《 お願い! 妖精王 》 W
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俺の目の前に、札束の山がある・・・。
友人のダグといっしょに銀行強盗をやったのさ。
計画は見事に成功、俺は大金を手に入れた。
しかし、銀行から逃げる時、ダグは警察に捕まったよ、
はっ、何をやっているのか。 あいつは昔からドジだったからな。
まぁいい、これで、この金は全部、俺のモノだ。
俺は億万長者だ、一生、遊んで暮らせるぜ。
わはははは・・・。
しかし、数日が過ぎ、笑っていられなくなった。
今、俺はアパートの一室で金を持って隠れている。
警察が俺を探している、外に出られない。
うう・・・どうすればいいんだ。
せっかく、大金を手に入れたのに、使えないじゃないか!
俺には恋人がいる、アメリアというグラマーな女だ。
うぅ、アメリアに会いたい、彼女と幸せに暮らしたい・・・。
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その時、俺は伝説を思い出した。
『何でも願いをかなえてくれる妖精王が、異世界にいる。』
俺はその伝説を信じることにした。
「妖精王様、俺が警察に捕まらないようにしてください!」
その夜、俺はそう願いながら眠りについた。
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そして、ここは夢の中・・・。
俺は異世界バイストン・ウェルルを旅していた。
俺は氷の谷をくだり、炎の山を登り、天空の城へと飛んだ。
長い旅路の果て、俺は妖精王に出会った。
うぅ、頭がぼんやりする、とにかく願いを言わなければ・・・。
俺 : 「妖精王様、私は警察に追われているのです」
妖精王 : 「・・・それが、どうかしたのか?」
俺 : 「銀行強盗をしたのです」
妖精王 : 「それは、お前が悪いんじゃろ」
俺 : 「いいえ、私が悪いのではありません、社会が悪いのです!」
妖精王 : 「・・・・・・」
俺 : 「私も普通に働きたかった、でも、私のような貧乏人は誰も相手にしてくれなかった」
妖精王 : 「・・・・・・」
俺 : 「だから私は銀行から、金を奪ったのです、私は悪くない!」
妖精王 : 「・・・願いを言うがよい」
俺 : 「私が警察に捕まらないようにしてください!」
妖精王 : 「汝の願い、聞きとどけた」
目が覚めた俺は驚いた。
俺はカメレオンのように「周囲の風景に同化する超能力」を手に入れていた。
レンガの壁の前に立てば、俺の体はレンガ色になり、誰にも見えないのだ!
おぉ〜、素晴らしい。 さすがは妖精王様だ!
外を歩いても誰も俺に気がつかない。 これなら警察に捕まらないぜ!
やったぞ、これで金は全部、俺のモノだ! わははははは!
俺はさっそく、恋人のアメリアの家に行った。
大金を手に入れた俺の雄姿を、彼女に見せてやりたかった。
これからは、彼女と遊んで暮らすんだ。
しかし、なんということだ、アメリアには俺の姿が見えなかった。
警察に俺は見えなくなったが、俺は完全な孤独の世界で生きることになったのだ。
もう、誰とも愛しあえない・・・。 たった一人で生きていくしかない。
・・・これが悪事の代償なのか?
罪を犯した者は、誰からも相手にされずに、独りで暮らすしかないのか。
いや、違う! 妖精王の野郎が俺をだましたんだ!
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そして、その夜・・・。
夢の中で、俺は再び妖精王に会いにいった。
頭がぼんやりする、もう一度、願いを言わなければ・・・。
俺 : 「妖精王様、なんてコトをしてくれたんですか!」
妖精王 : 「なんじゃ、またお前か、望み通り、警察に見えなくしてやったぞ」
俺 : 「しかし、恋人のアメリアにも、私が見えないのです。これは困ります」
妖精王 : 「願いがかなうとは、そういうモノだ、光があれば闇もある」
俺 : 「私にも幸せに生きる権利があります!」
妖精王 : 「・・・・・・それで、この妖精王に、どうしろと言うのだ?」
俺 : 「願いを変更してください、(警察に捕まらず、しかし、恋人には見える)がいい!」
妖精王 : 「汝の願い、聞きとどけた」
目が覚めた俺は驚いた。
俺は身長4センチの小人になって、巨人女の胸の谷間にいた。
こ、この巨人は・・・アメリアだ! 俺の恋人だ。
何がどうなっているのか分からない。 しばらく呆然としていた。
ちょ、ちょっと。妖精王さま、どうなっているのですか!
え、なんですって、何を言っているのですか!?
「警察に捕まらず、しかし、恋人には見えるようにしてやった」 ですって
た、たしかに、身長4センチになれば、警察には見つからない・・・。
これで俺は永遠に、警察に捕まることはなくなった。
うわ、あああ、アメリアの巨大乳房が俺を襲ってくるうう!!
なんという大きさだ、とても抵抗できない。
つ、潰されるううう、 だ、誰か助けてクレー!!
うわらばぁ、 ひでぶー!!
《終わり》
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