《 野獣になりたかった猫 》
----------------------------------
猫は絵を見ていた。そこには虎が描かれていた。
自分で獲物を狩る誇り高き野獣。
猫はじっと、その絵を見つめていた。
猫の名前はナーゴ。
「なーご・なーご」と鳴いているように聞こえるので、
ご主人様がつけてくれた大切な名前だ。
ナーゴは人の家で暮らしていた。
優しいご主人様は、いつも美味しい食事を与えてくれた。
ナーゴは幸せだった。
しかし心の何処かで自由になりたいと願っていた。
ナーゴは虎のような狩人(ハンター)になりたかったのだ。
ナーゴは海岸に来ていた。
大好きなお魚さんを自分で捕まえるつもりだった。
しかし、何というコトだ。ナーゴは海を泳げなかった。
魚が獲れないのなら、鳥を狙う!
そう、ナーゴは狩人なのだ。
しかし、何というコトだ、鳥は飛んで逃げてしまった。
そのうち夕暮れになった。もちろん獲物はない。
ナーゴは思いにふける。
家に帰るしかなかった。
夕食はポテトサラダだった。
趣味の巨大女映画を見ながら、美味しいポテトサラダを食べる。
ナーゴの夜は、今日も幸せだった。
だが、ナーゴは諦めていなかった。
明日こそ、きっと自分で獲物を狩ろう。虎のような野獣になるのだ。
明るい未来を信じている。
おやすみなさい、今夜もきっと、いい夢が見れるだろう。
(野獣になりたかった猫 終わり)