《 巨大エレベーターガールの襲撃 》
(文章協力:野蛮人さん)
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その日、街に巨大エレベーターガールが現れた。
信じられない大きさだ!
彼女は、50階建てのビルに手をかけている。
彼女がほんの少し足を上げただけで、アブラムシを潰すよりも簡単に、
たくさんの人間を踏み潰してしまえるだろう。
はやく逃げなければ・・・、
僕の理性がそう叫んでいた。
しかし何故か僕の足は動かない。
僕は道路に立ちつくし、ただ彼女を見上げていた。
彼女は僕のことなど気がつく様子もなく、どこか遠くを見つめている。
そして、僕は魅入られたように、巨大な彼女の足元に向かって、歩き出すのであった・・・。
僕が彼女の足下にたどり着くと、彼女はしゃがんで右手を地面に置いた。
『お待たせしました。』
彼女の声が、天空より響く。
事務的ではあるが、凛とした女性らしい声だ。
ふらふらと、僕がその手に乗ると彼女は言った。
『ご希望の階をお申し付け下さい。』
『・・・48階。』
僕は巨大な彼女の視線を感じつつも、目的の階を言う。
『48階ですね。畏まりました。』
その手は、そのビルの48階の窓の前まで僕を持ち上げて止まった。
『48階です。』
不思議な事に、目の前の窓が左右に開いた。
そそくさと降りると、数名彼女の手にのって来た。
『下へ参ります。』
背後から、そのような声がすると窓が閉じた。
彼女はエレベーターガールではなく、エレベーターそのものだったのだ。
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