《 鏡の中は 》 その2
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鏡の中・・・そこは誰も知らない自分だけの世界。
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鳥は鏡を見つけた。
鏡の中の自分は猛禽で、鋭い目は未来を見つめていた。
鳥はいつまでも鏡を見つめていた。
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猫は絵を見ていた。そこには虎が描かれていた。
自分で獲物を狩る誇り高き野獣。
猫は人の家で暮らしていた。
優しいご主人は、いつも美味しい食事を猫に与えてくれた。
猫は幸せだった。しかし心の何処かで自由になりたいと願っていた。
自分がなりたかったハンター(狩人)の姿。
猫はいつまでも、その絵を見つめていた。
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彼女は鏡を手に入れた。
鏡の世界の彼女はビルよりも大きくて、強く、自由だった。
自分がなりたくて、なれなかった美しい姿。
「巨人女になりたい」と考えるなんて、私ってヘンな女ね。
彼女はそう考えながらも、いつまでも鏡を見つめていた。
(終わり)
(寸感) 巨人になりたい人いますか?