《 警察犬 と 鹿 》
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鹿 : 「聞いてください、犬さん、今日はたいへんだったんですよ」
警察犬 : 「いったい、どうしたのですか? 鹿さん」
鹿 : 「山に突然、巨大女が出現したのです」
警察犬 : 「ほぉ・・・」
鹿 : 「巨大女が大足で歩いたので、山の鹿はみんな雪を頭からぶっかけられました」
警察犬 : 「それはたいへんでしたね」
鹿 : 「山から下りて人間の町に避難しました。町はまだ雪が積もっていないのですね」
警察犬 : 「・・・無事で何よりです」
鹿 : 「このままではいけません。それで私たちは警察に文句を言うことにしました」
警察犬 : 「警察に言われてもねぇ。相手が巨大娘では・・・」
鹿 : 「しかし警察は相手にしてくれませんでした。それで腹いせに他人に八つ当たりをすることにしたのです」
警察犬 : 「・・・・・・」
鹿 : 「レストランという場所でしょうか? 観光客が楽しく食事をしていました」
警察犬 : 「・・・・・・」
鹿 : 「人間だけいい思いをするとは許せません、そうでしょう犬さん」
警察犬 : 「・・・・・・」
鹿 : 「レストランに乱入して、客を蹴散らしてやりましたわい」
警察犬 : 「・・・・・・」
鹿 : 「それから食堂に入って美味しい食べ物を食い荒らしてやりましたわい。わっはっは」
警察犬 : 「私有地不法侵入、傷害未遂、器物破損罪に、食い逃げですね」
鹿 : 「え・・・?」
警察犬 : 「それじゃ、行きましょうか」
鹿 : 「えっと・・・犬さん、私はどうしてパトカーに乗っているのでしょうか?」
警察犬 : 「それは鹿さんが悪さをしたので逮捕されたからです」
鹿 : 「えぇ〜、私は自然を愛する優しい鹿なんですよ!!」
警察犬 : 「後の話は署でゆっくり聞きましょうか」
鹿 : 「わたしは〜無罪だああ」
(終わり)