《 旅路 》 
その2

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 僕たちは仲良しだった。

 いつまでもいっしょだと誓いあっていた。

 彼女のためになら、なんだってできる。
僕が彼女を守ってあげるんだ! ずっと、僕はそう思っていた。

 しかし、一つだけ不満なことがあった。

 その時の僕と彼女は、同じくらいの身長だったんだ。

 僕が彼女を守ってあげるのに、彼女と同じ身長だなんて・・・。
もっと大きく、そして強くなりたいと願ったよ。

 彼女も僕のそんな思いを察したのだろうか、
僕の前ではかがんで、僕より背を低くみせてくれる時もあった。

 あぁ、なんて心の優しい女の子なんだ、彼女は。




 数年後、願いはかなえられた。

 僕は大きく成長し、身長も伸び、そして逞しくなった。

 彼女がとても華奢に見える。
僕は彼女を軽々と抱きかかえる事だってできるんだぜ。

 僕は強くなった自分のカラダが誇らしかった。

 あの日の約束は決して忘れない。 僕が彼女を守ってあげる。



 そして・・・、僕たちの運命を残酷に変えたあの日がやってきた。



 そう、ボラー大彗星が地球に接近したんだ。

 ボラー大彗星は未知の宇宙線を地球に照射していた。

 世界各地で異変が起こった。

 ある日突然、女の子が巨大化するのだ。

 大きくなるサイズは身長3〜50mくらいとまちまちで、
何故か、若い女性だけに限られていた。

 そして彼女も大きくなっていった。

 あれから2年の月日が流れた。

 彼女は、僕の2倍以上の大きな女の子に成長していた。



 彼女は僕よりもずっと強いんだぜ。
僕の車が故障した時は、車を持ち上げて修理工場まで運んでくれたよ。

 もう、僕は彼女に力では勝てない。

 あぁ、そりゃあ落ち込んだよ。
もうこれで彼女を守ることなんかできなくなったんだからね。

 しかし、そんな僕に、彼女はいつもと変わらなく優しくしてくれた。

 やがて、僕も理解できるようになったよ。

 あるがままの自分と彼女を受け入れようと・・・。

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 それからも彼女は成長を続け、
ついに僕の身長の20倍の大きさの巨人になった。

 僕は彼女を守ってあげようと思っていたんだけど、

 結局、今の僕は彼女に守ってもらうことになった。




 でも、あの日の誓いは守られた。

 そう・・・僕たちは、いつまでも、いっしょだと。

 そして今、僕は
巨大な彼女の家で暮らしているのだった。


(終わり)


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