完全なる人間 (第1章)
機械仕掛けの神・作
笛地静恵・訳
----------------------------------
「わたしは、人間である。
そして、わたしにとって、人間ほど未知なるものは、他にはけっして存在しない。」
(テレンス・紀元前185〜159年)
@@@@@@@
その男は、最後のポテト・チップを食っていた。 ゆっくりと噛み締めていた。
本当のことを言えば、彼は何をするのにも、ゆっくりとしたペースを崩さなかった。
ここ二年間というもの、ほとんど言葉を話すことのない、沈黙の存在だった。
あの実験が、恐ろしい結果をもたらしてからというもの、同じ日々が続いていた。
八月の雨模様の夜だった。
彼は人間だったけれども、その生活は人間性の寄与してくれるさまざまな幸福とはまったく縁がなかった。
体格においても、行為においても、他のあらゆる側面から判断しても、
かつての彼は、その外見にふさわしい正真正銘の人間だった。 26歳だった。
今は、素裸で原始人のような容貌風体をしていた。
しかし、明らかに現代人としての特徴を備えていた。
たとえば、その片方の眉は、ときどき、いかにも現代人風にシニカルな上げ方がなされた。
飢えていた。 食料が不足していた。 身長は、5ミリメートル足らずだった。
このような姿になる以前の生活について、思い出すことはほとんどなかった。
その人生では彼の名前は、ジャコブといった。 大学院を卒業したばかりであった。
「理論生物学研究所」の研究助手を勤めていた。 国防総省から、奨学金をもらっていた。
そこで、機械装置から光線を照射されてしまった。 軍隊の兵士どもから、逃亡した。
逃亡者としての生活が始まった。 縮小は続き、恐怖は増大した。
現在は、都市の住宅地域の、ある古いアパートメントの一室に、寄居している。
かつては、人間としての生活があった。 現在、彼の生は、一匹の昆虫のそれだった。
* * *
現実的なことを言えば、彼がここを選んだ原因は、一般社会から隔絶した、静かな環境にあった。
家は、大学院生によって、借りられていた。 がいして清潔な習慣を持つ男達だった。
そう、若い男性としては、だ。 だから、食料を入手することには、それほどの困難は伴わなかった。
最初の日々は、パーティが大きな問題だった。
しかし、男はすぐに壁の内部に通じる、自分だけの通路を作っていった。
彼自身のために、アパートの壁の中に、もう一つの住居を設営していった。
リヴィング・ルームとキッチンの間の壁の中だった。
この隠し砦を造り終えると、たとえどのようなイベントが実施されようと、
それは生存のために新しい食料をえるための、絶好の機会に他ならなかった。
男たちは、映画と音楽についても、良い趣味を持っていた。
しかし、彼等は大学院生だった。 当然のことながら、次々と卒業して行った。
それが一ヵ月前からのことだった。 かつがつ一ヵ月の間は、誰かが住み込んでいた。
しかし、最後の一人が、七月の第4週の末に引っ越していった。
男も、それなりに準備はしていた。 男たちが移転していくことを、知っていたからである。
見付けられるかぎりのすべての物資を、貯蔵しておいた。
一ヵ月は生存できるだけの食料を、壁の内部に貯えた。
その一ヵ月が、過ぎ去ろうとしているのだった。
男は管理人が、この場所を何回か見にきているのは知っている。
しかし、新しい間借り人が、いつ引っ越して来てくれるのかは、まったく分からなかった。
男は、ポテトチップを食いおわった。 考えていた。
食料がなければ、自分が数日間しか生きていられないのは、良く分かっていた。
水を手に入れることは出来た。
アパートメントの外部の世界が、彼の約四百倍の巨大さを持つことも、良く分かっていた。
ここを出ていく時が来たことは、分かってはいた。
しかし、後一週間だけは我慢してみるつもりだった。
夜が更けてきた。 ふんわりとした綿ぼこりの中に丸くなった。
そして、眠りについていた。
* * *
わずか一夜だけ、待てば良かったのである。
足音の轟音が、壁を伝わってはっきりと聞こえて来た。 朝が訪れていた。
壁を通して、音は伝達されて来た。 音の正体を、見極めることは出来なかった。
壁は音を吸い込んで、声の波長を変調させていた。
彼のちっぽけな耳には、人間の声はそのままでも、罅割れて歪んで聞こえるのだった。
傾斜賂を下ると、リヴィング・ルーム側の口から外に出た。
出口といっても、本当は小さな板の、釘の抜けた穴に過ぎなかった。
床から、一メートル二十センチぐらいの高さに開いていた。
彼にとっては、屈み込めば、スムーズにくぐり抜けられる直径のある、穴だった。
傾斜賂と、梯子、それに縄梯子の複雑な順路をたどって、ここに下りてくる迄には、
平均一時間を要する。 自分自身の力だけで、設営したものだった。
九十センチを下山したが、これは、人間にとっては約三百六十メートルの距離に匹敵する大移動だった。
それでも、さして疲労も感じずに広大な空間に出た。
部屋には、だれもいなかった。 驚くべきことではなかった。
声と足音が、ともにどこかに立ち去って行く音を耳にしていた。
たぶん、車に戻り、荷物を運んでくるのだろう。 それに疑いはなかった。
以前よりも、家具類はすてきなものに変化していた。
しかし、まだ貧しい大学の学生らしい、慎ましさがどこかしらに漂っていた。
内心では、子供連れの家族が、この場所を賃貸してくれないかと希望していたのだ。
理想的には、こどもは二人が望ましい。 そうすれば、彼等がたっぷりと汚してくれる。
(男はそう確信していた。)十分な食料を、容易に調達できるはずだった。
玄関のドアの方向から、轟音を振り撒きながら、巨大な人間が接近してくる音を聞いていた。
振り返った。 最初に、新しい同居人を見る機会だった。
彼女は大股に、入り口を入って来た。 胸元には、大きな箱を抱えていた。
最初は、信じられないような長身に見えた。
しかし、周囲の情況との比較が出来るようになると、彼女は妖精のように、
小柄な体躯だということが分かってきた。
かろうじて、百五十センチを少し越えるぐらいだろう。
短くて、柔らかいブロンドの巻き毛が、無造作に顔に掛かっていた。
彼女は、真っすぐに男が隠れている場所に歩いて来た。
箱を下ろすために、そっとしゃがみこんだ。
真っすぐに彼女の顔を見上げていた。 優しく甘いメロンの香がした。
シャンプーの匂いだろう。 それは、彼の頭上から雨のように降り注いでいた。
彼は、ショックでふらふらしたが、かろうじて真っすぐに立っていた。
彼女が立ち上がった。
青い瞳が見えた。 小さな丸い鼻。 その口元。 その顎、その乳房が……。
彼は、すぐに俯いていた。 呼吸が荒くなっていた。
どう考えていいのか、判断が付きかねていた。
彼の半身は、こう考えていた。
「畜生、女の子達じゃないか。 きっときれいずきだぞ。 厄介なことになりそうだ」
別の半身は、もっと何か別のことを考えていた。
それが何なのか、自分にも分かっていなかった。
彼女が、立ち去っていく。
後ろ姿を眺めるのに、充分に間に合うように、顔を上に上げた。
彼女の引き締まった、形の良いお尻を眺めていた。
印象的な光景だった。
彼女が、向かっていく方向に、もう一人の、やはり女性がいた。
長身だった。 赤毛を肩まで伸ばしていた。
体育会系の、筋肉質の引き締まった直線的な体型をしていた。
ブロンドの曲線美と、好対照をなしていた。
しかし、二人とも充分に魅力的な外見をしていた。
それから、三番目だった。 赤毛よりも小柄だった。
長い茶色の髪に眼鏡を掛けていた。
他の二人と比較すると、やや魅力に欠ける感じがした。
しかし、それでも、きわめて清楚な容貌の美人だった。
彼は、ひたすら注視していた。
半身の、食料に対する不安は、どこかに吹き飛んでいた。
* * *
その夜は、男にとっては極めて満ち足りたものだった。
少女たちが、ピザを注文してくれたことが、事態を好転させていた。
彼女たちは、床に直接に座っていた。
四人全員は、(そうは言っても、誰一人として、彼の存在に気が付いてはいなかった。
彼は、賢明にも必要な距離を充分に保っていた。 特に彼女たちの長い脚からは。)車座になっていた。
彼には、まだ食料を確保するチャンスはなかった。 もちろん、壁の板にくっついていたから。
あの脚の一本に、不注意からでも接触したら、何の手段も困じられないうちに、
自分の運命は即座の死だと、はっきりと分かっていた。 男は飢えに耐えて、じっと動かずにいた。
安全に生きる方を、選択していた。
「それで、どう思う?」
ブロンドのジュリーという女性が言った。
彼女は、ちょっと舌たらずのしゃべりかたをした。
無意識にだが、セクシーな媚が口調に現われていた。
短いショーツと、Tシャツという軽装だった。
それは、素晴らしいお尻の形を、さらに明瞭に見せていた。
彼女は、彼から一メートルと少しの場所に座っていた。
彼の視界を、彼女の左脚がほとんど占めていた。
「すてきな場所じゃないかしら。 ただ暖房費が、負担にならないか、心配なだけね」
ジェインは、それだけを言った。
ブルネットは、ピザの箱を挟んで、彼とは対角線の向こうに座っていた。
「そうでもないと思うわ。 ここが気に入ったわ」
これらの言葉は、ケイトのものだった。 赤毛の少女だった。
彼の視野に、その下半身があった。 肌にぴったりとしたジーンズに包まれていた。
両脚は、その大きな尻の下になるように折り畳まれていた。
少女たちは食事を終えると、彼には重大な関心事である話題を、何気なく口にしていた。
「この箱は、捨てちゃった方が良いかしら?」
ジェインがそう尋ねていた。
「いいわよ、明日まで、こうしときましょ」
ジュリーが答えた。
三人が一度に立ち上がった。 それぞれにベッドルームに歩き始めた。
大地震が発生したような大騒ぎだった。
6本の素脚が、眼前を通過していった。
身長六百メートルの美女たちが、重い腰の錨を上げて立ち去った後では、
彼だけが暗黒の中に残されていた。
彼は、箱の中に入っていった。 掠奪されたピザの残骸があった。
しかし、なお彼を数年間養えるだけの、チーズとソースとオリーブが残っていた。
もし、彼女たちの生活態度が、あまりきれい好きではないならば、少しは親愛感を持ってやっても
良いかな、とは思い初めていた。
* * *
次の日、男は眠っていた。
一晩中、働いたのだった。 出来るかぎりピザの固まりを、運搬していた。
少女たちが、本当にだらしないかどうかは、まだ判断が付かなかった。
その手の届くところに、食料があるかぎりは、出来るかぎり貪欲でなければならないと、心に決めていた。
それが、この世界で生き残るための大原則だった。 それを厳守して、生存してきたのだった。
夢を見ていた。
* * *
夢には、無意識の抑圧という関門が設けられていた。 それを押し開いて、中を覗いてみよう。
男の夢は、この場所に辿り着いた原因となる、ある日のある時に戻っていた。
彼は、ある装置を見た。 火花が散って、技術者が逃げ惑う様子を見ていた。
自分がデビー(彼のガールフレンド)を逃がそうとして、背中を激しく突き飛ばしている光景を見ていた。
その瞬間に、あの光線に照射されてしまったのだった。 胸部の全体だった。
胃が反転し、世界が裏返しになっていくような、異様な感触があった。
そして。 大佐の笑顔があった。
「私達は、君の身体を、研究する必要があるのだよ。 ジェイク君。
君は、プロト・タイプなのかもしれない。 ああ、その通りだろう。 君。
CIAのために働くつもりはないかね? 悪いようにはしないよ」
信じるに足りない言葉だった。
それで、彼は逃げた。 逃げた。
周囲の世界が、大きく、大きく、大きく……。
彼は、この場所に辿り着いた。 彼の家に。
その時の彼は、十五センチメートルの身長のある巨人だった。
裏口のドアを、自力で開けられたぐらいである。
パーティが開催されていた。 小さな樽の後に隠れた。
そして、酔っ払った男が、同じように酔っ払った女達に、殴り掛かっている光景を見た。
その間にも、彼等は大きく、大きく、大きくなって行った。
彼等の靴底さえ、彼の頭上に聳えたっていった。
そして、一足のスニーカーの靴の裏が、頭上に落下してくるのを見た。
美しい少女が、それを履いていた。 彼女の名前は、思い出せない。
彼がそこにいることにさえ、まったく気がついていなかった。
彼は、絶叫していた。 靴は、かろうじて彼を反れていた。
しかし、靴によって巻きおこされた突風が、部屋の隅にまで彼を吹き飛ばしていった……。
そして、目を覚ました。
* * *
夜の六時半になっていた。 キッチンのシンクで水道を使う音が、壁を通して伝わって来た。
彼は頭を振った。 過去の悪夢の再現は、願い下げだった。
彼にとっては、過去も未来もなかった。 現在だけがあった。
チーズの欠けらを齧っていた。 これは保存が効かない。
そのことが、はっきりと分かっていた。 それで、最初に食べることにしたのだった。
クリスマスツリーの、飾り付け用の電球をひねった。
アパートメントの内部を、明るく照らしだした。
それは、危険な仕事だった。 彼の電気の知識では。
しかし、家のメインパワーに、電線を接続する工事に、成功を収めたのだった。
極微量の電気を、拝借していた。
光は、自分が人間であることを、僅かばかりだが、思い出させてくれたから。
しばらく掃除をした後で、自分でも、何か分からない衝動に突き動かされるままに、探険を決意した。
いくらかの道具と食料を持った。 ちっぽけなピザのかけら。
水を一滴。 明かりを消すと、出口への通路に向かった。
通路は、床板の間の溝だった。 幅は充分にあったが、高さが少し不足していた。
そこにいれば、発見される心配はなかった。
床板を引き剥がされないかぎりは安全な場所だった。
彼は、外界に一歩を踏み出した。 周囲を眺め渡した。
ダイニング・ルームの方角に出ていた。 明白に無人だった。
音楽の音が、リヴィング・ルームの方角から聞こえていた。
ベッドルームを順番に覗いて見ることに決めた。
この行動に、自分なりに次のような理屈を付けていた。
もし、家具が移動されているのならば、その位置を正確に把握しておく必要がある。
隠れ場所がどこにあるかは、正確に把握して置かなければならない、
緊急にして重要な意味を持つ作戦だった。
彼女たちの一人が眠っている光景を、その眼で見たいのだという意見には、
決して賛成出来なかったことだろう。
本当は、彼女たちと夜をともに過ごすことで、たとえ幻想であっても、彼は彼女たちのもので、
彼女たちは彼のものであるという実感を、得たかっただけなのだが。
一番近いベッドルームの方角に、進路を決めていた。
この場所を決定したことにも、一つの理由があった。 決して廊下を横断したくなかった。
ただ壁に沿って、ひそかにドアまで移動したかった。
それは、数回、試している冒険旅行であった。
何かの生きもののような音を出さないように、細心の注意を払いつつ、壁に沿って進んでいった。
キャビネットの下にいた。 少女たちが、新たに部屋に設置してくれた。
下から見上げると小さなドーム状の天井を持った隠れ家だった。
玄関のホールまで、優に一時間の徒歩旅行だった。
それから、また数百メートル分、廊下を踏破した。
ついに最初のベッドルームに到着した。 長い旅だった。
辿り着いた時には、部屋は薄暗かった。
ただ、家の他の部分を照らしている光の反射で、かろうじて明るかった。
壁沿いに、小さな山一個分の大きさがあるドレッサーに接近していった。
そこから途方も無く広大な部屋を、展望していた。
趣味の良い飾り付けがなされていた。 決して華美ではなかった。
床の中央に絨毯があった。 その下の木の床にあった、汚れを隠していた。
絨毯は、そこからさらに、ベッドにまで続いていた。
すてきなダブル・サイズの大きなベッドだった。 白い木のナイトスタンドがあった。
男は、室内を見渡した。 もう少し、見物をしてやろうと心を決めた。
ナイトスタンドまでの徒歩旅行は、容易だった。
唯一の障害は、彼女の時計に繋がる電気コードだけだった。
この縮小された肉体にすら、いくつかの顕著な利点があった。
より早く、より強く、そして、より耐久性に勝れていた。
もちろん、そのスケールに比してという話であるが。
テーブルの上を見渡した。 特記すべき事項は何もなかった……。
いきなり、天井の照明の光に目が暗んでいた。
最初の衝動は、逃げろというものだった。
しかし、あまりにも小さいから、発見される恐れなどあるはずがないのだと、自分自身を安心させていた。
とにかく、手探りで、目覚まし時計の近くに戻った。 ドアの方を振り向いた。
ジュリーだった。
ショーツと、大学名の入ったTシャツという軽装だった。
彼女は、背中のカバンを下ろすと、後手にドアを閉めた。
年はいくつなのだろうか。 19歳? それとも20歳?
一年生ではなかったはずだ。 女らしい体の発育からして、三年生にはなっているだろう。
彼女が、今、どんな本を読んでいるのか、興味があった。
今夜は、さぞかし、いろいろな発見があることだろう。
次の新たな情況の変化は、まったく予期していなかったものだったが。
ジュリーは、もう一度確認するように、右、左と外の廊下を見回していた。
それから、ドアに鍵を掛けた。
一連のすばやい動作で、靴を蹴飛ばすように脱ぎ捨て、シャツとショーツを脱ぎ、
さらにブラとパンティを取った。
男の顎が、がくんと落ちた。
彼は、今までも彼女のことを、セクシーな少女だと考えていた。
しかし。 神様。
彼女は、ほんとうに非の打ち所のない肉体の持ち主だった。
彼女が、ベッドの方に歩いてきた。 そこに座り込んだ。 彼の方に顔を向けていた。
ナイトスタンドの方に、手を伸ばして来た。 引き出しを開けた。
スタンド全体が、その衝撃を受けて、鳴動していた。
彼をノックダウンしていた。 だが、すぐに顔を上げて、彼女の方を見た。
引き出しの中から、ゴム製の円筒状の物体を取り出しているところだった。
全長は、60メートルぐらいはあるように見えた。
注意深く挿入していった……。
おお、神よ。
彼女の女陰は、彼の視線の高さよりも、やや下方に位置していた。
厳然として実在していた。 ちょうど、フットボール競技場一つ分の距離を置いて。
映画の巨大スクリーンのサイズがあった。
内部に優しく探りをいれるように、円筒の先端部分を動かしていた。
雄大無比な効果を引き出した。
ことを終える迄に、数分間しかかからなかった。
丁寧にシリンダーを拭った。 引き出しに戻した。 立ち上がった。
部屋から出る前に、テリークロスのローブを身にまとった。
男の口の中は、からからに乾いていた。
肺は、空気を求めて激しく喘いでいた。
ここに来たばかりなのに、彼女の大ファンになっている自分を発見していた。
しばし熟考していた。
ついにナイトスタンドの上に、留まることを決意していた。
*******
完全なる人間
第1章・完