性的描写、破壊的表現があります。18歳未満の人の閲覧はご遠慮ください。

 曜子 in 街中の駅  前編  
(催眠GTS曜子続編)

               絵 桑折二号さん
               画像提供 原案 がいねー好きさん
               文 みどうれい

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(催眠GTS曜子前回のあらすじ)
 ごく普通の女の子、曜子は、ある日突然トカゲ宇宙人の円盤にさらわれた。 地球人を悪と断じる宇宙人は、その未知の科学力で彼女を身長160mに巨大化する。

 
巨人となった曜子はまるで催眠術にかかったかのように、その無敵の肉体で海上空港を滅茶苦茶に破壊する。 廃墟となった空港を後にして、彼女は海を渡り本土へと進撃する。 彼女に狙われた大都市の運命は・・・。




 *「イラストの著作権は作者である桑折二号さんが持っています。無断転載は厳禁です」*

(柿崎真一の視線から)

 その日、会社が休みだった真一は都心のとある喫茶店で恋人とデートの待ち合わせをしていた。 彼にとって今日もいつもと変わらぬ楽しい逢瀬の日になる予定だった。

 そう・・・かっての後輩の女の子が
身長160mの巨人になって都市に出現しなかったらの話であるが。

 喫茶店でコーヒーを飲んでいると突然テレビで不可思議な臨時ニュースが映る。 裸の女の子が飛行機の模型で遊んでいる。 やけにリアルだ。 「おいおい、ハダカじゃないか、こんなの放送していいのかよ」と思ったのも一瞬、それが特撮映画でも誰かの冗談でもないと理解する。

 テレビ局のヘリが高空から撮影していた。 アナウンサーの声が伝える断片的な情報を聞き取ると、信じられない大きさの巨人娘が出現し海上空港を破壊したらしい。 番組で必死に危機を警告している。 巨人が海を渡り都心に上陸したと・・・。

「おい、待てよ、海上空港と言えば、すぐここから近くなのだが・・・」 テレビで避難を警告している地域が今自分のいる場所と知った時、真一は呆然とする。 騒々しい音に喫茶店の外を見ると、いつの間にか道路は無数の自動車であふれ大渋滞に陥っている。 店内の人々のざわめきの声が聞こえる。

 ズウオン!! ズズウオオンン!!

 轟音と共に喫茶店の全ての机と椅子が揺れる。 柱と壁がギシギシ揺れる。 真一は外へ飛び出す。 無数の人々がそこを右往左往していた。「何かとんでもない異変が起こっている、すぐ逃げなくては」 そう思ったのだが、状況はすでに手遅れと言ってよかった。 そこは都心の中央駅がすぐ見える繁華街である。

 あたり一帯、正気でいられない様な恐怖の空気が支配していた。 何が起こったのか分からなかった。少し前まではいつもと変わらない街の光景だったのに・・・。ドクン、ドクン、自分の心臓の鼓動が聞こえてきた。これから起こるであろう大異変を予測したのかのように、真一の体は硬直する。

 轟音と衝撃波と共に突然、高層ビルの影からそれは出現した。 目玉が飛び出す、そう言っていいだろう。その異常な光景に真一はくすんだ声を上げずにはいられなかった。

 
それは二本の脚だった。 どう見ても女の子の裸足だ。

 足首は引き締まり、ふくらはぎはバランス良く張っている。 若く健康的な足はすらりと長くセクシーとも言っていい。 それが普通のサイズなら別に驚くコトは無い。

 しかし、サイズが問題だった。その足と言えば小さな家くらいならあっさり踏み潰してしまえる程の大きさがあるのだ。 自動車などマッチ箱のサイズもない。

 見上げることすら出来ないほど遙かな上空に向かってそびえ立つ巨大な存在。 真一はその足に沿って視線を上に向けていく。 首が痛くなるほど上に向けた視線に捉えられたのは、信じられない程、巨大な、全裸の女性だった。

 周囲のビルが玩具のようだ。なんて大きな女性なんだ。 はるか上空の彼女の山のように隆起した乳房は重力など全く気にもせずに、その存在を主張するかのようにプルンと突き出ている。 真一は混乱していた。 ここまで大きいと言う事は彼の対応できる範疇をはるかに超えていた。 いや、事態はすでにこの都市の誰にもどうしようもない状況に陥っているのだった。

 彼のすぐ目の前で恐ろしい女巨人が移動していく。 女の子特有の甘い匂いが周囲に滝のようになだれ落ちて来る。 移動する車や駅前のタクシー乗り場に駐車している車を踏み潰し、彼女は中央駅に進む。彼女の足による破壊から逃れようと大勢の人々が地面の上を波のようにうごめいている。

 そこは海岸よりに位置するターミナル駅である。 JR、私鉄、地下鉄などいくつもの路線が周辺地域のベッドタウンとを結んでおり、多くのビジネス客が利用する。 駅周辺は大きな繁華街・歓楽街となっており、人の流れが絶えることはない。

 7面13線のホーム・線路は、高架上に南北に伸びている。雨天から乗客を保護するために、頭上にはプラットホーム中央部を覆う弧を描くような巨大な片流れの大屋根が設置されている。 大きさは東西長約200m、南北長約120mで、高さは最も高い地点で約60mに達する。大屋根の一部にガラスが使われ、自然光が差し込む作りである。しかし、その巨大な構造物も身長160mの巨人娘から見ればダブルベッドくらいのサイズなのだ。

 真一が何十回も、何百回も通った駅だった。通勤のために使用するその駅は真一にとって、それはそこにあるのが当然の見慣れた存在だった。 巨人娘は全く無造作にその駅舎の大屋根を踏み砕き、そこに足を踏み入れる。美しくしなやかな彼女の足はまるで鋼鉄でできているかのように頑丈な構造物を崩壊させる。 

 両足は、停車中の列車をあっさりと踏み潰す。車両が線路の上でアルミ缶のようにひしゃげ、押し潰される。巨足の直撃を避けられた幸運な車両も、衝撃で歪みホームの上に押し上げられる。

 走行中の急行列車の運転手が異変を察知して、非常ブレーキを操作するが間に合わず、線路を横切る巨大な肌色の足に突っ込み、脱線転覆し後続の車両もろとも折れ曲がって潰れる。

 彼女の足先は電線をも切断していた。 電線が火花を散らしながらホームの上を蛇のようにのたうち廻る。 脱線した車両に火花が走り駅構内より煙が上がる。

 「あっ・・・あ、これ気持ちいいかも・・・」 電線の火花と構造物が燃える炎を足にして、巨人娘の楽しそうな声が響く。なんと言う事か、彼女は線路を踏みながら両手で自分の乳房を愛撫している。先ほどから周囲を支配している女の甘い香りがますます強くなる。彼女がこの大破壊を楽しんでいるのは真一の目にも明らかだった。

 彼女は痛みや火花の熱ささえ感じていないらしい。 楽しそうに鼻歌を歌いながら両足でホームに押し潰し、駅舎の建造物を崩しながら進む。 最後まで頑張っていた駅の大屋根もきしんだ悲鳴を上げながら、全てが崩れ落ちる。

 真一は呆然と彼女を見つめていた。 全身から恐怖の汗が噴出している。 人々の悲鳴の中、体がすくんでいた。今までにないくらい混乱していた。

「私・・・脱いだらスゴイんです」 何故かそんな言葉が真一の頭の中で何回も響いていた。

 身長160メートルもの全裸の巨大な女性がホームを跨ぎそびえ立つ。 圧倒的な存在感。左足は線路といくつもの電車を踏み潰し、右足は駅前のインフォメーションセンターの屋根を踏み抜いていた。心臓がバクバクする。真一は何もできず、恐怖にかられながらも巨人の娘から目が離せないでいた。

 衝撃で、駅前に建っているいくつかのビルの外壁がひび割れ砕け、地面へと降り注ぐ。 老朽化しているため数年がかりで解体される予定だった北コンコースも巨人の足によって一瞬で踏み砕かれる。 巨人の娘は人間の造った建造物のあまりの無力さを、乳房を震わせながら笑っていた。 

 電車の残骸と建物の外壁を、辺りに撒き散らしながら大きく右足を踏み出す。 右足をロータリーの路線バス待合所へ踏み降ろす。 あっけないほど簡単に2台のバスの屋根がへこみ車体がアスファルトにめり込んでいく。 いったい彼女の体重はどのくらいあるのか? 想像できない。

 次に左足を降ろすと、そこは地下街のある場所だった。 彼女の巨足は地下のショッピングモールを突き抜け、地下3階の駐車場まで一気に踏み抜く。地上からは見えないが、いったい今の一足でどれだけの数の店舗が踏み潰されたのだろう。 次の右足は地下鉄構内を押し潰し瓦礫の山でこの区域の地下鉄を走行不能にする。

 地面に足がめり込んだので少しバランスを崩した彼女は気にもせず、その巨体を投げ出しすぐ横にあった駅前デパートに体当たりして、その上に倒れ込む。 一瞬で10階建てのビルは倒壊する。 彼女は笑っていた。


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 あらゆる常識を無視した巨大女性の、想像を絶する力と大きさに真一は全く身動きすることも出来なくなっていた。 「う、動けない・・・」 どうして逃げないのだ? もう逃げても無駄だと知っているからなのだろうか。やがて真一は気がついた。 この混乱の中、自分が巨人娘の凄まじい肉体に魅了されているのだと。

  凄まじい大破壊の中、鉄筋コンクリートのビルが砂糖菓子のように崩されていくのを目の当たりにして、彼の心がしびれていた。 こんなにも大きい女性がいるなんて・・・人間に抵抗などできない、まるで女神のような超自然な存在。 「巨大」という言葉の意味がハッキリと理解できた。人知を超越した絶対なる肉体。 「本当に巨大な存在」とは無敵であり、神聖不可侵という意味なのだ。

 駅前デパートを押し潰した彼女が起き上がる、顔がはっきりと見えた。さっきまで真一は地面から見上げていたので、はるか頭上の盛り上がった乳房の間から見える彼女の顔は、遠近法のようで正面からは見えなかった。それが今、はっきりと見えた。

 「あ、あの娘は!?」 真一は絶句する。

 それは彼の知っている少女の顔だった。 それほど親しいという訳ではない。 たしか「ヨウコ」という名前だっただろうか、学生時代の後輩で通学電車で何度かいっしょになったのを覚えている。 一度メールをもらった事がある。

 「そうか、君だったのか・・・」 言いしれぬ感情がわき起こる。 真一は自分に起こる運命にまだ気がついていなかった。


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