《 最後の一葉 》 前編

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 その年の夏、僕は入院した。

 縮小病・・・、男性だけが小さくなるという難病。

 病棟の中で、僕の体はどんどん小さくなっていく。

 毎日、巨大化していく世界は、僕にとって恐怖だった。

 苦痛はなかったが、心の痛みの方が大きい。
こんな小さな体では、もう仕事もできない。 

 恋人の今日子ちゃんとも会えない。

 もう、死んでしまった方がいい。

 病室の窓から木々が見える。
あの木の葉が全て散るころ、僕の命も終わるだろう。



 身長120cm、90cm、50cm、そして20cm・・・。
もう、看護婦さんの手のひらの上にだって乗れるサイズだ。

 僕の体は身長4cmになり、そこで縮小は止まる。

 季節は秋になる。 木の葉が色づき、そして散りはじめた。



 冬。 残りの葉もわずかとなり、もう、ほとんどない。



 明日にも、最後の一葉が落ち、僕の命は失われるだろう。

 あぁ、最後に今日子ちゃんに会いたかったな・・・。


 (続く)


 ・縮小病にかかった彼の運命やいかに、 次回、完結編!



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