《 訪問者 》
----------------------------------
西暦20XX年、人類は宇宙との交信を試みていた。
この広い宇宙の何処かに、
地球人と意思疎通できる知的生命体がいるのではないか?
彼らはきっと人類の友になってくれるだろう。
巨大なアンテナを作り、宇宙へメッセージを送る。
「こんにちは、誰かいませんか、私達と友達になりませんか?」
地球からの呼びかけに返事はなかった。
こうして月日が流れた。
@@@@@
その日、彼はパソコンで「宇宙交信のページ」にアクセスした。
ネット時代、「巨大宇宙アンテナ」は一般公開されていて、
誰でも宇宙の好きな方向にメッセージを送れた。
男は退屈しのぎでやったのだが、
彼の旧式パソコンに美しい女の顔が映った時は驚いた。
見知らぬ惑星の女だと分かった。
やがて二人は言葉が理解できるようになった。
男はいつしか彼女に恋をするようになっていった。
そして彼女が最新の宇宙船で地球を訪問することになった。
男は指定された場所で待った。
はやく彼女に会いたかった。
そして彼女はやって来た。
「私を呼んでくれた人は何処かしら?」 彼女の星の言葉で喋った。
もちろん、彼女には細菌よりも小さな彼の姿は見えなかった。
(終わり)