巨大美少女ミカ (20)

           (不運な泥棒 改題)

                           NEW2さん みどうれい作

第二部 不運な船員さん達(その5)

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 昨晩、剛は「夜の闇の中」で、二度も、巨人ミカと遭遇している。
どちらも、剛は、彼女の巨体の気配を感じただけで、後も見ないで逃げ出した。

 しかし、それだけで、彼のことを臆病者だと言うことはできない。
こればかりは、経験した者でないと分からないだろう。

 闇夜に潜む巨人ミカの迫力は、あまりにも凄まじすぎた。

 津波や雪崩が押し寄せて来た時、誰も、それを自力で押し戻そうと考えたりしないだろう。
人の力ではどうやっても抵抗できない。

 ミカの力は、そういった「超自然的な力」の領域にまで達していた。
彼女に出合った者は、命があるうちに、そこから逃げる以外「選択の余地」はないのだ。

 ところが、先刻、孝治がミカの術にかかってしまった時、剛はそこから逃げなかった。
彼は、いったい、何を考えていたのだろうか。

 剛は、美味しそうに食事をするミカを見て、「彼女と理解しあえる」と考えたのかもしれない。
この女巨人は・・・悪い奴ではない、と・・・。

 しかし結果として言うなら、巨人ミカは、剛が考えている程、甘い相手ではなかった。


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 「こびとさんサンドイッチが、朝の食事のメニューだ」と、巨人が言った時、剛は焦った。 

 な、な、な、何・・・・、何を言っているのだ? この女巨人は。

 だが、この時、剛は、もう自分がどうされるのかを理解していた。
すぐに、ミカの巨大な手が剛の方に伸びてきて、彼は摘み上げられた。

「な、何をする、やめろぉおぉーーー!!」
 なすすべもなく巨人の指に囚われた剛は、悲鳴を上げた。

 高校時代、レスリング部に所属していた彼は、腕力に自信があった。
普通の男が相手なら、同時に3〜4人と喧嘩をしても、負ける気がしなかった。

 しかし、もちろん、ミカの力の前には、人間レベルの力自慢など、全く意味のないことだった。

「くううぅ!! うおおおお!!!」
 剛は、全力でミカの指から自由になろうと、もがいたが、無駄だった。
巨人ミカの手の中で、剛は、生まれたばかりの鳥の雛よりも非力だった。

「こびとさんサンドイッチを作るのは・・・、とっても、簡単なの。
生きのいいこびとさんを、捕まえて裸にして、テーブルの上の二枚のパンに挟むだけ・・・。
ふふふふ、ぴくぴく動くこびとさんを、生きたままサンドイッチにして食べるのよ。
あ、あぁん、 それは、とっても、とっても美味しいと思うわ。」
 ミカが、勝手なことを言う。

 巨人の指は、剛のシャツを、むしり取った。
「うわあぁぁ!! な、何をするぅう!!」  彼は悲鳴を上げた。

「何をする、ですって・・・? あなたは、私の話を聞いていなかったの?
『こびとさんサンドイッチ』を作るには、最初に、『生きのいいこびとさん』を、裸にするって・・・、
私は言ったじゃない。
 だぁって、あなたのカラダは、とっても美味しそうだけど、
あなたのシャツやパンツを食べても、あまり美味しくなさそうだもん。」
 ミカは、あはははははは、と笑った。

「うわあああああ!!!」 ミカの指が、剛のズボンに伸びてきた時、彼は悲鳴を上げた。

 巨人ミカの指は、剛の体よりも大きかった。
それなのに、彼女の指は、器用にも剛のベルトを緩め、ズボンを脱がせようとした。
こんなに太い指で、どうやったら、こんなことができるのか? 何かの術を使っているのか。

 巨人は、とても嬉しそうにしていた。
彼女が、剛の服を脱がせるというシチュエーションを、楽しんでいるとしか思えなかった。

「や、やめろー!!!!」 剛は、自分のズボンを両手で押さえて、必死に抵抗した。
 だが、巨人の力は強く、剛のズボンを指先で摘むと、そのまま引き剥がした。
その時、彼の靴と靴下まで、いっしょに、何処かに持っていかれた。


 先刻、岩山の前で、ミカが譲治の服を脱がせた時、譲治は全く動けなかった。
譲治は、硬い岩すら簡単に砕く巨人の指の力を、見せつけられたのだ。
 巨人に逆らっても、ただ自分が潰されるだけだ。 譲治は、恐ろしくて動けなかった。

 しかし、今回は、剛の場合は、譲治とは、少し状況が違っていた。
巨人は、「剛を裸にして、パンに挟んで食べてしまう」と、言っているのだ。

 すなわち、剛にとって、服を脱がされることは「完全なる死」を意味した。
これで、抵抗しないわけには、いかない。

「や、やめろー!!!!」 剛は暴れ、もがいた。

「うふふふふ、可愛いお尻・・・。」
 ミカは、パンツ一枚になった剛の臀部を、指で軽くつついた。 

「うわああああああーーーーー!!!!!」
 ミカに太い指でつつかれた時、彼は恐怖の悲鳴を上げた。
驚いたことに、巨人の指の感触は、とても気持ちよかった。

 あ、あぁ・・・、 このような非常識な状況にもかかわらず、剛は、快感の声を出した。
しかし、巨人ミカは、そのまま、剛を楽しませるつもりなど、全然なかった。

 すぐに巨人の指が、剛の身につけた最後の肌着を、器用に摘んだ。
それを引き剥がすつもりだ。

「ひぇえええーーーーー!!! やめろ、やめてくれーーー!! (>_<) 」
 剛は最後の力を振り絞って、彼のパンツを両手で押さえた。
これを脱がされた時が、彼の最期なのだ。

「あらあら、私が『裸になったこびとさんを、サンドイッチにして食べたい』って、
言っているのに、あなたは、どうして、おとなしく服を脱がさせてくれないの?
 あなたは、この私に、パンツを食べろと言うのね?
あ、あーーん、 あなたは、とっても悪いこびとさんだわ。」
 ミカは、剛の無意味な抵抗を楽しみながら、無茶苦茶なことを言った。


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 この時、孝治は正気に戻った。  目の前に巨人がいた。

「わ、わわわわあああ!!!」 驚いた孝治は、巨人と反対側に逃げようとした。

 だが、テーブルの端まで走った孝治は、自分のいる場所の高さに、愕然とした。
すごい高さだ。 地面に飛び降りても、死ぬだけだろう。
 孝治は、巨人のテーブルの上に囚われていた。 どこにも逃げられない。

 この時、剛の悲鳴が聞こえた。 孝治は全てを理解した。
俺は、巨人の術にかかってしまった・・・。 そのために、剛まで捕まってしまった。
 俺のために、俺のために・・・、剛が、巨人に喰われようとしている。

「うおおおおおーーー!!!!」
 やけくそになった孝治は、ミカの方に走り出し、テーブルの上のミカの肘に体当たりをした。


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 先ほど孝治を見つけた時、ミカは立ち上がって、彼らを追いかけるようなことをしなかった。
ミカは、少し前に、隙夫をさんざん追いかけ回したので満足していた。

 彼女は、何か、他の遊びをしたくなっていた。
その時、ミカは、孝治が腹を空かせているのを感じ取った。 それでミカは、
「サンドイッチあげるから、ここに来なさいよ。」と「強力なテレパシー」を送ってみた。

 孝治が、ミカの「呼びかけ」に応じて、すぐに森から出てきた時、彼女も驚いた。
ミカはただの冗談でやってみただけで、まさか本当に出てくるとは思っていなかったからだ。

 巨大なミカの強いテレパシーの前に、孝治の精神力は、あまりにも弱すぎた。
そのため、孝治は、簡単に催眠術にかかってしまったのだ。

 ミカは、こびとの精神までも支配できる力を、自分が持っていることを知り、微笑んだ。
この力をうまく使えば、もっと楽しい遊びができるかもしれない。


 しかし、その後の孝治の行動は、あまり面白くなかった。
テーブルの上の孝治は、彼女を完全に無視して、サンドイッチを食べるだけだった。
ミカにとって、こびとさんは恐怖の悲鳴を上げ、逃げ回ってくれないと、楽しくなかった。

 こびとに術をかけるのは、あまり面白くない。
やりたいことがあったら、彼女の力でやったらいいのだ。

 何も、こびとの精神を操るという、姑息なまねをする必要など、全くなかった。
それで、ミカは、孝治を術から解放したのだった。


 今、術から覚めた孝治は、テーブルの上で、ミカの腕の肘を、叩いていた。

 孝治は、渾身の力をこめているつもりだったが、ミカにとって、彼の抵抗は、
ほとんど何も感じられないくらい非力だった。

 剛を、指で玩んでいたミカは、孝治に目を向けた。


 そうそう、そうこなくっちゃ。 ミカは、微笑んだ。
こびとさんが、次に、どんな行動をするか分からない。 そうでなければゲームは面白くない。

 これこそが、彼女の望んだことだった。

「あら、もう一人居たのね。 忘れていたわ。」
 ミカはそう言って、テーブルの上にいるこびと孝治に目をやった。

 孝治の遥か頭上から大きく美しい声が響いた。
孝治は、声のした方を見上げた。 彼は巨人ミカと目が合ってしまった。

「お、お、おい・・・。」

「あら、なにかしら?」 ミカは答えた。

 しかし、孝治は次の言葉が出ない。
そう、彼はまさに蛇ににらまれた蛙、いやそれすら足元に及ばない恐怖かもしれない。

 確かにミカは美人で魅力的だが、それは彼女が同じサイズの場合である。
彼女は自分たちの仲間を、今まさに食べようとしている巨大な怪物なのだ。

 孝治はその恐怖で足はすくみ、まともに話す事すらできないのだ。

「ねえ、あなたのお友達がピンチになっているのよ。 助けようと思わないの?」
 無茶苦茶な話である。 剛を危険な目に遭わせている本人が、ミカなのだから。

「ね、こびとさん。 あなたがお友達を助けられたら、
食べないであげてもいいかなぁ・・・、なんてね。」

「た、助けるって・・・。」
 そう言った孝治の頭上から、ミカの巨大な指にはさみつけられた剛が降りて来る。

 ミカは左手の指でつまんでいたこびとに、もう一方の手を近づける。
剛は必死に足をばたつかせ、抵抗する。

 その剛の両側から、巨大な丸太のようなミカの親指と人差し指が迫ってきた。
剛はその指に必死でキックしたが、彼の抵抗などまったく効果がなかった。
大蛇のように巨大な指が、剛の体に巻きついた。

「うわぁぁぁっ!」 あまりの圧力に剛は叫び声を上げた。

 ミカは左手の2本の指で剛を固定し、右手の2本の指で彼を摘んだ。
ミカがほんの少し指に力を加えれば、剛の身体はぶどうの実のように潰れてしまうだろう。

 ミカはこびと孝治に話しかけた。 「さ、どうするの? 助けるないの?」

 孝治の目の前に、剛が捕らえられた手が迫ってきた。
ミカはこびとを握る力を少し強くした。

「あ……う……。」
 剛は満足に呼吸もできない状態になった。
彼は必死にそこから逃れようとして体中に力をいれるが、指はまったく動く気配はない。

 絶対に無理だ。 俺の力では、こんなに大きな指にかなわない。 孝治はそう思った。
しかし、仲間の危機をほおって置くわけにはいかない。

 孝治は目の前の巨大な手に飛びついた。


 孝治は、ミカの太い指の一本に、しがみ付いた。
彼女の指は、おそろしい大きさにもかかわらず、柔らかさと優雅さがあった。

「う、う・・・。」 温かい巨人の肌に触れた時、孝治は、さっきのことを思い出していた。

 夜が明ける少し前、こびと丸の全員が、巨人に囚われた。
そして孝治は、仲間の修司、譲治といっしょに、この巨大な手に掴まれ、絞り上げられた。

 彼らがどんなにあがいても、その手の圧倒的な力に、全く抵抗できなかった。
巨人がその気になら、彼らは全員、あの場で捻り潰されていただろう。

 彼女は、あまりにも大きくて、強すぎた。
こんな巨人相手に、いったい何ができるのか。 孝治は、動揺した。

 だが、その時、再び剛の悲鳴が聞こえた。  
反射的に、孝治は、その太い指の一本を、剛から引き剥がそうとした。

 しかし、それは、電車の車両を持ち上げて、別の場所に運ぼうとするようなものだった。
孝治が渾身の力を込めても、巨人の指は、ぴくりとも動かなかった。

 ミカは、孝治の無駄な努力を見つめて、微笑んでいた。
現在、ミカは、テーブルの上に彼女の手を置き、右手の2本の指で、剛を締め上げていた。

 小さな剛は、ミカの指に挟まれて、ほとんど動くこともできない。
そして、孝治は、彼女の人差し指にしがみ付き、剛を助けようとしていた。

 もちろん、ミカにとって孝治の力は弱すぎて、お話にもならない。
しかし、彼の無駄なあがきは、ミカにすばらしい快感を与えてくれた。
引っ張っているのか、叩いているのかも分からない彼の抵抗は、とても心地よかった。

 今、二人のこびとの命は、完全にミカのものだった。
それは、彼女にとって、性的な興奮とも言えた。

「ふふふふ・・・、がんばって、こびとさん。 
あなたの抵抗は、私を、とっても気持ちよくしてくれるわ。
あ、あん、もっと、強く動いて! もっと、私を感じさせて。」
 恍惚とした表情で、ミカは笑う。

 それから、ミカは、剛を窒息死させてはまずいと思い、少しだけ指の力を緩めた。
だがすぐに、こびと孝治の力が弱まってきた。 はやくも彼は、疲れ果てたのか。
それとも、あまりにも強いミカの指に、どうすることもできないと諦めたのか。

「あらあら、あなたは、お友達のピンチを助けてあげないの?」
 孝治に向かってそう言うと、ミカは、剛を捕らえた指に、また少しだけ力を込めた。

「ふふふふ、このまま、この子を捻り潰しちゃおうかな。」
 へたばっていた孝治は、慌てて、ミカの指を掴みなおす。

 ミカは、孝治の無意味な抵抗が再び始まったのを感じて、微笑んだ。
もっと、こびとさん達と遊びたい。 今度はどうやって、脅かしてあげようかなー。

 ミカは、孝治に話しかけた。
「あらあら、あなたは、私を、くすぐっているのー?
そんな力じゃ、とても私の指を動かすことはできないわよ。 よく聞いて、こびとさん、
私は、今から3分後に、あなたのお友達を捻り潰すことにするわ。
ふふふふ、あなたは、それまでに、彼を助けられるのかしら。」


 どうしようもない恐怖に、大声を上げるこびと達の頭の上で、巨人の笑い声が響いた。




(その21に続く)


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