《 真夜中の体育倉庫 》 第30話 ---------------------------------- 前回までのあらすじ。 超能力少女愛花は、先輩の男子高校生健一に恋をした。 健一を自分のモノにしたい愛花は、その超能力を使い彼を縮小して玩具にする。 驚いた事に、健一は超能力者一族のリーダー「始祖」の血を受け継いでいた。 健一の中に眠る「始祖」の力を手に入れた愛花は、都市で巨人となってしまう。 巨人愛花はさらなる力を手に入れるために、車に乗って逃げる健一を追う。 (愛花の視点で) 巨人となった私。 大都市の道路を逃げる「真っ赤なポルシェ」を追う。 中には私の愛する健一さんと友人の川田先輩が乗っている。 私は肉食獣になった気分で、四つん這いになり進む。 巨人となった私は透視超能力もあるらしい。 健一さんの位置を正確に把握している。 車は人間の尺度でかなり遠くに逃げていたけど、 あまりにも大きな私はすぐに健一さんの車に追いつく。 遅い、遅い、遅すぎですわん、そんなスピードで私から逃げられないです。 私は健一さんの車に手を伸ばす。 道路は大混雑。無数の人々や車、バス、トラックが右往左往している。 健一さんの車もその混雑の中にはまり、ほとんど動けない。 面白くないですわあぁ。私は昨晩から健一さんと「鬼ごっこ」をしていたのです。 これではゲームになりません。 私の愛する健一さんの乗った車の進路を妨害する車に手を伸ばす。 指でピンと弾いてみる。ワゴンカーが宙を舞い、数十m先まで飛んでいく。 あっはっは! 面白いよう! そのまま私は健一さんの車の周囲にある他の車を、次々と指で弾き飛ばしてしまう。 健一さんの車以外の自動車は、全て私の指で奇麗に潰され掃除される。 進路上に何もなくなったわ。 これで健一さんの車も逃げられる。 さぁ、また逃げて下さい。 「楽しい鬼ごっこ」の再開ですわ。 ・・・と思っていたら、健一さんが車からおりてきた。 私に向かって何か叫んでいる。 「もう、こんな事はやめてくれ、君の言う事は何でもする! 一生、恋人になる。結婚しよう。だから、これ以上の破壊をしないでほしい!」 驚いた事に、健一さんの声は私の胸に響いた。 いいえ、嘘でもいいの。 健一さんが私と結婚してくれるって、言ってくれた。 それだけで、愛花、幸せ。 ・・・・・・少し冷静になろう。 私は道路の上に立つ健一さんの前に右手を下ろし、手の上に登るように言う。 健一さんは観念したのか、素直に私の命令に従う。 私は手の上に乗せた小さな健一さんを、自分の顔の前に運ぶ。 可愛い! ものっそい可愛い。やはり健一さんは最高ですわ。 「心配しないで下さい。健一さん、私は大きくなりましたけど、あなたを愛しています。 あなたには最高の生活を約束します。そうだ、とりあえず休息できる場所を探しましょうね」 赤いポルシェに乗った川田先輩には手を出さない。 健一さんの友人だし、小人にしては頑張ってたから見逃してあげる。 私は近くにあった雑居ビルの屋上に健一さんを下ろす。 「健一さん、しばらく、このビルの上で待っていてください。 地面にいたら、私が間違って踏み潰してしまうかもしれないから注意してね、 でも、このビルの上なら、私によく見えているから安全ですわ」 さて、行動を開始しましょう。 健一さんは一晩中、私にイタズラされたり逃げていたので、きっと疲れています。 まぁ、全て私のせいだという気がしますが、とりあえず、休ませてあげましょう。 周囲を見まわす。 健一さんを置いたビルから百mくらい先に大きなホテルのビルが見える。 名前は知っている、上層階のエンペラールームは一泊50万円もする超高級ホテルだ。 私の健一さんが住むのにふさわしい場所。 そして、私はそのホテルの前に進む。 巨人となった快楽に、少し頭がぼっとしている。 私は、世界一大きな胸を、その高級ホテルの上層階に押し付ける。 座った私の胸の高さしかない小さなホテルビルは、私の胸に触れてグラグラ揺れる。 |
えっと、なんなの、私は何をしたいの?? そうだわ、健一さんは私と結婚すると約束してくれた。 だから、愛する健一さんのために最高の生活を保障してあげないといけない。 とりあえず、この高級ホテルから客や従業員を追い出して、 健一さんに美味しい食事と、暖かいベッドを用意してあげよう。 その後は、小人の人間たちに命令して、私の住む宮殿を造らせよう。 そして、私と健一さんは永遠に幸せな生活をするの。 なんて素晴らしい未来。 私はホテルを見下ろし、宣言する。 「ホテルにいる皆さん、聞こえますか。 私は、この地上の支配者です。 とりあえず、この高級ホテルを、私の恋人のモノとします。 皆さんはすぐに立ち退いてください。 5分以内に、ここから逃げないと、このホテルのビルを、私の胸で潰しちゃいますよ」 私の言葉は正確に彼らに聞こえたらしい。 座っている私のブルマや足に遮られていないホテルのドアから、人々が逃げ出していく。 エレベーターはまだ動いているらしい、上層階にいた人々のほとんどが地上階に逃げる。 そう、それでいいのよ。 とりあえず、この高級ホテルビルを占拠し、健一さんに捧げるのが私の使命。 健一さんの安全が確保できたら、次の行動をしましょう。 あぁん、それにしても、私の命令だけで大勢の人々がパニックを起こす。 あはは、 あはははは、 楽しい、楽しいじゃない! 何だか、すっごく興奮してきちゃった。 私は、セーラー服をたくし上げホテルの上層階に押し付ける。 |
(別のビルの屋上にいる健一の視点で)
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