《 プロボクサー・ゾルバの旅 》
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小さいころから、僕は知っていた。
自分がとても強いことを・・・。
左手の指先で鉄柵をねじ曲げることだって簡単にできた。
ハイスクールに入学したころには、僕はプロのボクサーになろうと思った。
ボクシングの試合は連戦連勝! 僕はチャンピオンになった。
普通の男たちではもう相手にならない。
そして、僕はついにあの大勝負をしたんだ。
そう・・・。
巨大な女の子とボクシングをしたのさ。
さすがの僕も驚いたよ。
彼女は、すごく大きかった。
僕の4倍以上の大きさがあるんだぜ。
信じられるかい、そんな大きな女の子と闘おうとは、僕がいかに勇敢だったか・・・。
え・・・「それからどうなったって?」 て聞くのかい。
そんなん、負けたに決まってるだろ!!
あんなにでかいのに勝てるわけねーーよ〜。
必殺のパンチをうち込んでも、彼女は「くすぐったい」ぐらいにしか感じないんだから。
彼女が片手を軽く動かしただけで、僕はぶっ飛ばされたよ。
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あれから40年の月日が流れた。
ついに彼女と再び闘うことはなかった。
今は隠居して、ペットのペリカンたちといっしょに、趣味の釣りをしてます。
ペリカンA 「おっちゃーん、エサ、マダー」
ペリカンB 「ハラ、ヘッター シヌゥー」
なんじゃ、お前らは! 人の話を聞いとらんな。
あー待っておれ、今、魚をいっぱい釣って、たらふく食わせてやるから。
(おわり)