《 カンガルーの旅 》 <前編>

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 カンガルーの母子がいた。

 とても仲がよかった。 いつもいっしょにいた。

 夢のように幸せで平和な日々が流れていく。




 しかし、ある日、母さんが息子のカンガルーに言った。

「ねぇ、息子や。お前も大きくなったんだから、そろそろ自立したらどうかしら?」






 息子カンガルーは呆然とした。

 そ、そんな・・・母さん、何を言っているのですか、
母さんと僕はいつまでも、いっしょじゃなかったのですか?
ずっと僕の面倒を見てくれるんじゃ・・・ そんな・・・。

 しかし、野生の本能により、やがてカンガルーは理解した。

 家族といっしょに過ごした楽しい日々は終わったのだ。
野生動物はいつかは独りで生きていかねばならない。

 今、その時が来たのだと・・・。

 カンガルーは泣きながら、母に別れを告げ旅立った。


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 生きていくには強くならなければならない。

 そう考えたカンガルーは、ボクシング山田さんの弟子になった。




 毎日苦しいボクシングの特訓・・・。

 つらい時、悲しい時もあったが、カンガルーは負けなかった。
強くなりたい、それだけが心を満たしていた。


 厳しい特訓の成果はあった。

 カンガルーは仲間の誰よりも強くなっていた。


 そして、ある日、

 町に
巨大女が出現したのだ。




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