(性的な描写、暴力的表現があります。18歳未満の方は読まないでください)

《 亜紀と達也 》 
第1話

               CG画像 June Jukes
               文 みどうれい

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一人の少年が学校への道を歩いていた。

少年の名前は達也(たつや)。
高校1年生。 身長160センチ、整った顔立ち、テレビドラマの少年役になれそうな美形である。 女の子にも人気があった。

それが気に入らなかったのか、不良の先輩達に眼をつけられる。 最初はからかい程度だったが、だんだん暴力に変わってきた。 担任教師に相談しても、イジメを認めれば自分たちの評価が悪くなるので、教師たちは見て見ぬふりをした。

上級生の中でもひときわ大きな体格の郷田を中心とした不良5人。 達也は彼らに言いがかりをつけられ、今日は日曜日なのに、学校まで金を持ってくるように命令されていた。

断わったら何をされるか分からない。 達也は金を持ち、とぼとぼと学校へと歩む。

途中、自動販売機でコーヒーを買う。 コーヒーの味は苦く、悲しかった。 自分の情けなさに涙が出る。

足元を見ると、数匹のアリが地面で動いている。 達也はきまぐれに、コーヒーを数滴こぼしてみる。 コーヒーの糖分に惹かれたのか、アリがそれに近寄ってくる。

この時、達也は奇妙な事を考える。 神様はいないのだろうか? 神様がいてくれたら、自分がアリにコーヒーを与えたように、僕の願いを聞いて、郷田たち悪ガキと、無責任な教師をやっつけてくれないだろうか?

この時、彼は余程悩んでいたのだろう。 ありもしない妄想をする。

誰でもいい! 僕をイジメる連中をボコボコにしてください! 心からの叫び!

その時、達也の頭の中に声が響いた。

「あなたの願い、私が叶えてあげるわ」

えっ? 何だ今の声は?? 戸惑う達也。

ずどどどどうううんん!!

轟音と共に地面が大きく揺れる。

よろけて地面に倒れる達也。

彼の前に、とんでもなく大きなモノが出現する。

それは・・・女性の指であった。

 

ひええーー!!

情けない声が喉から流れる。

何かいる、不良グループの郷田たちなど問題にもならない、とんでもなく大きくて強い存在が!!

腰を抜かして、そこから起き上がれない達也。


 

「私を呼んだのはあなたかしら?」

凛とした女性の声が響く。

彼女が動くだけで地面がグラグラ揺れる。

間違いない! 巨人の女性だ。 とんでもない大きさ。 高校の校舎よりも大きな女性がそこに出現していた。

達也は情けない声でうめく事しかできなかった。

(続く)


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