巨大美少女ミカ (4)

           (不運な泥棒 改題)

                           NEW2さん みどうれい作

第一部 不運な泥棒(その4)

----------------------------------

 調子に乗ったミカは、久太郎の全身を、両手ですっぽりと包み込んだ。

 小さな彼の体は、完全に、外から見えなくなった。
そして、彼の小さな悲鳴を無視して、ミカはしばらくそのままにしておいた。

 暗闇に覆われた久太郎は、彼女の暖かく強靭な肌を全身に感じながら、
いつ自分の体が絞り上げられるのかと想像し、彼女の手の中で、震えていた。
 
 小さな彼と遊ぶのは、とても楽しかった。

 自分の手の中で、可愛いこびとさんが、ぷるぷる震えているのが感じられる。
彼が怯えるのも当然だった。 彼女は、彼にどんな事でもできるのだ。
ミカは、自分の圧倒的なまでの力が、嬉しかった。

 それから彼女は、手の中のこびとに声をかけた。

「こびとさん。今から、私は両手であなたの体を絞り上げてあげるわ。
ぎゅうと・・・力を込めてね。 ふふっ・・・。
あなたの小さな体で・・・、それを止められるかしら?」


 手の中の小人が、狂ったように暴れだすのを感じて、ミカはくすくす笑った。

 パニックを起こした彼は、全身の力を振り絞って、彼女の手を押し返そうとしていた。
だが、彼の抵抗とあがきは、彼女にとってくすぐったい程度のものだった。

 彼を苦しめるつもりなどなかったが、ミカは少しだけ手に力を込めてみた。
彼女の両手のひらの肌に、くぐもったようなの悲鳴が、感じられた。


 「それにしても、ちょっと大袈裟じゃない。・・・。」
彼女の手の中で、悲鳴を上げまくる久太郎に、ミカは少し呆れた。

 そんなに痛いのだろうか・・・?
ちょっと絞り上げただけなので 彼女には、彼を痛めつけているという実感がなかった。

 気になった彼女は、目を閉じて、もう一度、久太郎の体を探査してみた。
そして、彼の身に、奇妙なことが起こっているのに気がついた。


 久太郎の身に、今、起こっている現象を言葉で説明するのは難しい。

 さっき彼女は、彼女の超感覚で、彼の『痛みを防ぐ結界』を突き破ってしまった。
そしてその時、彼女は、超感覚をそこに置いたままにしていた。

 普段あまり意識していなかったが、彼女たち巨人の感覚は極めて敏感だ。

 そして、彼女が、そうしたいと考えた訳ではなかったのだが、
結界で覆われた彼の体に、彼女の超感覚が同調し、彼も極めて敏感になっていた。
 
 敏感と言っても、耳がよく聞こえるようになったとかなら、良かったのだが、
『痛みの結界』を突き破った副作用からか、彼の痛覚を感じる神経部分のみ、
とても、敏感になっていた。

 彼女が、久太郎の体を、ちょっと絞っただけで、彼が泣き喚いたのも無理はない。
一時的とはいえ『超敏感人間』になった彼は、普通の何倍もの痛さを感じていた。

 しかも、肉体部分は、いまだに結界で保護されているので、彼女の力の前に、
久太郎は潰されることもなく、気絶することも、気が狂うこともできずに、
『純粋なる痛み』だけを感じて、ただ、悲鳴を上げるしかなかったのだ。

 このような不思議な現象が起こるとは、実に彼は、運が悪いとしか言いようがない。

 ミカは、ようやく『彼がものすごく痛かった』のだと気がついて、
慌てて彼を絞り上げるのを止めて、手を開いた。


 彼は、彼女の手のひらの上で、すでに悶絶していた。

「あの・・・、御免なさい。 痛かった?」
 心配そうにミカは、尋ねた。

 いつもの彼なら「痛いに決まってるだろ、バカヤロー!」とか叫んだだろうが、
もちろん、『圧倒的な彼女の力』を知った今の彼は、そんな無謀なことはしなかった。


 手のひらの上のこびとが、ピクリとも動かなくなったのを見て、
さすがのミカも、久太郎に悪いことをしたと考えた。

「ちょっと・・・、やりすぎちゃったかしら。」
 いたずら好きではあるが、彼女は、人が苦しむことなど望んではいない。
考えてみたら、いくら興奮していたとはいえ、彼に、ずい分酷い事をしてしまった。

 そう言えば、お母様は、小さなお父様を無理やり誘拐したとはいえ、
その後、手のひらの上に乗せて、結婚を申し込んで、ちゃんと承諾してもらったらしい。
(もちろんお父様なる人物に選択の余地など、無かっただろうが)


 それに対して、ミカは自分の欲望に狂って好きなように、こびとを使用した。
彼はこびととはいえ、同じ血を持つ大切な一族なのに・・・。

 本当は、ミカは、久太郎に自分の力を知って、愛してほしかったのだ。
彼に、本気で、憎まれるのはイヤだった。

 少し冷静になったのか、ミカは考えた。
そうだ、お母様とお父様はどうやったのかしら?

 彼女は、両親が互いに心から愛しあっていたと、思いたかった。
非力なお父様が嫌がっているのに、お母様は無理やりやってしまったとは考えたくもなかった。
(最も、こびとを玩ぶことを楽しんでいる今のミカがそう言うのも、説得力がないのだが)

 ミカはその時、奇妙なことを思いついた。

 そうだ、さっき、彼女の超感覚で彼の苦痛を、何倍にもできたのだから、
逆に、その力で、彼を何倍も気持ちよくしてあげることができるかもしれない。
そして、優しく愛してあげたら、きっとこのこびとさんも喜んでくれるだろう。
 
 そう考えたミカは、再び目を閉じ、彼女の超感覚を働かせた。

 ミカ自身、あまり自覚していなかったのだが、彼女の精神力はすごいパワーで、
小人の久太郎の力など、まるで問題にならなかった。

 彼女の目に見えない力は、すぐに、久太郎の感覚神経を乗っ取ってしまった。

 もちろん、彼女にとって、小人の感覚神経を支配するなど、初めての経験だ。
どの神経を刺激したら、気持ちよくなるかなど知る由も無い。

「えーと・・・、ここかな?」
 彼女は、彼の繊細な神経細胞の一つに、彼女の超感覚をシンクロ(同調)させた。

 彼女の予想では、これで彼は、とっても気持ちよくなる筈だ。

 彼女は、左手の上のこびとに、おそるおそる、右手の小指を伸ばした。
そして、もう彼を痛めつけたくなかったので、ゆっくりと彼に体に触った。


「うわはっ、うわはははははっ、わっはっはっはっはっはっ!」
 彼女の小指が、久太郎に触れた時、彼はいきなり笑い出した。

 ミカは、驚いて、指を引っ込めた。

「どぉわはっ、だぁはははははっ、ぐわらっはっはっはっはっはっ!」
 へたり込んでいた久太郎は、まだ豪快に笑っている。

 ミカは、何が起こったのか理解できずに、しばらく、ぽかんとしていた。

 彼女は、久太郎の『神経細胞』を刺激して、彼を喜ばせよう考えた。
ところが、何がどうなったのか、彼は今すごくくすぐったいらしい。

 原因は、全く不明だ。

 普通の人間なら、わき腹をくすぐられでもしない限り、それほど笑いはしないのだが、
今の彼の久太郎は、ミカの指に触られただけで、笑いまくっていた。

 それにしても相手がこびととはいえ、自分のパワーで、人の神経細胞を乗っ取って、
気持ちよくしてあげようと考えるとは、あまりにも、無茶な発想だ。

 こんな非常識なことを考えるとは、やはり巨人の考えることは、人と違うのかもしれない。

 ミカは、自分の失敗に、しばらく「あらららららら。」とか言っていたが、
そのうちに、彼が笑いまくるのを見て、面白くなってきた。

 持ち前のイタズラ心に火がついたのか、ミカは手のひらの上の小人を、くすぐり始めた。

「こちょ、こちょ。(^-^) 」
 彼女の小指の先が、彼をくすぐる。

「わはは、るひゃひゃぁ! な、何をするぅ、や、止めて、ど、どわははぁぁぁ!!」 
 普通なら、巨大な小指が触ったところで、あまり、くすぐったくはない。
しかし、今の彼は、触覚神経がむき出しになったように、笑いまくっていた。

「こちょ、こちょ、こちょ。(^-^) 」
 ミカは、くすくす笑いながら、彼をくすぐり続ける。
始末の悪いことに、ミカは、自分が悪いことをしているという自覚がないらしい。

「わは、だ、はっはっはぁぁ!! ちょ、ちょっと、や、止めて、ぐわはぁ、はあぁ。」
 久太郎は、彼をくすぐる彼女の小指を押し返そうとしたが、
無論、自分のウェストよりも太いミカの指に抵抗するなど、不可能だった。

「こちょ、こちょ、こちょ、こちょ。(^-^) 」

「うわははあぁ! だはっ、だ、だはははは!! や、や、やべて・・・」

「こちょ、こちょ、こちょ、こちょ、こちょ。(^-^) 」

「どはっ、どははっ、はっ! どわはは・・・、お、おべがい、お願いだから・・・。(T_T) 」

「こちょ、こちょ、こちょ、こちょ、こちょ、こちょ。(^-^) 」

「や、やべんかこのバカ娘ぇ、だっはっはっ、こ、こら、や、やめれ!
し、死ぬ、笑い死ぬ!!! い、いい加減にしやがれ、さもないと、
だははははは!! つーかああぁあ。わはっ、わははははは!!
ほ、本当に、怒るぞ、こら、うわぁはははっひゃひゃ。」

「こちょ、こちょ、こちょ、こちょ、こちょ、こちょ、こちょ。(^-^) 」


「わは、わはは、どわははは、こ、こ、これは、じ、地獄だ、わぁひゃひゃひゃ。

お、おねがい、わは、わはは、わははははははぁ! うわぁひゃひゃひゃ。

あぁ、しぶ、じぶぅう、笑いじん、笑い死んで、しまぅぅう! や、やべれぇえ・・・

お願い!! な、何でもするっ、わはっ、ちょっと、やべて! ぐすぐらないでぇ!!」


「こちょ、こちょ、こちょ、こちょ、こちょ、こちょ、こちょ、こちょ。(^-^) 」


「るっひゃっひゃっひゃっあ! やっ、やめてっ、

や、やべ、おねがい、どわは、ひっ! ひいっ!


わは、わははぁあぁ!  ぐるるっぱらぁ、うるぅひゃひゃ! ☆★☆★・・・。

だめ、だべぇ! どだべぇ!! だあっ、だったらあ! ずどどんどん!

あひゃぁぁっ、るどどど、 あひゃるひゃ! どばははっはっ。


お、おべがい・・・、お願いだから、わひゃぁ! くすぐらなびでぇ!! (>_<)」



「あはははははっ。(^-^)」
 笑いまくる彼の反応が面白かったので、またしても、ミカは大笑いをした。


@@@@@@@

「はぁ、はぁ、ぜい、ぜい。」
 いたずらするのに飽きたのかのか、ようやく、ミカがくすぐるのを止めたので、
久太郎は、そのまま彼女の手のひらの上に崩れ落ち、寝転がった。

「あはっ! 弱点、発見!! 小人さんはくすぐりに弱いのね。」
 巨人の声が響く。 彼女は、本当に楽しそうだった。
久太郎は、もうへろへろで、彼女に何か言う気力さえなかった。

 久太郎がどのようなヒドイ目にあったのかを、言葉で説明するのは難しい。
たとえて言うならば、男が木に縛り上げられて、5人くらいの手でこちょこちょされる、
その4〜5倍くらいくすぐったいとでも、表現すればいいのか?

 いかなる意思の強い男性でも、悶絶して降参するだろうという『くすぐったさ』だった。
 
 窒息死しないように、結界の力で、肺に空気は供給されてはいたが、
おかげで、彼は、ずっと笑いまくっていた。 

 痛くないのだから、前よりマシだと言えない事も無いが、
その分、巨人は面白いのか調子に乗って、いつまでもくすぐっていた。

 始末が悪いことに、彼女は、ペットとじゃれ合うような悪ふざけ程度のつもりらしい。
もし、彼がこの屋敷から逃げ出せないのなら、この巨大イタズラ娘は、
退屈だからという理由で、毎日これをするかもしれない。

 それにしても、久太郎の置かれている状況は、ますます悪化したと言うべきだろう。

 どうやら彼女は、何らかの方法で彼の肉体を傷つけずに、
彼の感覚神経を敏感にするという技が、使えるようだ。
(もっとも、偶然そうなっただけで、彼女にそんなつもりは無かったのだが。)

 つまり、彼女はその気になったら、彼にどんなに恐ろしい拷問をすることでも、
いつまでもくすぐり続けることも、好きなようにできるのだ。

 いまさらながら、久太郎は自分の置かれている絶望的な状況を、再認識して、
目の前が、真っ暗になるのを感じた。


 その時、寝転がっている彼の前に、また、彼女の小指がゆっくりと迫ってきた。
「わあぁぁぁぁぁぁ!!」
 指は、彼の少し上で静止したが、彼はさっきのことを思い出して悲鳴を上げた。

「ねぇ、もう一回、やってあげようか? 今度はもっといっぱい、くすぐるわよ。」

「わぁあ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってぇぇえ! 
な、な、な、何でもするぅう!! いえ、何でもさせていただきますぅうぅぅぅ。
だから、お願い、止めてぇ!! もうこれ以上くすぐらないで下さいぃい!! (;_;)」

 久太郎は、必死になって彼女に哀願した。

 もう一回、あれをやられたら・・・。 彼は、考えるのも恐ろしかった。

「さぁーて、どうしようかなぁ。」
 ミカはくすくす笑った。



(その5に続く)


小説置き場に行く 戻る めくる