《 妹は巨大少女 》


----------------------------------




 
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


「な、な、何だ・・・?」


 
は、信じられない光景を見ていた。


 巨大な女の子が、地面に座り込んでいる。


 大きな手が、地面に伸ばされてくる。



 俺はどうすることもできずに、ただ呆然と、に立ちすくんでいた。







 俺はぼんやりと、今朝のことを思い出していた。


************



 俺の名前は山之辺隆一、22歳、出版会社に勤めている。
その日、俺は「営業に行く」と言って会社を出て、家に帰ろうとしていた。

 何だか分からないが、いやな予感がする。 すごく・・・不安だ。


 俺には夏美という少し歳の離れた高校生の妹がいる。

 俺と夏美はとても仲が良い。
兄の俺が言うのも何だが、夏美はとても可愛くて頭がいい。

 その夏美が、今朝「頭が痛いので学校を休む」と言っていた。
俺は「医者に行った方がいいぞ」と言って家を出たのだが、どうも落ち着かない。

 心配になった俺は、携帯で家に連絡してみたが、電話には誰もでない。

 それで結局、俺は仕事をおいたままにして、家に帰ることにしたのだ。


 そして、帰宅途中の俺は、家を目の前にして
巨大な女の子を目撃した。


@@@@@@@


 俺は目の前の光景が信じられなかった。

 山のような大きさの女の子が、地面に座り、道路のトラックに手を伸ばしている。


 彼女から見れば、大型のトラックさえ、玩具のサイズだ。

 彼女の身長は、ゆうに200mは超えているだろう。

 運転手は、恐怖に叫びながら、逃げ出していた。

 ここからは見えないが、彼女の尻の下敷きになっていくつかの家が潰されているだろう。

 これはに違いない。

 こんなことがある筈はない。 俺はそう思った。


 彼女は裸だったが、別に気にしていないようだった。

 俺は、ただ呆然と彼女を見つめた。


「あ、兄さん。」


 その時巨大な少女が俺の方に目を向け、嬉しそうに言った。

「え、え、??・・・??」

 驚く俺の前に、薄ピンク色の巨大な手が伸びてきた。

 信じられない大きさだ。 空が見えなくなる。


 俺は、彼女の指の爪ほどの身長さえない。


「うわああああーーー!!」

 俺は初めて恐怖を感じ、叫んだ。

 巨大娘は、太い指で俺を摘み上げた。

 ものすごい力だ。 全然抵抗できない。

 夢を見ているような気がしていたのだが、これは紛れも無く現実だ。
この指なら、俺を簡単に捻り潰すことができるだろう。

「たっわっわぁああ、たっ、助けてくれー!!!」

 俺はあらん限りの声で、叫んだ。

 しかし、俺は潰されることなく、何か弾力のあるものの上に降ろされた。

 なんということだ、そこは巨大な手のひらの上だった。

 驚いたことに、巨大な手は、俺の家の敷地よりもずっと広かった。


 この時には、ようやく俺も気がついていた。

 信じられないことだが、この巨大娘は、俺の妹の夏美なのだ。
あまりにも大きすぎて、すぐには分からなかった。

 巨大化した夏美は、おそろしく美人に見えた。

「な、な、・・・、夏美なのか?」

 俺は、目の前にあるビルの看板よりでかい夏美の顔を見つめた。

「そうよ、兄さん。」

 夏美は、俺を見つめながら返事をする。
俺の驚く様子が可笑しかったのか、くすくす笑っている。


 そんな・・・こんなことがあるはずがない。

 今朝俺が家を出る時、夏美は、家で寝ていたのだ。

 それが何でこんなに大きくなるのだ。
いったい、何があったのか??

「どうしたんだ、夏美、なんで・・・、そんなに大きく・・・なったんだ?」

 巨大な夏美は、俺を手のひらの上に、乗せたままで言う。

「それがさー、よく分かんないの、
頭痛がするから家で寝ていたら、急に体が熱くなって・・・
気がついたら大きくなってたの・・・。」

「なんなんだ!! それは!?」

 俺は驚きながらも、ほっとしていた。

 夏美は、俺の可愛い妹なのだ。

 夏美は、先程も俺を摘み上げた時も、潰さないように、慎重にしてくれたようだ。
とんでもない
巨人になってしまったが、夏美なら俺を傷つけるようなことはしないだろう。



「それでさー、地面の上に可愛いトラックが見えたの。
遊ぼうと思って手を伸ばしたら、兄さんを見つけたわ。
それで、摘み上げたの。
兄さん、私のこと心配で帰ってきてくれたの?」


 夏美は、屈託のない笑顔で笑う。

 何をのんきにしているんだ! どうするんだよ、これから!
俺は心の中で叫ぶ。

 俺の不安は的中したようだ。
とんでもないことになってしまった。

 いったい、どうすればいいのだ。
とても現実だとは信じられない。

 俺の頭の中は、ぐるぐる回っていた。

 しかし、夏美はあっけらかんとしている。

 普通、自分がいきなり巨大化したら、パニックを起すと思うのだが。

 うう・・・我が妹ながら、理解できん。

 俺は、再び夏美を見上げた。

 夏美は巨大化した時に服が破れて、裸になったらしいが、全然気にしていないようだ。

 俺の目の前に、夏美の
巨大な胸がある・・・。

 夏美のおっぱいは、猛烈に盛り上っていた。

 すごくでかい・・・、6階建てのビルよりも、ずっと大きく見える。

 それは夏美の顔よりも大きく、丸々と膨らんでいた。

 そして、その形は若々しく、つんと上を向き、美乳といってもよいほどだ。

 なんということだ、
俺と夏美は仲がよく、小さいころはよくいっしょにお風呂に入ったものだ。

 夏美が小学校に入ってからは、さすがにそれはなくなったので、
妹の胸を直接見ることはなくなった。

 高校生になったあたりから、夏美の胸が大きくなってきたことは意識していたが、
それにしても、とんでもない大きさだ。

 そして・・・、美しい。

 俺は、夏美の巨乳のあまりの大きさに、目を離す事ができなくなってしまった。

「もう、やだー、お兄ちゃん、何、じろじろ見てんのよ。」

 大きな声と同時に、太い指が降りてきた。

 夏美は、
おっぱいをじっと見ていた俺のことを、指で弾くつもりらしい。

「うわっ、わわわっ!」

 俺は慌てて、巨大な手のひらの上を転がるように、逃げる。

 あんなでかい指に弾かれたら、体中の骨がばらばらになってしまうだろう。

 幸い巨大な指は、俺に触れることもなく、空中に静止した。
夏美は、虫のように小さい俺を潰さないように、注意してくれているらしい。

「あ、い、いや、何も見てない・・・見てないぞ。」

 俺は、慌てて取り繕う。

 しかし、俺は前かがみになっていた。
俺の股間のものが、膨らんでいたからだ。

 情けないことだが、俺は、夏美の巨大な胸を見て興奮していたのだ。


「うそ、兄さんったら、わたしのおっぱい、じっと見てたじゃない。 えっちー。」

 夏美は、面白がっているように言う。

「そ、それで、これからどうするつもりなんだ?」

 俺は目のやり場に困りながらも夏美の顔を見上げながら、話題をそらせた。

「そうね、せっかく巨人になったことだし、
ちょっと、暴れてみようかしら。」


 夏美が、わけの分からないことを言い出す。

「お・・・、おい、何を言っているんだ。」

「大きくなって、小さな家を見てたら、
なんとなく潰してみたくなってきたの。
巨人になった女の子は、暴れたくなるって、
聞いたことがあるけど、どうやら本当みたいね。」

 夏美は、すっと立ち上がる。
夏美は、頭がおかしくなってしまったに違いない。

 俺に、巨大な夏美を止める力など無い。

 俺は、思いっきり焦りまくる。

 あれ・・・、 
家を潰す・・・??

 そう言えば、夏美は家で寝ていたはずだ。
それなのに、いきなり巨大化したということは・・・。

 俺は怖ろしいことに気がつき、夏美の手の端まで這って行き、下を見る。

 とんでもない高さだ。 とても降りられない。

 そして俺は、はるか下の地面に自分の家が、ぺしゃんこになっているのを見つけた。

「うわああああー、家がぁ、俺たちの家があああ!」

 俺は、ショックのあまり大声を出す。

おそらく夏美が巨大化した時に、その巨大な尻に押し潰されたのだろう。

 ご近所の家も、きれいに押し潰されている。
お隣の桜井さんや鈴木さんは、どうなったのか??


「兄さん、何、慌てているの?
家のことなら、すぐに、もっと大きなのを建ててあげるわ。
だって、私は世界の支配者になるんだから。」


 
何、わけのわからんことを言ってるんじゃー。

 俺はパニックを起しながらも、心の中で叫ぶ。

 だが、俺にももう分かっていた。

 ご近所さんを、家ごと押し潰してしまった以上、
もう「ごめんなさい」では済まないということを。

「私は大きくて、誰よりも強いの、
だから世界中の人たちは、一人残らず、私のことを尊敬し、
私の命令に従わなければいけないの。
逆らう人は、みんな踏み潰しちゃうんだから。」


 そんなことを言ったって・・・。

 俺は泣きそうになる。

 しかし夏美は、俺のことなど全く気にせずに言う。

「心配しないで、兄さん。 何が来たって、平気よ。
今の私は、いくらでも大きくなれるんだから。」


「な、なんだとぉ!」

 いやな予感に、俺はさらに焦る。

「ふふふ、見て、兄さん。 もっと、もっと大きくなってあげるから。」

 そう言うと、夏美の体がぐんぐん大きくなり出した。

 それに伴い、夏美の手のひらの上にいた俺も、はるか上空に持ち上げられる。

 俺の体にぐっと重力がかかる。

 空気が薄くなる。 耳が、きーんと鳴る。

「わわーーー!!」

 俺は悲鳴を上げる。

 夏美の手のひらは、今や野球場よりもずっと大きい。

 夏美の身長は、数kmもあるに違いない。

 もうすでに、俺は夏美から見て、蟻よりも小さかった。
ここからは見えないが、夏美の足の下で、たくさんの家が踏み潰されているだろう。

「これは夢だ! 絶対に夢だ。」 俺は叫んだ。

 だが紛れもなくこれは、現実だった。

 夏美は、ますます大きくなる。

 俺は、すぐに巨大な
指紋の間に落ちてしまった。

「夏美ーー! やめろ、やめてくれー!」

 恐怖のあまり、俺は絶叫する。
今、もし夏美が手のひらを傾けたら、俺ははるか下の地面に落とされてしまう。


「心配しないで、兄さんだけは特別扱いしてあげるわ。
いい暮らしをさせてあげるから、期待していてね。」


 天空に夏美の楽しそうな声が響く。


 それから夏美は、ゆっくりと歩き出した。

 すごい震動で、俺の体は跳ね上がる。


 巨大な胸が、俺の目の前に盛り上っている。

 
それは、山のような大きさで、ゆっさゆっさと揺れていた。


「うわー、や、やめろ! やめてくれーー!!」


 これからどうなるのだ??

 もう昨日までの平穏な生活には、戻れない。


 俺はどうすることもできずに、ただ叫ぶしかなかった。






目次に行く 戻る めくる