(性的な描写、暴力的表現があります。18歳未満の方は読まないでください)

《 人類の起源 》 
第一話

               CG画像 June Jukes
               文 みどうれい

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 漆黒の大宇宙を
巨大な宇宙船が、地球に向けて疾走していた。宇宙船内部には金属音が反響していた。

 しばらくの後に、一人の女性が冷凍睡眠装置から目を覚ました。彼女は、黒い髪、グレーの瞳、快感的な唇と美しい身体を持っていた。彼女の名前はディアールナ。地球より400万光年の彼方にある惑星グリードラからこの地にやって来た。

 ディアールナは腕を伸ばして、豪華にあくびして、裸足で近くにあるコックピットにゆっくりと歩く。裸の女船長は、船の有機コンピューターから彼女の何万もの神経を通じて、直接、彼女の脳に情報を入手した。

 間違いない、目的地の惑星の衛星軌道に、ディアールナの宇宙船は到達していた。その星は原住民が「地球」と呼んでいる。「あぁ・・・やっと来たのね」ディアールナは猛烈に感動していた。

 彼女の来訪の目的は・・・地球の男性とセックスをして自分の子供を生むためだった。

 かって惑星グリードラはこの宇宙でも最も暴力的な星間国家だった。住んでいる住民も戦闘種族、宇宙戦闘艦に乗り多くの星々を侵略した。

 しかし悪事の報いと言うべきか、栄枯盛衰の運命と言うか、ある星でとんでもない宇宙病をしょいこんでしまった。 男性だけが罹る病、致死率100%。彼らの超医学でも治癒は不可能だった。数年で惑星グリードラと、その支配した植民惑星から男性が絶滅した。 不幸中の幸い、女性は病に感染せず健康そのものであった。

 いなくなったモノは仕方がない。残されたグリードラの女性達は、なんと別の惑星に行きオトコを探すことにしたのだ。 宇宙は広い、戦闘種族である彼女達を満足させる強い男が何処かにいるだろう。

 ディアールナもそう考えた女性の一人だった。ある日、彼女は亜空間通信で「別惑星のテレビ電波」を傍受した。その星は現地人の言葉で「地球」と呼ばれている星と分かった。侵略宇宙人にとって、長距離探査は得意分野なのだ。 

 地球の衛星軌道上にわずかに漏れ出すテレビ電波を分析してみると、星の文明はそれほどたいした事はないが、現地人の外見はグリードラ人とそっくりだった。 そして「映画」とかいう娯楽番組の中で、地球の男達はいつも悪と戦い、世界制服をたくらむ怪人をやっつけ、災害から人々を救って、女の子にモテモテであった。

 な、なんと言う逞しくて素晴らしい男達!! ディアールナは狂喜した、喜びで天に登りそうになった。地球という彼らの星に行き、いいオトコを見つけて子種をもらったら、惑星グリードラの復活は間違いない。

 この手柄は独り占めにしなければならない。成功したら救世主になれる。そして私は億万長者よ! そう考えた彼女は借金して宇宙船を買うことにした。男達がいなくなって中古になった小型戦闘艦を運よく手に入れた。

 そしてディアールナは、400万光年の彼方から、はるばる地球へとやって来た。

 「やった、やった、これで男の人と結婚できる!」ディアールナは地球のテレビで見た女性の服のうち、彼女が一番気に入った「黒い水着ビキニ」と「ヒールの高いサンダル」のレプリカを用意していた。それを身に着ける。 うん、これでどうみても地球の女の子にしか見えないわ。

 宇宙船を衛星軌道上に停止させて、ハッチから外にでる。 この星では海岸沿いのリゾート地で男女の恋が生まれる事が多いらしい。あまり目立ちたくなかったので、とりあえず海岸の都市部の建物の陰に下降することにした。重力を制御し、ゆっくりと地球へと降りる。

 ディアールナは男に飢えていた。はやく逞しいオトコに抱いて欲しい!星間旅行中、彼女はそればかりを考えていた。やっと、願いが叶うのだ。

 
ずううんんん!!

 ディアールナは地球の海岸部の大都市に立った。


 彼女の足元では、大勢の人々がパニックを起こして逃げ惑っていた。混乱の悲鳴は彼女を中心に、じょじょに周囲に伝わっていった。

 
 

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