《 ジュピターの夜 》 3

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 夜の街、意識を集中する。妖魔の気配を探る。
私は悪を倒さねばならない。それが、この私の生きる意味であり、戦士の使命なのだから。

 そう、私の名前はセーラー・ジュピター。


 現在、身長500mに巨大化した私は、
夜の街にたたずんでいる。

 ビルは、まるでコンクリートとタイルで造られた木立ちのように、私の足の周囲を取り囲んでいる。

 少し前の出来事を思い出している。
あぁ・・・あれは本当だったのかしら? ねぇ、誰か嘘だと言って。
街を焼いてしまった、戦闘ヘリコプター部隊を全滅させた。私のスーパーパワーで。

 何処をどう走ったのか覚えていない。多くの建物を踏み潰したみたい、蹴躓いて地下街を踏み抜いたような気もする。きっと街は大被害ね。

 気がつけば、私は知らない場所に来ていた。 あぁ・・・後ろを見るのが怖い。めり込んだ道路と破壊されたビルが見えるに違いないのだから。


 あーん、街を燃やしちゃったよー。
どーすんのよ、正義のセーラー戦士の面目丸つぶれよ、
あ、あ、いったいどうしたらいいの!


 違う、違うの、この私が破壊などする訳がない。
だって、私はセーラー戦士、正義の味方。私はいつだって正しくて、大きくて美しくて、心優しいの。

 巨大な私は夜の街に立つ。
 戦いの決意をこの胸に秘めて。


 こうなったら、妖魔の親玉をやっつけるしかないわ!
それで世界は平和になるの!
 あのヘリコプター部隊も妖魔のボスが操っていたに違いない。

 深夜であるにも関わらず、私の周囲の建物の入り口から大勢の人々が走り出している。かすかなパトカーのサイレンも聞こえる。どうやら地上は大変な騒ぎになっているようね。

 急がないといけない。意識を集中する。この街の何処かに私に幻覚を見せて惑わせた妖魔がいるに違いないのだから。

 感じる、感じるの! 世界の破滅を願う悪の気配を。
許せない、絶対に許せない。このセーラージュピターが戦うわ!

 
しびれるくらい後悔させるよ!


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