ばす。拳骨の一撃で壁に穴が開く。

「行きなさい!」 エルは銀行員達に命令する。 ようやく彼らもこの巨大な婦警が自分達を助けようとしていると理解し、怯えながらも、エルに礼を言いながら、彼女の手がぶち抜いた壁の大穴から外に走る。

 外に逃げ出す男達の中に支店長がいた。その動きが戸惑っているようにも思える。「アンタはダメよ!」 エルは片手で支店長を捕らえる。 彼女の体はもう人間の男くらい、簡単に掴める程大きくなっていた。

 支店長は悲鳴を上げている。 先ほどの観察で、エルはこの男こそ、今回の強盗事件の黒幕だと直感していた。 証拠はないが、エルは気にしていない。拷問にかけて口をわらせるつもりだった。

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 一方、こちらは劉国寺警部。 銀行内部で人々の悲鳴が聞こる。エルが巨大化したのだ。すぐに巨大な白い手が銀行の壁を突き破る。

 いつ見ても、凄まじい力だ。巨大な婦警は人間の想像を超えていた。 銀行の頑丈な外壁は、まるでビスケットでできているかのように砕かれる。そこから銀行員達が飛び出してくる。

「警部さん、頼んだわよー!」 銀行内部からエルの声が響く。

 警部は用意していた車に彼らを乗せ、このビルから遠ざかるように部下全員に命令する。 あのエルが巨大化を始めたのだ、もう時間がない、今すぐ逃げなければならない・・・。

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 巨大化するエルの体は丸くなっている状態で、すでに銀行のフロアの三分の二を占領し、箱の中に閉じ込められた状態になった。
「あ、あん、まるで不思議の国のアリスね」エルは冗談を言う。

 確かにその姿は、さながら魔法の菓子を食べ、部屋で巨大化して動けなくなった「不思議の国のアリス」のように見える。しかし、エルとアリスが決定的に違うことがあった。 エルは自由に巨大化できて、そして彼女がそれを望んでいた事だ。

 エルは超聴力を使う。銀行内部に強盗ども以外の心臓音は聞こえない、もう人質はいない、これで安心して巨大化できる。

 お尻で銀行の壁を破壊、両肘で床を破壊。天井もベキベキという音をたてながらエルの体に押し上げられた。

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 強盗団のリーダーは呆然としていた。婦人警官の女体がもりもりと大きくなっていた。いったい何が起こっているのか理解できない。だが、何故かその凄まじい女巨体は魅力的だった。

 リーダーは周囲を見回す。1Fフロアは完全な密室だ。銀行に籠城した時、内部から完全に鍵をかけていた。正面入り口もシャッターを下ろしている。警官隊の突入を阻止するためだ。ボスである支店長から銀行図面をもらっていた。

 完璧な籠城計画があだとなる。何処にも逃げられない。婦人警官の巨体はますます大きくなる。天井のコンクリートが砕け、落ちてくる。このままでは瓦礫の下敷きになるか、巨大婦警の女体に押し潰される。

 だがリーダーはある事を思い出す。あの婦警は非常口から入ってきた。扉の前に走る。 よく見ると鍵が引きちぎってある。あの女がやったのだ。なんという怪力なのか! ここが唯一の逃げ道だ。銀行の外に飛び出す。

 エルに投げ飛ばされていた2人の強盗も起き上がっていた。彼らも非常口から外に逃げ出す。 同時に天井の半分が崩れ落ちる。


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 さらに大きくなるエルの手には、支店長が人形のように握り締められている。どうする事もできない。巨大な婦警が自分の職場である銀行を破壊していくのを愕然と見ている。

 巨大化していく婦警は、ニタニタ笑いながら銀行フロアにある椅子や受付カウンターに指を押し当てて、一つ、また一つと捻り潰している。どうせ潰れるのだから、壊してもいいだろうという雰囲気か? 楽しんでいた。この女は破壊が大好きなのだ。しかし、不思議な事に、支店長はそれを見て胸が熱くなるものを憶えたのである。

「ふふ、支店長さん、ごめんなさいね、あなたの銀行、無くなってしまいそうよ、でも、犯人逮捕のためなんだから、許してね」
 エルは笑う。同時に床が抜ける、彼女の巨体は瓦礫と共に地下1階、さらには地下2階へと落ちてしまう。

「うわー! うわー!死ぬううう!!」
 エルの手の支店長が、落下の恐怖に悲鳴を上げる。

「アンタ、うるさいわね、しばらくここに入ってなさい」
 支店長が黒幕だと知っていた。許してやるつもりはない。

 エルの婦人警官服にはいくつかのポケットが付いている。彼女は支店長を左胸のポケットに入れる。 猛烈に盛り上がったエルの巨乳に押され、支店長は全く動けなくなる。

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 強盗団の一人、ギンはまだ銀行内にいた。 金を持ち出そうとしていた。巨大化する女警官は恐ろしかったが、わざと見ないようにした。十億円の魅力から逃れられない。金だけが生きがいだった。

 これから遊んで暮らせるのだ。この札束を置いていくことなどできない。 巨人の女を無視していた。金をカバンに詰め込む。
非常口の外から、強盗団のリーダーが「逃げろ!」と叫んでいる。

 ずううん!!

 凄まじい衝撃音と共に、ギンは崩れた床と共に落下する。金と共に地下2階に落ちていた。彼が愛する一万円札が宙に舞っている。全身打撲したギンは顔を上げる。驚愕していた。目の前に巨大なブルーの半球体が二つあった。さらに巨大化する!

 逃げようとするが、落ちてきた瓦礫が邪魔で動けない。すぐにギンの体は、その巨大な半球体と壁の間に挟まれる。

 目の前には瓦礫と札束の山がある。男は「死ぬときは、札束に埋もれて死にたい」 と考えたことがあった。 今、彼の願いが、かないつつあった。 巨大な婦人警官の笑い声が響く。

「た、助けて、たしゅげて!くれーーー!!!」 最後の悲鳴。

 ギンが潰される前に、その巨大な半球体がミニスカートに包まれた
婦人警官の美尻だと、彼は気がついたのであろうか?

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「あら〜、お尻で強盗さんを潰しちゃったわ、ゴメンナサイね」
 エルは笑う。自分のお尻でペチャっと潰れた事を感じていた。しかし、これは事故である。強盗団の銃から人質を守るには巨大化するしかなかったのだ。 そして彼女が巨大化したら、そこらへんの物が押し潰されるのは当然だ。 この状況で逃げない方が悪い。

 エルの巨大化はまだ終わってはいなかった。彼女には5階建てのビルを壊す事など軽い運動程度の事だった。

 床を地下2階までぶち抜いたエルは体を起こす。彼女の頭はまだ1階フロアの天井の下に閉じ込められていたが、すぐにその天井も彼女の巨大なボディに突き崩される。頑丈な銀行ビルは基本構造から揺らいでいた。

 巨大化は止まらず、エルの目線がさらに上昇する。2階、3階、4階の天井をエルの巨体が突き崩す。やがて銀行の外壁が限界を越えたらしく、次々と破壊されていく。

 
すっごい快感!

 エルは自分が巨大化する瞬間が好きだった。誰も抵抗できない高みに到達する、全ての男達を見下ろす自分が好きだった。

 ベキベキベキ!

 銀行が爆発する。

 エルの巨体は外に飛び出す。5階建てのビルは土煙と共に崩れ去った。彼女にとって、ビルはビスケットで作られた玩具だった。

 銀行の壁の残骸を体から払い落としたエルは、周囲を見回す。

 青空に彼女の巨体は、そびえ立っている。

 
彼女は身長70mの巨人だった。


「強盗さん達、何処にいったのかしら?」

 まだ3人の強盗がいる筈だ。

 楽しいお仕置きの時間だった。



(次回、エルに襲われる強盗達の運命は・・・続く)


 
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