巨大美少女ミカ (10)
(不運な泥棒 改題)
NEW2さん みどうれい作
第一部 不運な泥棒(その10)
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「今、逞夫の声が聞こえなかったか?」
波舞雄船長と、逞夫を探しに来た第二こびと丸の乗組員の一人が言った。
彼らは、巨大な化け物を見た辺りに来ていた。
「なんだ、あれは?」 船長は、少し離れたところにあるミカの巨大なテントを見つけた。
布みたいな素材で作られているようだったが、ビルの工事現場にしては形が変だった。
「危ない!! 船長。」
その時船長は、乗組員の一人、隙夫(すきお)に近くの岩陰にひっぱりこまれた。
海岸線は、砂浜がずっと続いていたが、たまに岩山の部分もあった。
「あそこは、タコの巣窟です。うかつに近寄ったら、喰われてしまいます。」
隙夫は、真剣な表情で、船長に言う。
「タコ・・・?」 なんで砂浜に蛸が巣を作るのだ。船長は呆れた。
後ろでは、もう一人が「いや、あれは間違いなく前世紀の恐竜だ。」と、
そしてもう一人は「俺はこの目で見た。裸の巨大な女の子だった。」とか言っていた。
彼らは、もう完全に逃げ腰だった。
「黙らんか、お前たち!!」 船長は、一括した。
三人とも巨大な影を見て、それが何か確認もせずに逃げて来たのは間違いなかった。
「特に、走(はしる)! お前は何を寝ぼけている。」
船長は乗組員の一人、走に怒鳴った。 彼は『巨大な女の子が出た』と言っていた。
この島は変だから、もしかしたら、大きめのタコか爬虫類がいるかもしれない。
しかし、巨大な女の子というのは、いくら何でも無茶苦茶だ。
船長は、ふと、身長190センチくらいの裸の女性を想像した。
「この島に、そんな娘がいるのなら、ぜひ会いたいものだな。」
疲れたから肩でも揉んでもらおうかな、とか言って船長は笑った。
「で、でも・・・。」
走は、自分でもどうかしていると思ったが、彼は間違いなく見たのだ。
巨大で、美しい・・・そして、すさまじい力を持つであろう女巨人の肉体を。
「いや・・・、あの、マジでヤバイ奴がいるんです。 本当に・・・。」
三人は、なおも船長を止めようとした。
「うるさい!! 俺は一人でも、逞夫を助けに行く。」
船長は、そのまま岩陰を出て、すたすたと歩きだした。
残された乗組員たちが叫ぶ。
「あぁ、お待ちください。 せんちょぉ〜。 (T_T)」
「ヤバイっすよ。 マジで。 (-_-;)」
「あの恐竜は、きっと肉食ですよー!! (+_+)」
彼らの声を無視して歩き出した船長は、ふと足元を見てギクッとした。
砂浜のあちこちが、何か大きなものでえぐられていた。
その奇妙な形から判断して、自然現象で、できるようなものではなかった。
「これは・・・、足跡・・・???」
その時、船長はとんでもない死地に自ら飛び込んでしまったことを直感した。
しかし、もはや逃げるわけにはいかなかった。
彼は、前方にそびえ立つ大きな布製の建物らしきものを、にらんだ。
その時周囲に、雷鳴のような音が響いた。
それは、女性の声のようにも聞こえた。
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ミカは、くすくす笑っていた。
可愛い玩具が、自分の指と必死になって闘っている。
引き締まった彼の体を、いじるのは面白かった。
ミカの巨大ではあるが繊細な指先は、こびとの肉体の躍動を感じていた。
(こびとにしては)逞しい彼の肉体・・・。分厚い胸、太い腕、引き締まった太ももと腹部、
彼女は指先で、その筋肉の動きの全てを、感じることができた。
それは、彼女に新鮮な喜びを与えてくれていた。
「ふふふ、ほんとに、逞しいカラダをしているわね。 こびとさん。
あなたはこの腕で、あなたは同じサイズの女の子を楽しませたのかしら?
でも・・・、私みたいな大きな女の子を喜ばせるには、ちょっと力不足のようね。」
そう言うとミカは、小さな逞夫の体を指先で軽く弾いた。
彼の体は、ひとたまりもなく転がった。
弾き飛ばされた彼の体が落ちないように、彼を左手で握り締めたミカは、
もう一人のこびとが、彼女の胸の谷間から、這い出そうとしているのに気がついた。
彼女の肉球の重みに耐えかねたのか、久太郎は、そこから逃れようとしていた。
「あらあら、私は、あなたにそこで待っていなさい って言った筈よ。」
ミカは右手の指一本で彼を押さえつけ、再び彼女の谷間の奥深くに彼を挿入した。
ミカの大きな乳房の谷間に埋もれて、久太郎の小さな体は、完全に見えなくなった。
「ふふふふ、私の言うことを聞けないなんて。 悪いこびとさんね。
悪いこびとさんは、こうしてあげるわ。」
ミカは右手を彼女の胸に当て、ぐっと力を入れた。久太郎の悲鳴が彼女の胸に響く。
「あぁん。」 ミカは喜びの悲鳴を上げた。
テレパシーで、同族の彼とリンクすることができたせいだろうか?
久太郎の恐怖の感情が、ダイレクトに、ミカの体に流れ込んできた。
それは、彼女にすばらしい快感を与えてくれた。
彼女の胸の谷間で、非力な彼は、プルプルと震えている。
ミカは、彼を、どうすることだってできるのだから。
彼女の力なら、彼に対して生殺与奪の権の全てを、自由に行使することができた。
「ふふふふ、楽しいわね。こびとさん。」
彼女は、そう言うと、逞夫を囚らえた左手を握り締めたり、
久太郎を挟んだ胸をギュッと寄せたりして、彼らの抵抗と悲鳴を楽しんだ。
「あらあら、どうしたの、弱すぎるわよ。こびとさん。
あなたたち男性は、二人で力を合わせても、私に抵抗できないの?」
ミカはくすくす笑った。
それから、ミカは彼女の巨体を使って、二人を何度も絞り上げた。
彼らの悲鳴の二重奏(デユエット)は、彼女を楽しませた。
「あ、いい・・・、いいわぁ。」
二人のこびとを自由に玩ぶのは、すごい快感だった。ミカの頭の中は、真っ白になった。
しかし、こびとを玩ぶ快感に溺れながらも、ミカの心の中で、誰かがささやいていた。
「もっと、大勢のこびとさんが欲しい。」と・・・。
その時、彼女の全身から、オーラのようなエネルギーが、ほとばしった。
波舞雄船長は、前方にそびえ立つ大きな布製の建物をにらんでいた。
突然、轟音とともに、その布らしきものが弾け飛び、そこに巨大な何かが立ち上がった。
「な、な、なんだ!?」 彼は叫んだ。
さっき夜の闇の中で「ミカの足指だけ」を見た乗組員の一人に、
自分が『タコ呼ばわり』されていることを、ミカが知っていた訳ではないのだろうが、
彼女は、彼女の力を使って、あたり一面を明るくした。
さっきまで、テントの中を照らしていた「丸い光の塊」のようなものが宙に浮いていた。
そのため今回はミカの巨体が、船長たちにも、はっきりと見えた。
乗組員の見た化け物の正体は、おそろしい大きさの『女巨人』だった。
さらさらヘアー、ややあどけなさの残る美しい顔、山のように盛り上った乳房、
くびれたウェスト、可愛いおへそ、大理石の柱のようにそびえ立つ二本の白い脚、
まさに、彼女は、神話の世界の巨大な女神の肉体を持っていた。
そして、その肉体の全ては、あまりにも巨大だった。
「う、美しい・・・。」 波舞雄船長は、おもわず息を呑んだ。
だがその時、女巨人のそびえ立つ脚が持ち上がり、こちらに大きく踏み出した。
彼女の脚一本が起こした地響きに、地面に転がされた船長は、ようやく状況を理解した。
乗組員たちが、化け物の正体を正確に説明できなかったのも仕方がない。
さっき闇夜の中で、彼らは、巨大な彼女の気配を感じただけで、逃げ出したのだ。
あまりにオソロしくて、皆、相手が何か確認する気も起こらなかったのだろう。
これは、人間のレベルで抵抗できる相手ではない。 船長は確信した。
地面に転がった彼は、後ろにいる筈の乗組員たちの方を見た。
羽屋久 走(はやく はしる)、宗賀 隙夫(むねが すきお)、強井 剛(つよい ごう)
第二こびと丸の若い三人の乗組員たちは、とっくに、そこにいなかった。
船長が顔を上げると、はるか彼方に、走っていく彼らの後姿が見えた。
「き、貴様ら、船長を置いて逃げるのかぁああ、 許さん、許さんぞぉおお。
い、いかん、マジでヤバイ、歩けん・・・。 こ、腰が抜けた。」
波舞雄船長は、なんとか起き上がろうと、体に力を入れた。
だがその時、船長のすぐ横に、轟音とともに巨大な柱のようなものが下ろされた。
それは、巨人の足だった。
「あらあら、何をしているの? こびとさん。」
天空に、巨人の声が響いた。
「ひぇええええ・・・。」
恐怖に顔を上げる気力もない船長は、情けない声を出した。
しかし、彼は、まだ、第二こびと丸船長としての責任まで忘れてはいなかった。
波舞雄船長は、副長の二毛山とつないだままにしていた携帯電話を取り出し、叫んだ。
「逃げぇえええええろぉおおおおお!!!!
二毛山(にげやま)!! 今すぐ、にぃいげぇえろぉ、ハヤクゥ、う、う、逃げろー!」
そして・・・、後で必ず、助けに帰ってきてくれ。
船長は、祈るような表情で、つぶやいた。
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この時、第二こびと丸は、座礁しないように珊瑚礁がある砂浜は避け、
海底の深い岩場の海岸に、停泊していた。
ミカのいる場所からかなり離れていたので、そこからは彼女の巨体は見えなかった。
副長の二毛山 仁夏郎(にげやま にげろう)は、船の上で考え込んでいた。
訳の分からないことだらけだった。
第二こびと丸は「若い乗組員のパワーに期待する」という船長の方針のため、
乗船しているのは、船員としての経験が無い若者ばかりだ。
正直な話、事故が起こった時のことを考えれば、少々心配だ。
もちろん波舞雄船長も、そんなことは承知している。
彼は、その経験不足を、借金をして購入した機械の力で補おうとしていた。
船には衛星を利用して船の位置を特定し、母港にも連絡ができるという
「最新のシステム」が設置してあった。
これが稼動している限り、第二こびと丸が遭難することなどあり得ない筈だった。
嵐にあった時、二毛山はそれを使おうとしたが、何故かシステムが稼動しない。
機械が故障したと言うより、空に衛星が無くなってしまったという感じなのだ。
変だと思っているうちに、雲が切れ夜空を見たら、見たこともない星座ばかりだ。
こんなアホな話がある筈は無かった。
あまりに非常識なので、誰も言わなかったが、別の惑星に来たとしか思えなかった。
しかし不思議なことに、船内のテレビのスイッチを入れたら、ちゃんと見れた。
驚いたことに、外国のテレビ番組まできれいに映っていた。
もっと不可解なのは、逞夫の捜索に向かった船長と、携帯で連絡ができることだ。
基地局から遥かに離れている絶海の孤島で、何故圏外になることなく携帯が使えるのか。
そして、念のため携帯で母港に連絡したが、島の外とは繋がらなかった。
普通では説明がつかない現象だった。
この時、二毛山は奇妙な仮説を思いついていた。
この島に住人がいて、自分達の娯楽のために、テレビを見れるようにしている。
もちろん、この島で携帯電話も使えるようにしている。
だが、侵入者がいた場合は、彼らが外部と連絡できないようにしているのではないか?
しかし誰が何のために、そんな大掛かりで、手間のかかることをしているのか?
と言うより・・・そんなことが、人間にできるとは思えなかった。
何かイヤな予感がする。 はやくこの島から脱出した方がいい。
二毛山は、そう直感していた。
しかし、船長が「仲間を見捨てない」と言っている以上、それに逆らう訳にはいかない。
とにかく、今は、船長達の帰りを待つしかなかった。
二毛山は、船長と繋ぎっぱなしにしている携帯電話に、聞き耳をたてた。
どうやら彼らは、目的地の砂浜に着いたらしい。
その時突然、携帯から大きな声が響いた。 二毛山は飛び上がった。
たいへんだ! どうやら、怪物は本当にいたらしい。
二毛山は携帯に叫んだ。 「船長、どうしました?」
『逃げろ、早く船を出せ!』
「何があったんです!? 船長ーーっ!!」
二毛山の返事が帰ってくる事は無く、代わりに遠くで悲鳴のようなものが聞こえた。
それは船長のものとも、行方不明になった逞夫のものとも聞こえた。
「二毛山さん、何かあったんですか?」
持手居 孝治(もってい こうじ)校庭 修司(こうていしゅうじ)今郁 譲治(いまいく じょうじ)
船に残っていた3人の乗組員が駆け寄ってきた。
「この島に居ると危険だ。 今から船を出す。何か船長たちにあったらしい。」
「そんな! 船長たちを置いて行けません。」 孝治が叫んだ。
だが二毛山は、もうすでに決断していた。
「いや、出す。 お前たちまで助からないぞ。」
「し、しかし、母港の方角は分からないんでしょう?」 譲治が言う。
「お、おい、あれを見ろ!」 修司が海の向こうを指差す。
二毛山達が海を見ると、先ほどまで見えなかったはずの、街のあかりが見えていた。
(その11に続く)