《 真夜中の体育倉庫 》 第24話

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(健一の視点で)

 愛花の超能力で身長20センチに戻った俺。

 へろへろの、よれよれになっていたのに体力が回復している。
これは愛花の力か? それとも始祖とやらのパワーか?

 あぁ、愛花にパイズリされて気持ちいい・・・。
このまま愛花のオモチャとして生きるのもいいか・・・。

 いや、ダメだ。今度こそここから脱出しなければいけない。
もはや、俺と愛花だけの話ではなくなった。

 始祖の記憶が戻ったのか、俺には真実が分かっていた。
この女は相手を縮小するだけでなく、自分が巨人になる力を手に入れようとしている。

 俺一人なら、なんとか愛花のご機嫌をとり、仲良くできる可能性はある。
しかし、この女が巨人になったら、何をしでかすか分からない。
幸い、体力と気力も回復している。 これから、どうする?

 考えろ、考えるのだ、逃げる方法を!
俺は愛花の顔ではなく、この体育倉庫の出口の方を見る。

 結果として、この行動は大失敗だった。
自分の顔を見てくれないと、愛花を怒らせただけなのだから。





 巨人愛花の声が響く。

「健一さん、あなたが何を考えているか、私には分かります。
私から逃げようとしているのですね。
あははは、いいですわ、あなたを元のサイズに戻してあげます
そうですね、鬼ごっこをしましょう。
鬼は私で、健一さんは逃げるのです」

 周囲がぐらりと揺れる。愛花が超能力を使ったのだ。

気がついたら、俺は1人で夜の道に立っていた。愛花はいない。
そして周囲の風景を判断して俺はもう小人ではない、
普通の人間サイズになっていた。

 やったー、元の大きさに戻ったああああ!!


 歓喜の声をあげながら夜空の月を見上げる俺!
なんと美しい月だ、俺は自由になった。

 いや、待て、あの女が、こんなに簡単に俺を解放する訳がない。
たしか「鬼ごっこをする」とか言っていたが・・・。

 その時、俺の背後から巨大な影が迫ってきた!!


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