(性的な描写、暴力的表現があります。18歳未満の方は読まないでください)

《 人類の起源 》 
第二話

               CG画像 June Jukes
               文 みどうれい

----------------------------------

 巨大宇宙船は、つい数時間前に地球の上空に現われた。 そのあまりの巨大さに政府関係者や天文学者達は数千人の宇宙人が乗っていると予想した。 しかし、それは間違いだった。 乗組員は宇宙人女性が一人だった。

 事態の展開はあまりに急であった。その女性は衛星軌道にある宇宙船のハッチから宇宙服を着ることもなく一人で現われた。空気なしでも生きられるらしい。望遠鏡で宇宙船を監視していた政府関係者が彼女の巨大さを理解して仰天したのは言うまでもない。

 別惑星の超科学力なのだろうか、彼女はそのまま重力をコントロールしてゆっくりと地球へと降下、海岸沿いにある大都市に降り立った。周囲のビルが衝撃で崩れることが少なかったのは、彼女なりに配慮したからかもしれない。それでも彼女の足下でいくつものビルが凄まじい体重に踏み潰されていた。

 彼女が普通の女性ならば何の問題もなかった。その超絶なスタイルのボディに男達が賛美と畏敬と、あるいは淫猥の目で見つめただろう。だがサイズが問題だった。

 
彼女は身長が3,000m以上もあったのだ。

 都市の一番高い高層ビルでさえ彼女の膝にも届かない。 圧倒的な存在。

 彼女の足元には、この都市でも有名な高級ホテルが建っている、高さ200メートルで50階建て。最上階は展望ラウンジになっていて、夜には海岸沿いの美しい夜景を一望できる。 しかし、その高層ビルでさえ彼女の足の踝より少し上くらいの大きさだ。 とんでもない巨大さ!!



 超巨大宇宙船より、都市へと降り立った彼女!

 宇宙人ではあるが、その姿は地球の女性にそっくりだった。いや、素晴らしい美人と言っていい。均整のとれた肉体、モデルのような美貌、黒い髪、小柄な顔に意志の強そうなグレーの瞳、その抜群のプロポーションは野生的な魅力を周囲に発散している。

 その身にまとうものは、申し訳程度のわずかな布で作られた黒いビキニだけ。大きく突き出した乳房は、彼女がわずかに動くだけでぶるんと震える。

 乳首さえもその存在を示すかのように黒ビキニのブラを持ち上げている。 ほんの少し頬を染めているのは、自分のあまりに大胆な姿を数万人の人々に見られている羞恥心からだろうか。

 地上の人々からは、その巨大さゆえに彼女の下半身が強調されてよく見える。きゅっと引きしまった腰、形のいいヒップ。 若く輝く、彼女の引き締まった太腿!

 すらりと長い女性的な脚は健康的で、何かのスポーツで鍛え上げたかのように美しく、天界の神殿の柱のように都市のはるか上にそびえ立っている。

 その肌は若く、水をはじくようにピチピチだ。 ガリバー旅行記の描写であるように女性が大きい場合、当然お肌もざらざらになる筈なのに、彼女の肌はまるで普通の17歳の少女のように輝いて見える。

 そしてやはりサイズが問題だった。おそらくは彼女が足を持ち上げ地面に振り下ろすだけで、都市の多くのビルが倒壊するのが容易に想像できた。

 町中のほとんどの人々が彼女を見つめていた。人々のうち勘のいい数千人はもうこの町が、自分達がどうされるのかを理解していた。



 巨人の娘はしばらくの間、動かなかった。何かを考えているようだ・・・、

 いや、実は彼女は驚いていたのだ。都市のあまりの小ささに・・・。



目次に行く ←戻る めくる→