《 手紙に隠されたメッセージ 》
恐怖夜話 第一夜
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その夜10時ごろ大介が俺の家に来た。 俺の友人だ。
俺は少し驚く。 こんな夜中に訪ねてくるとは・・・。
よほどの急用なのだろうか? 二人で部屋に入る。
大介は俺に 「相談にのって欲しい」 と言う。
父からきた手紙の内容が変だという。大介の親父さんは一人で田舎にいるのだそうだ。
俺は 「大介の親父さんが書いた手紙」 を見せてもらう。
・・・・・・?
確かに奇妙な手紙だ。 内容が不自然すぎる。
何か意味があるのだろうか? 俺は大介と話をする。
俺 「なんと言うか・・・無理に書いたような手紙だな」
大介 「そうだろ。俺イタリアになんか行ってないし」
俺 「ジス様って、誰?」
大介 「知らん」
俺 「親父さんは、お前に何かを伝えたいんじゃないのかな?」
大介 「なんで普通に書かんの?」
俺 「誰かに読まれたらバレるから、暗号でメッセージを書いてるとか」
大介 「どうしてそんな事に」
俺 「もしかして親父さんは誰かに監禁されているとか」
大介の父親は資産家で、豪邸に住んでいると聞いたことがある。
何か気になる・・・。
俺は手紙をタテに読んでみる。 暗号文の初歩 「縦読み」 だ。
大 | ||
き | ||
な | ||
女 | ||
が |
・・・あれ、手紙の一番左の部分、縦に読むと文になってるみたいだな。
俺はさらに他の部分も縦読みする。
俺 「・・・なんか、怖いこと書いてるぞ・・・」
大介 「なんだよ、これは・・・」
俺 「大きな女って、なんだよ!?」
大介 「俺、知らねーよ」
俺 「ちょっと待て・・・ うわぁっ!」
大介 「なんだ!?」
俺 「まだあるぞ!!」
大介 「まだ・・・って?」
@@@@@
大介は 「すぐに実家へ帰る」 と言って出て行った。
あいつの姿が見えなくなってから急に不安になる。
何かの冗談だと思うのだが、どうも納得できない。
俺の体は震えていた。 奇妙な妄想が俺の頭に広がる。
もしも、手紙に真実が書いてあったらどうする??
親父さんは本当に田舎で大きな女に囚われているのではないのか・・・。
手紙に書いてあったジス様とやらが、きっと大女なのだろう。
その大女の遊びのために、はだしでフまれ、何日も食事をもらえない親父さんは、
朦朧とした意識の中で、最後の力を振り絞り、
息子に助けてもらうために 「暗号手紙」 を書いたのではないのだろうか。
こんな手紙を書くからには、もう極限状態なのだろう。
携帯で大介に電話をしてみたが、何故かつながらない。
その夜、俺は眠れなかった。
@@@@@@
あれから3年の月日が流れた。 大介からの連絡はない。
大介がどうしているのか誰も知らない。
しかし、俺だけが真実を知っている。
あいつも父親といっしょに大きな女達に捕まってしまったのだ。
そして今も大女の裸足で踏まれているのだ。 父親といっしょに・・・、
だが俺にしてやれる事は、何もない。
唯一の救いといえば 「隣家の大女が美人らしい」 という事だけだ。
大介のことを思い出すと、今も俺の背中には冷たい汗が流れるのだった。
《恐怖夜話第一夜 終わり》
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