《 亜紀と達也 》 第3話
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「それじゃ、そこで見ててね」 

亜紀は達也を、近くのマンションの屋上に下ろすと、ターゲットのいる学校の方に進む。

ずうん、ずううん。

亜紀の巨体のために、大地が大きく揺れる。

突然現れた巨人に驚き、人々がパニックを起こす。 何人かの男を踏み潰してしまう亜紀。 全く気にしない。

 

亜紀は異次元宇宙に住む巨大娘だ。 今までいったい、いくつの島や都市を破壊してきたことか・・・。 自分でも覚えていない。 

最近ではビルの1つや2つ踏み潰しても、何の感動もない。 しかし、今日は少し違っていた。 亜紀を異世界から呼び寄せた達也という名前の少年・・・。 彼は明らかに巨人族の血脈をもつ1人だった。 

亜紀たち巨人は女性がほとんどで、男は極端に少ない。 男の巨人は貴重なのだ。 彼はこの世界で悪ガキどもに苛められているらしい。 情けないと言えば情けない話だ。

だが、もし彼も巨大化できるのなら巨人の本能に目覚めるだろう。 そうなれば久しぶりに楽しめるかもしれない。 彼と契約するためにも、その願いを叶えてあげなければならない。

ついに校内に入った亜紀。

校庭では、日曜日とはいえ多くの運動部員たちがトレーニングにはげんでいる。

彼らは巨人の亜紀と比べれば、あまりも小さい。 彼らは巨大な女性の姿に怯え、悲鳴を上げながら蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。 


 



数学教師の深川は、自分の目が信じられなかった。

信じられないくらい大きい女性!

このマリンブルーのビキニ水着の、頭のいかれた大女が、自分たちを踏み潰すつもりだと直感する。 深川は後をも見ずに逃げだす。

ここで、この教師は校舎の中に逃げ込んだ。 いくら人間が大きくなったからといっても、女の子がコンクリートの壁を崩せないと判断したのだ。 

ならば、あの巨大女が暴れても、鉄筋コンクリート3階建ての校舎に逃げ込めば安全だ。 後は警察、いや、防衛隊が助けに来てくれるまで待とう。

結果として言えば、深川は大失敗をした。

無敵の肉体を持つ巨人亜紀に、建物など何の防御にもならなかったのだから。

(続く)

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