《 真夜中の体育倉庫 》 第14話

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 真夜中の体育倉庫、怪しげな雰囲気の中、携帯の呼び出し音。

「あら?」

 すぐに愛花も俺のスマホに気がつく。
巨女は俺を左手に掴んだまま、床マットの上のズボンに右手を伸ばす。

 大きな指で器用に、そのポケットから俺のスマホをつまみ出して、愛花は言う。

「スマホを持っていたのですか、健一さん。
まぁ、当然ですよね。
でも、もうスマホなんて必要ありません」


 クシャッというかすかな音、彼女が俺のスマホを指で捻り潰す。
スマホが縮小されていることを考慮しても、凄い指の力だ。
もはや機器の部品の塊となったスマホが床の上に落ちる。

「うわあ!」

 何のためらいも無い行動に俺は驚く。
今時の男子高校生にとって、スマホを壊されることがどれだけ大ダメージか分かってもらえるだろう。 新しく買い替え、データーを再生するまで日常生活が色々と難しくなる。

 しかし、それよりも愛花の言葉に俺は衝撃を受けていた。 俺は彼女に聞く。

「あ、愛花ちゃん・・・スマホがいらないってどういう意味?」

「は・・・その通りの意味ですけど。
健一さんは、ずっと小さいまま、永遠に・・・。
私といっしょに暮らすのです。
夫婦なのだから当然ですよね。

他の悪い女と話をする事はありません。
もうスマホなど必要ないのです。
だから潰しちゃいました」


 何なのだ! この巨女は・・・。

 俺と遊んで楽しんだら、彼女が「家に帰してくれるだろう」という希望が消えうせる。
頭の中で、ガーン、ガーンという効果音が鳴り響く。

 俺を左手で持ち上げているのが疲れたのか、愛花は俺を再び彼女の太ももの間にはさむ。 最初にこの場所で話をしたのと同じ状況に見えるが、今回は俺のズボンが脱がされたままだ。

 むき出しの俺の下半身と足に、彼女の暖かい大きな太ももの肉がじかにふれている。





「健一さんに話しておかなければならない事があります・・・」

 俺の驚きなど気にもせずに、愛花は珍妙なる妄想話を始める。

 理解できない部分が少しあったが、だいたい次のような内容だった。


@かって彼女たち一族には「始祖」と呼ばれる男性リーダーがいた。
A始祖に愛撫された女性は、なんと超能力が使えるようになる。
Bそのため始祖は、女性たちに心から尊敬されていた。
C超能力者となった一族は、恐怖と暴力で人々を支配し繁栄を謳歌した。
Dしかし、始祖が高齢のため他界した後、一族は衰退した。
E今では超能力を持つ少女も、愛花の他数名しかいない。
Fしかし、今日、健一さんとHをして気がついた。
G健一さんは、偉大なる「始祖」の血を受け継ぐ貴重な男性である。
Hこれほど気持ちよかったのだから間違いない。
Iだから、もう健一さんを逃がさない。


 だいたい、こんな話であった。

 なんだよ、その妄想電波ストーリィは・・・。
中2病患者がチラシの裏に書いたSFの設定だとしか思えない。

 百歩譲って、いや、一万歩譲って、その話が本当なら、
俺はその「始祖」とやらの生まれ変わりだから、ちょっとは尊敬してほしいのですが・・・。

 全く理解できない。  助けも来ない。 力では抵抗できない。

 助かる希望もない。

 俺はいったいどうなるのだ?





  
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  本編シュリンカー小説は継続します。


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