「そ、そんな・・・亜矢香クン」
利根川はモデル事務所を経営している。 そしてこの巨人の女が彼の事務所に所属する人気モデル、火野崎亜矢香だとすぐに分かった。
こんなに巨大になって、とんでもない姿をしているが間違う筈はない! 2年前に彼女は「県の美人コンテスト」に出場しそこで第3位に選ばれた。 選考会場に足を運んでいた利根川は一目で彼女が気に入って、彼のモデル事務所にスカウトしたのだ。
彼女は利根川の期待に応えてくれた。 モデルという華やかではあるが厳しい世界でかなりの成功をした。 スケジュールは3ヵ月先までぎっしり詰まっている。
それなのに彼女は急に出社しなくなった。 心配してTELしても電話にでない。受信拒否されているらしい。 仕事に穴を開けられた利根川は激怒する。
「この駅の裏にあるラブホテル街で、亜矢香さんが男子高校生と歩いていたのを見ました」という報告を部下の社員から聞いた利根川は、今日ここに来た。 そして巨大化した亜矢香を目撃したのだった。
「う、美しい!」 利根川はこんな非常識な状況なのに、彼女のカラダに見惚れる。そう、彼は亜矢香に恋をしていたのだ。 45歳の自分が若い女性に好かれると考える程、利根川はロマンチストではない。 だがどうしても彼女を抱きたかった。
利根川が彼女をスカウトした時から考えていた。 今は人気があるが、そのうちファンに飽きられて仕事も減るだろう。 そうなったら心細くなった彼女に優しく声をかけ、うまく言いよりホテルに連れ込んで彼女のカラダを思う存分楽しむつもりだった。
モデル事務所の社長なら、それくらいの役得があっても当然だ! 利根川はそう考えていた。
それがいったいどうなったのか!? 利根川が愛する女性は今、裸エプロンで巨大化し、彼にカラダを見せつけている。
愛液の溢れる股間の秘部を隠そうともしない。 その肉の裂け目はピンク色でキラキラ輝いて彼を誘っているかに見えた。 利根川はそこをがん見する。 なんという大きさなのか!! 利根川サイズの人間なら百人でも飲み込めそうな巨大さだ。
何と・・・素晴らしい。 こんな非常識な状況なのに利根川は彼女の巨体を賛美する。心から・・・ 彼の股間のペニスは興奮のあまり勃起していた。
その時、巨人亜矢香と目があう。 彼女は明らかに自分の方を見ていた。 「ヤバイ!!」 利根川は恐怖する。 助けを求め周囲を見回す。 その目線の先に駅前の交番があった。
亜矢香は地面にいる小人の男の1人を見て驚く。 こんなに巨大になったのに彼女は男の顔をはっきりと認識できた。 彼女が勤めるモデル事務所の利根川社長だった。
自分の恥ずかしい姿を、知っている人に見られた!!
しかもよく見ると利根川の股間が大きくなっている。 明らかに社長は彼女の姿を見て、淫猥な妄想にひたっているのだ!
「いやああああ!!」
ここで亜矢香の我慢も限界に達した。
女とは思えない凄い力で後ろ手を縛る荒縄を引き千切る。 彼女の動きを封じていた足かせもはずす。これで自由に動けるようになった。 彼女はすくっと立ち上がる。
素晴らしい景色が、彼女の目の前には広がっていた。 彼女は大きな胸を覆う白いエプロンが伸びきるまで、町の上空の空気を深く吸い込んだ。
少し落ちつきを取り戻した亜矢香。
地面を見ると、彼女が立ち上がった時に何台かの車を踏み潰していた。 ご主人様と2人で愛しあったラブホテルの建物は完全にぺしゃんこになっている。
そこには彼女の素足によって、深く刻まれた足跡があり、周囲には細かい亀裂が放射状に走っていた。 それを見ているうちに、彼女の心の中に、さっきまで予想もしなかった快楽が湧き出てきた。
彼女は、小さな都市に立つ大巨人となったのだ。 この町の誰も彼女に抵抗できない!!
「すごい 私、本当に大きくなったのね」
亜矢香は両腕にぐっと力をこめた。 いつかテレビで見たマッスルポーズを真似てみる。 柔らかく女らしい腕の皮膚の下で、無敵の筋肉が存在しているのを感じる。 今の彼女なら40階建ての高層ビルでも動かせるだろうと予測できた。
モデルにしては大きすぎる豊かな乳房も、ゆっさゆっさと重量感たっぷりに動いている。
「そうだわ、社長はどうしたのかしら?」 裸エプロン姿を見られている。 とにかく利根川の口を封じなければならない。
地面を見下ろすと、駅前の交番に逃げ込む利根川の姿が見えた。 亜矢香が自由になったため、身の危険を感じて警察に保護を求めるつもりなのだろう。
駅前のターミナルの右端にあるその交番は、人間サイズだった彼女が見たときは、まるで地域の治安を守っているかのような安心感があった。 しかし巨人となった今の彼女にとって、鉄筋コンクリート2階建ての交番の建物はマッチ箱を2つ重ねたくらいの大きさしかない。 そんな場所に逃げ込んで何か意味があるのだろうか?
いや・・・、それよりも亜矢香は少しだけショックを受けていた。 彼女を見て社長が逃げた。 それはもう彼女がその巨大さゆえに、会話をする事さえできない怪物になったと思われたからだろう。 もう元には戻れない・・・。
ゆっくりと、しかし確実に彼女の中で何かが変わっていった。
(次回、最終話)
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