《 魔王の娘 》
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私と彼は本当に愛しあっていた。
彼といるだけで、私は幸せだったの。
いつか結婚して、二人で平和な家庭を持ちたいって願ってたわ。
でも、月の夜になると、私の中の悪魔が囁くの。
そう、私は魔王の娘・・・。
闇の中の声は、私にこう言うの。
「あの男はいつかお前に飽きて、他の女のところに行くだろう」
そんな・・・信じられない。
彼が私を捨てるなんて・・・そんなことはありえない。
でも私は知っていた。
愛とは儚い夢、いつかは消えてしまうと。
だから私は魔法を使って、彼を小人にしたの。
そう・・・私を喜ばせるためにバラの花束を持ってきてくれた彼を。
呆然と巨大な私を見上げている。
今の彼は私の足指よりも小さい・・・。 とても可愛いわ。
こんなコトして、ごめんなさい。 でも、私にはあなたが必要なの。
あなたを失う日が来るなんて考えられないわ。
あなたはコビトのまま・・・、もうこれで永遠に私のモノよ。
そんなに泣かないで、私まで悲しくなるわ。
さぁ、いっしょに遊びましょうね。
とっても楽しい夢を見せてあげるから。
(終わり)