《 彼女の部屋 》


                                 作  Pz



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白い布の海。
僕は胡坐をかいてその海の只中かに一人いる。
約40メートル前方の、巨大なミッキーマウスを眺めつつ
何をするでもなく、ぼんやりとしている。
身長4メートルのミッキーマウス。
浦安のパレードに出てくるやつよりも大きいかも。
暖かな赤い光。
50メートル上空に明るく輝くランプ。
それは、僕の周囲を明るく照らす。
白い布の海。

そう、僕は10センチの身長となって
彼女、白井留美の部屋、彼女のベッドの上に置かれているのだ。
置かれている・・・。
そう表現する他ない状況だ。
小人になった僕には、彼女の寝室は100メートル四方の
広大な体育館に見える。
その巨大な彼女のベッドの上に、僕は放り出されているのだから。
ズシン、ズシンと、地響きが聞こえる。
物凄い風圧を巻き起こし、40メートル高さはある寝室の扉が開いた。
「お待たせ!剛!」
嬉しさを隠せない、元気いっぱいな留美の声が広大な寝室を震わした。
僕は、部屋の中に入ってきた留美の姿を見てこの後に起こるであろう
わが身の災難を思って憂鬱になってしまう。
白いTバックのパンツ、やはり白いブラジャー。
留美自慢の93センチもある巨乳を、必死の思いで支えているかのごとき
シンプルなブラジャーは、ストラップをピンピンにはりつめている。
1メートル近いヒップは紐にわずかな布切れをつけたようで
秘密の部分のみを隠している。
豊満な肉体を、挑発的に見せ付ける留美。
「・・・少しエッチすぎるかなー?」
唖然とする僕を見下ろし、留美は少しだけ表情を曇らせ
そういった。
真っ白な素肌が透き通るようだ。
留美自身、そのコスチュームが恥ずかしいのだろう、胸元から
両頬まで赤く染めている。
身長35メートルの巨大な彼女を見上げ、僕はただ呆然としていた。

いや、この世界では僕が小さいのだ。
広大なベッドの果てにある、等身大ポスターのような
フレームに入れられている僕の写真。
公園の花時計よりも大きなミッキーマウスの目覚まし時計。
大型の観光バスよりも大きなピンク色の枕。
身長35メートルの彼女。
この世界では、165センチの普通の女性だ。
「・・・どうかしら・・・?」
顔を赤くして、留美は少し声を小さくしてそういった。
両腕をお尻の後ろで組んで、胸をそらし巨大な乳房を突き出す。
さらさらとした、栗色の髪の毛が彼女の顔を半分隠した。
僕がプレゼントした銀のネックレスを胸元に下げている。
「ああ!すごく可愛いよ!」
僕は大声でそういった。
新品の下着に、僕のプレゼントをつけて寝室に僕を連れてくる。
これは、留美のエッチをしましょう、のサインなのだ。
身長10センチ足らずの僕にとっては、命がけの重労働だ。
が、この世のほかの男性が経験できない快楽も得ることが出来る。
そんな体験してみたいかい?

口元をほころばせながら、僕を見下ろす留美。
ぼんやりとベッドの上で胡坐をかく僕。
突然、留美は僕に背中をみせ、後ろに向いた。
真っ白な桃のような留美のお尻。
鮮やかな背中のくぼみ。
鋭角的な腰のくびれ。
栗色の髪は、さらりと音を立ててなびいた。
が、次の瞬間、僕は凍り付いてしまった。
留美の大きなお尻が、僕を目指して降りてきたのだ!
凄いスピードで!
「ばか!やめろー!」
大声で叫んだ。
幅8メートルはありそうなお尻が目の前いっぱいに広がる。
どすーんと、轟音が上がった。
僕は、二メートル近く、ベッドの上を飛び跳ねてしまった。
シーツの上に叩きつけられると、留美の巨大な太ももが
巨大な城塞のごとく、僕の両側に聳え立っていた。
僕は留美の股の間に挟みこまれてしまったのだ。


白い巨大な壁のような留美の太もも。
彼女の体重で、ベッドは深く沈みこむ。
僕はどうかすると、留美の太股の交差点、
エロチックな膨らみを見せる、白い三角地帯に転がり落ちそうだった。
甘い桃の香りが僕の体を包んでゆく。
留美が好きなコロン。
彼女を見上げる。
留美は、表情を消して、股間の僕を見下ろしていた。

大きな乳房は、留美の顔を半分隠している。
と、僕の両側にある巨大な白い城壁・・・留美の太股が動き始めた。
彼女は、僕をまたの間に挟みこもうとしているのだ。
「留美!やめろ!」
僕は彼女を見上げ、叫んだ。
留美の口元がほころび、白い歯が光った。
「うふ!」
肩を震わせ、一回だけ笑う留美。
太股の壁は僕の体を挟み込み、圧迫してゆく。
「剛なんて、股で挟んでつぶしちゃうー!」
太股の隙間から、留美の顔が見えた。
その、愛しげな目から本気で僕を殺そうとは思っていないことは
判っていた。
だが、身長35メートルの巨人のいたずらは、僕にとっては命に関わる。
「力の大きさを考えろよー!お前が遊びのつもりでも、こっちの体は持たないぞ!」
太股の隙間から、留美に向かって叫んだ。
両足を広げ、僕は解放される。
が、今度は大木のような留美の指が僕の体を包み込み、
一気に15メートルも持ち上げられた。
少し表情を硬くしている留美の巨大な顔が目の前に現れた。
「剛、いつも乱暴に私の服を脱がせていたじゃない。
それに、凄くきつく抱くの好きだったわよね・・・。」
吸い込まれるような黒い瞳が睨みつけている。

「ごめんよ。でもね、命に関わることはしなかったろう!」
必死に叫んだ。
留美が、その指を離せば、僕は15メートル近く落下してしまう。
命はない。
無言の留美。
「ううん。あのね、ちょっと気持ちよかったの!乱暴にされるの!」
ふふ、と笑い出す留美。
留美の右手につままれたままの俺は、そのまま彼女の顔の前に
持ち上げられていった。
鮮やかな赤い唇。
お気に入りのルージュが、つややかに光る。
表情を消す留美。
俺は掴まれた胸が苦しくなってきた。

「留美、ちょっと苦しい・・・。」
と、言い終わらないうちに真っ赤な唇に体を押し付けられた。
「ん・・・うん・・・。」
全身を唇が蹂躙してゆく。
ピンク色の下がにゅうっと、突き出され、
俺の体を嘗め回す。
体中が留美の唾液でべたべたになった後、
また彼女の下腹部と太ももの間に下ろされる。

ぼっちん、と、ブラジャーの金具がはずされる音がした。
留美の聳え立つような上半身を見上げ、
ドームのようなブラジャーを凝視した。
ぶるるん、と、見事な白い乳房が巨大なブラジャーから
溢れるように踊りだす。

「へへー。今度はおっぱい!剛、好きだったわよねー。」
また右手でつまみ上げられる。
左の腕で寄せられた巨大な乳房の谷間。
さすがに大迫力だ。
「おっぱい星人め、留美のおっぱいで気持ちよくさせちゃうぞ!」
と、言うや否や留美は乳房の谷間に俺を挟んだまま
両手で乳房を押し付けだしたのだ。

凄い圧力だ。
白い肌がせりあがり、俺の頭の上まで白い乳房の壁が出来上がる。
コロンの香り、留美の汗の匂いと。
顔を横に向け、何とか呼吸を出来るようにする。
と、無重力感。
どすーん、と衝撃が体を震わす。

彼女が体をベッドに横たえたのだ。
「剛、お願い・・・。」
乳房の山の上にちょこん、と座らされ
隆起した乳首を両腕で抱え込む。
熱い留美の吐息が俺にまでかかる。
乳頭はややくすんだピンク色をしている。
50センチの高さ、直径は20センチ。
齧るように愛撫する。
もう片方の乳房は、留美が乳首を自分で刺激していた。
片手が、彼女の股間に伸びている。
くチャくチャと淫靡な音が轟いた。

留美の呼吸が荒くなってきた。
いよいよ次は、彼女の秘密の花園への突撃だ。
乳房の山から、またしてもつまみ上げられ留美の
洞窟に一気に連れてゆかれる。

パンツは紐が解かれ、留美の洞窟は丸見えだった。

2メートル近い女性の部分。
気味の悪い海洋生物みたいだ。
たっぷりと濡れているそこに、俺は留美の指で強く
押し付けられた。
大木のような留美の指が器用に彼女のお豆を刺激しながら
俺の体を洞窟に押し込み始める。
留美の愛液が一気に体にかかる。
足から彼女の洞窟にぬるりと入ってゆく。

15分。
一時間にも感じられた。
留美の愛液が洪水のように噴出したとき、
彼女がイったのを知る。

全身粘液まみれだ。
大渓谷のような留美の太ももの間を、よろけながらボクは
足元に向かって歩いた。
彼女の足首を通り過ぎ、シーツを伝って
フローリングの床に下りる。
シャワーを浴びたい。
留美はまだ、ベッドの上で余韻を楽しんでいるのだろうか。

ズシン、と床が震える。
白い二本の足が、ベッドから床に下ろされたのだ。
留美が起き上がった。

トロン、とした目。
床の上で立ち尽くすボクをとられると、
その目はまた欲深な光をたたえ始める。

グワア、と、ベッドがきしみ、ズシン、ズシンと地響きが起こる。
留美が僕に向かって歩き出したのだ。
身長35メートルの巨人女は、たったの三歩で僕を股の下に捕らえた。

無言でボクを見下ろす留美。
少し足を開き、乳房の谷間から留美の少し赤くなった顔が覗いている。
彼女は両手で大きな乳房を刺激し始めた。

「・・・もう終わりなの・・・?留美、まだ気持ちよくなってないよ・・・。」

なんと欲深な女なのか。
僕の体力は限界だ。
この後は、いつもどおり僕の体を使って一人でエッチを始めるのだろうか。

ブワッ、と風が巻き起こった。
甘いコロンと留美の愛液の入り混じった空気が僕の体に吹き付ける。
目の前に巨大な脹脛が轟音を立てて倒れこみ、
続いてその上に白い太ももが折り重なった。
留美の体重を受けて、太ももはエロチックな丸みを形作りながら
横に押し広げられた。

またしても僕は留美の太ももの間に閉じ込められたのだ。
しかし、今度は様子が違った。

留美は四つん這いになり、僕を体の下に捕らえたのだ。

栗色の髪の毛がばさりと、床にたれた。
大きな乳房は重力のために釣鐘型になり、いっそう巨大になっている。
太ももはちょっとしたアパートのように大きく聳え、白いお腹は
まるでそれ自体が巨大な屋根のように
僕の頭上を覆った。

頭を床スレスレに下げ、僕を見つめる留美。

足がすくんでしまった。
巨大な二つの乳房をゆらゆらと揺らし、留美はそれを僕の頭の上に
翳してきたのだ。

ずんずん、と、地鳴りを上げ、留美は体の位置を変えた。
そして胸を床に近づけ始めたのだ。
二つの巨大な乳房の山が目の前一杯に広がった。

一抱えもある乳首が、僕を突き飛ばす。
「おい、留美!乱暴はやめてくれ!」
床にたたきつけられ、僕は本気で怒鳴った。

が、次の瞬間、乳房が僕の上にのしかかってきたのだ!
物凄い重量だ。
硬く隆起した乳首が胸を圧迫する。
ピンク色の乳輪が僕の顔に押し付けられる。
白い乳房が横に押し広がり始め、僕の全身を覆い隠し始めた。

「留美!押し潰す気か?」
両腕で巨大な乳房を押し返そうと無駄な努力を実行しながら僕は叫ぶ。

この巨大な乳房の持ち主は無表情に僕を見据えていた。
乳首で床に寝そべる僕を小突き回し、その膨大な重量の
乳房を押し付ける。
数百トンにも感じられるこの二つの巨大な肉体の山は
僕の体を散々いたぶる。
二つの乳房の間に挟まれ、押し潰される。
窒息寸前で、乳房の山がスーッと、上に上がってゆく。
また乳首で小突かれ、白い乳房の山に押し潰される・・・。
この繰り返しを数分も続けていった。
留美の右手がまた僕を掴みあげた。

またしても、僕をおもちゃにして留美は、一人で始めてしまったのだ。



浴室でシャワーを浴びる留美。
洗面所で僕は湯に浸かっていた。
ハードな一日が終わろうとしている。

留美は美しい女性だ。
彼女を恋人に出来たのは嬉しいことだった。

だが、僕が身長10センチ足らずの小人になってしまうと話は別だ。
巨人女と付き合うなんて、考えても見なかった。
留美からしてみれば、彼氏が小人になるなんて信じられなかっただろうが。

お互いに不幸なことだ。
しかし、留美は明るく、優しく僕と付き合ってくれている。
命がけのエッチのとき以外は。

浴室から出て、体を拭く留美をぼんやりと見上げる。
「なに見ているの?」
ちょっと恥ずかしがりながら、留美が僕を見下ろしそういった。
「留美、綺麗だよ!」
そう叫んだ。
留美ははにかむように微笑む。


ジーンズとシャツをつけ、僕は靴下を探した。
彼女の部屋の床の上。
留美はどこにいるのか。
広大な彼女の部屋の中を歩くのは一苦労する。
更に、彼女にうっかり踏み潰されないとも限らない。

靴下を履き、身支度を整える。
留美が現れるのを待つことにする。
ズシン、ズシン、と、床が震え始め地鳴りが起こる。

「剛、お家まで送ってあげる!」
薄く化粧をして、お気に入りのプリーツスカートに、ブラウス、
レザージャケットを着た留美が目の前に現れた。
ベージュのパンツ、ストッキングのガーターベルトが丸見えだ。
「ええ!」
僕は驚きのあまり、それしかいえなかった。

床に呆然と立ち尽くす僕を掴み上げ、留美は大きく開けたブラウスの
胸元に僕を放り込んだ。
深い胸の谷間に僕は挟み込まれる。
ズシン、ズシン、と留美は玄関に向かって歩いていった。

ドスン、と座り込みよく磨かれた黒いブーツを履く留美。

僕はベルトのポーチに付けた緊急無線のスイッチを入れた。

「私だって、たまには外に出たいのよ。剛、私を止められる?」
ブーツを履き終わり、胸元の僕を見下ろし留美が言った。

「・・・留美、やめてくれ・・・。」
僕はそれしかいえなかった。
少しだけ微笑む留美。
「こんな異常な世界に入り込むなんて・・・。私気が狂っちゃうわ!」
語気を荒げ、留美は叫んだ。
スティール製のドアを勢い良く明けた。
明るい日差しが彼女をつつむ。

留美のブーツが、グシャリ、と彼女の足首にも満たない
大きさの二階建て住宅を踏み潰した。
ズシン、ズシンと地鳴りを上げ、留美は歩き出す。
まるでミニチュアセットの中を歩いているようだ。

しかし。街が小さいのではなく、この世界においては
留美が巨人であったのだ。


街にサイレンが鳴り響いた。
半径1500メートルの無人地帯と、その外側3キロ圏内に
避難命令が発せられた。

無人地帯の中心に聳え立つ巨大なアパート。
丁度、普通の建物の25倍のサイズのそれは、ある日突然出現した。
そのアパートに住む、一人の女性とともに25倍の大きさに巨大化してしまった
それは、周囲の住宅を押し潰し、そこに現れたのだ。
まったく未知の現象だった。

そのアパートのたった一人の住人は、その日、半狂乱となり小さな街を
踏み壊して歩いてしまったのだ。

彼女が正気を取り戻したのは、そのアパートで普通に生活が出来ることが
判ってからだ。

恋人である僕は、国から彼女の恋人であり続けるよう命令されてしまったのだ。
彼女を本気で愛してはいる。
だが、巨人の彼氏になることがこんなに危険だとは思わなかった。

気晴らしに留美はこうして、街に出る。
囚人ではないので、部屋の中に一生閉じこもるなんて無理な話だ。

ブラウスの胸元から僕は留美の足元を見下ろした。
すでに、何度も留美が歩き回った無人地帯は、
多くの建物が踏み壊され、乗り捨てられた自動車がペシャンコに
踏み潰されていたのだった。

更に彼女のブーツは多くの建物を踏み壊す。
「留美、いつものところでいいからね!」
留美を見上げ、僕は叫んだ。
「今日は剛のおうちまで送ってあげる!」
とんでもない話だ。
避難が終わっていない街の中に入られては又、死者が出てしまう。

「ダメだよ。スカートの中、大勢に覗かれるぞ!
俺以外の人にみせちゃだめ!」
留美は少しだけ微笑んで僕を見下ろした。

「よし。それならここで下ろしてあげる。」
胸元から僕を掴み上げ、彼女はブーツの下に僕を下ろした。

瓦礫の山となった商店街跡。
留美を見上げ僕は叫ぶ。
「明日、また遊びに行くよ!」
「仕事終わったら、メール頂戴ね!」
留美は声を弾ませそういった。

「浮気したら・・・。街ごと剛を踏み潰しちゃうからね!」
笑いながら不気味な台詞を街に轟かせる留美。

くるり、と、巨大アパートに向きをかえ、地鳴りをたてながら歩き去る留美。

僕はがっくりと膝をつき、彼女の後姿を見送った。
一生を、彼女のおもちゃになって過ごさねばならぬのか・・・。

国がこの異常事態を研究している。
解決される日・・・。
何時になるのか。

やがて、留美も結婚を切り出すだろう。
一生を彼女のペットと運命付けられるその日まで、
僕の体は持つだろうか。

瓦礫の中に大の字になって横たわる。
留美の巨大な体で踏み壊され、押し潰された建物、
自動車。引きちぎられた電線。
大きな足跡が道路を穴だらけにしている。
煙草を取り出し、それに火を着けた。
深くそれを吸った。

留美との将来・・・。
巨人女の彼氏・・・。
何て人生なんだろう。
途方に暮れ、ただぼんやりと僕はそこに横たわり続けたのだった。


                          
                                     完





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