《 真夜中の体育倉庫 》 第19話

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 (再び、男性の視点で)

「やめてくれええええ!!」
 俺は必死で叫ぶ。 世界が変わっていた。

 10分の1サイズ、身長20センチの時でも周囲は大きかったが、
さらに小さな100分の1サイズ、身長2センチ足らずになった今、世界が巨大すぎた。

 俺の体よりもずっと大きな指が二本、俺を捕らえて彼女の口の上に運ぶ。
ぱっくりと開いた、その口! マンションのガレージくらいの大きさがある。
俺のサイズなら100人でも飲み込めるかもしれない。

 モンスターのような舌がぬらぬらとピンク色に光る。
大量の唾液が唇から流れ出している! この女は俺を喰うつもりなのだ!!



「ああ・・・ねえ、見てください、健一さん。
愛花の唇、ピンク色で可愛くて、大きくて、セクシーでしょう?
そして私のお口は健一さんを欲しがっているのです」


 イッテしまった大巨人娘の声が響く。

「ちょっと、待って、コラ! あの・・・愛花! ヤメロー!!」

 最初に巨大な唇が俺に触れる。
唇のピンク色の部分は幅だけでも俺の上半身より大きなサイズだ。

 少し前に彼女が飲んだのだろう、甘いオレンジジュースと混ざった女の唾液の香りがする。 

 柑橘系の匂いがする唇が俺を体を玩ぶ。 上下の唇を閉じたり開いたり、すぼめたりして・・・。

 唇で俺を潰さないように、強弱をかえて触れる。押しつけてくる。
上下のどちらかの唇だけで触れる時もある。

 俺は必死で暴れる。
唇は、女の子のカラダでも一番柔らかい部分なのに、
どれだけ手で叩いても、抵抗しても、巨石のようにゆるがない。 

 なんと小さくて弱い体にされてしまったのか!?

「もう我慢できない。 舌で舐めちゃうね。
健一さんの全身を・・・」


 俺は愛花の舌に囚われる。
彼女は舌先で葡萄の実を舐めるように、優しく俺を舐める。

 恐怖と快楽が全身を支配する。
彼女の舌はキングサイズのベッドよりも大きく、濡れて、うごめくピンク色の怪物だ。

 ただ遊んでいるだけの女の子の舌に翻弄される。 蹂躙される。



 調子にのった彼女は俺を口の中に入れてしまう。

「あ〜ん、ぱくり」

「うわ、やめろ!!」 悲鳴を上げる。 じょ、じょ、冗談じゃない!!

 本気で俺を食べるつもりなのか!?
俺はお前達一族の始祖さまではなかったのかよ、おい!

 愛花が俺を口に入れて唇を閉じたため、周囲が真っ暗な闇に包まれる。
生暖かい舌が飴玉をしゃぶるように俺を口の中で転がす。

 蒸し暑い暗闇の中、彼女の唾液とオレンジジュースの匂いがする。
俺は服を着ていたが、すぐに下着まで彼女の唾液でびしょびしょになる。

 この女は、今、俺を歯で噛み砕く事も、生きたまま飲み込む事も、
簡単にできる。 そして俺が抵抗する方法は一つもない。
可愛い女の子の口の中は、俺にとっては脱出不可能な牢獄なのだ。

「あぁん、気持ちいい。健一さんが暴れている感覚が直に伝わってくる」

 口を閉じているのに、愛花の声が聞こえる。
テレパシー?? この女の超能力なのか。

「気分はいかがですか、健一さん」
 愛花が話しかけてくる。

 いい訳ねーだろ! 俺は心の中で叫ぶのだが、声にならない。



 だがこの時、俺は恐怖と同時に、凄まじい快感を全身に感じていた。

 暖かく滑る舌の巨肉が、俺を自由に玩び押し倒し、唾液まみれにする。
圧迫されて苦しいのに、全身をこする快感がゾクゾクして心地いい。

 幸いな事に今はまだ、愛花は俺を噛み砕いて食べてしまうつもりは無いようだ。
それでもただ遊んでいるだけの彼女の舌に、全く抵抗できない。

 その理由は簡単だ。 たった一つのシンプルな答え。
俺があまりにも小さくて無力なのだ。

 
ぬちゃ、ぬちゃ、ぬちゃ、

 愛花の舌は休むことなく俺を玩ぶ。
俺は飴玉のように転がされる。 白い墓石のような歯に押し当てられる。

 巨大な舌はなおも動き、俺を舌で上顎に押さえつけて唾液だけを飲み込む。
その「ごくり」という音は俺の全身に響くくらいに大きく聞える。
このまま飲み込まれてしまうのかという恐怖に怯える。

 本当に怖い。 高湿度のこの場所は女の子の甘い口臭で満ちていて、
どんどんと増える唾液に溺れそうだ。 俺は必死にもがき大声で悲鳴を上げた。

 しかし、その声はおそらく愛花にもやっと聞える程度のものだろう。
ましてや、この夜中に学校の体育倉庫に助けが来るはずはなかった。

 愛花は口を少し開く。 暗黒の闇の中に光と新鮮な空気が入ってくる。
とにかく窒息の恐怖からはしばらくは逃れる。

 しかし、こんな時でも男の肉体は正直だった。
女の子の口の中に入れられて、全身を愛撫されるという未知の経験。
俺の股間のジュニアは快感のあまりに、大きくいきり立っていた。

 もう我慢の限界だ。
「うあああ、出る、出てしまう!」 情けない叫びと共に俺は射精する。
 大量の精液が俺のブリーフの中に放出される。


 ズボンを通して拡散する精液の味を愛花も感じたらしい。

 ずっと遠くで愛花の満足しきった笑い声が響いていた。

 恐怖と快感の中、俺の意識は薄れていった。

 
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